2019/20 シーズンにユベントスとスクデット争いをすると予想されるチームの現状を分析するシリーズの最終回となる第3回目は昨シーズンを6位で終えたローマです。
1: 基本システム(4-2-3-1)
フォンセカ監督が就任したローマは 4-2-3-1 を基本システムにシーズンを戦うことが予想されます。
GK: パウ・ロペス
DF: フロレンツィ、ファシオ、ファン(マンチーニ)、コラロフ
DMF: クリスタンテ、ペッレグリーニ
MF: ウンデル、ザニオーロ(パストーレ)、ペロッティ
FW: ジェコ
「ボールを保持し、試合の主導権を握る」というスタンスはディ・フランチェスコ監督など、ローマを率いた歴代監督と同じ価値観を有しています。
異なっているのは「プレッシングの形」でしょう。サッリ監督やグアルディオラ監督は相手陣内からのハイプレスを強みにしていますが、フォンセカ監督が率いたシャフタールはミドルゾーンでハイプレスをかけれるチームでした。
この形が機能すると、上位に食い込む力は十分にあると言えるでしょう。
2: ローマの「強み」と「課題点」
ローマの強みとなるのは「現実的なシステム」と「フォンセカ監督のシステムに適した選手」の存在です。
攻撃時は 4-2-3-1 が基本となりますが、守備時は 4-4-2 です。4-4-2 も中盤がフラットではなく、ボックス型で前線の2トップと合わせた “6角形” を作り、中央を強烈なプレッシングで封鎖する形を採ることでしょう。
2017/18 シーズンにはフォンセカ監督のシャフタールがサッリ監督のナポリをグループ敗退に追い込んでおり、格上チームを “喰う力” が備わることは十分に可能です。
ただ、課題点もあります。それは「選手層に不安が残ること」です。特に左サイドでの攻撃が計算できるのがペロッティ選手だけでは心細い状況です。
ザッパコスタ選手を獲得したことで、フロレンツィ選手を左 WG に回すことが可能にはなりました。この点を踏まえ、フォンセカ監督が限られた選手層をどのようにやりくりするかが注目点になります。
3: 緊急補強に乗り出す必要があるポジション
ローマが今夏の残り移籍期間で獲得に乗り出すなら、「CB」と「左 WG」の2つでしょう。前者はフォンセカ監督が要望していますし、後者は戦力的に適任者が少ないからです。
CB は契約延長をしたファシオ選手がレギュラーの一角を占めると予想されます。即戦力で欲しいのは「相手 FW に入る楔の縦パスを迎撃することに長けた DF」です。ファシオ選手がカバー役を務めるなら、喫緊で獲得するのは迎撃型になるでしょう。
また、ファシオ選手の年齢を考えると、「若手 CB の逸材」も獲得しておきたいところです。
「左 WG」は獲得資金があれば、本職とする選手を獲得すべきです。しかし、難しいならフロレンツィ選手かコラロフ選手をそのポジションで起用することで急場は凌げることでしょう。
しかし、そのためには DF 陣に計算できる選手がいることが条件であり、今夏の補強が機能しなければ苦境に立たされることに変わりないと思われます。
フォンセカ監督が就任したローマもサッリ監督が新たに就任したユベントスと同じく「新監督のコンセプトへの適応」が求められます。
選手の能力値はユベントスの方が上ですが、ハードワークをする選手で固めたメリットを活かせるかがポイントです。トッティ選手やデ・ロッシ選手というチームのアイコンが去ったローマがどのようなシーズンを送ることになるのかに注目です。