『フランス・フットボール』によりますと、欧州主要国のクラブで期限付き移籍中の選手を含めた選手を合わせた選手数が最も多いクラブがユベントスだったとのことです。なお、その数は 68 であると発表されています。
1:U-23 もBチームもないから、保有選手数が多くなる
レンタルで選手を送り出すことで “悪評” が出ているチェルシーを上回る人数の選手をイタリアのクラブは保有しているのです。
- ユベントス:68
- アタランタ:66
- インテル・ミラノ:58
- ローマ:54
- ジェノア:50
- チェルシー(ENG):42
しかし、この数字には “カラクリ” が存在します。なぜなら、イタリアのクラブにはBチームや U-23 に該当するチームが存在しないからです。
イタリア | 英・独・西 | |
---|---|---|
TOP | ファーストチーム | |
U-23 * | 存在せず | プレミア2(英) U-23 (独) Bチーム制 *(西) |
U-19 (アマ) |
プリマベーラ | U-19(英・独) フベニール(西) |
2:若手有望株の選手はプレー機会を求め、レンタル移籍を強いられる
UEFA ユースリーグに出場できる U-19 のチームは国ごとに呼び名は異なるものの、存在していることは欧州主要国では共通です。
イングランド、ドイツ、スペインでは U-23 に該当するユースチームが存在するのですが、イタリアにはありません。これが最大の違いと言えるでしょう。
U-19 のチームではプロ契約を締結済みの選手が少数派で、ほとんどの選手はアマチュアという立場です。ところが、U-23 となるとほとんどがプロ契約選手となります。
しかし、イタリアには U-23 も、Bチームも制度として認められておらず、若手有望選手はレンタル移籍で別のチームに在籍し、そこでポジション争いを強いられることになるのです。
3:ユベントスはBチームの参加を求めるも、協会の腰は重い
ユベントスは「Bチームの参加」を求めているクラブの1つです。マロッタGMが『J1897 Day』などで発言していますし、育成に定評のあるアタランタ、インテル、ローマも基本的にBチームの導入に前向きだと思われます。
ただ、協会側の動きは鈍い状況です。
過去に「プリマベーラを実質的なBチームとしてレガ・プロ(≒ セリエC)に参加させる」という形で議論が進んでいましたが、結局は頓挫しました。
プリマベーラは残し、「レガ・プロ、セリエBに参加する資金力と試合会場を用意できるクラブのBチーム設立を認める」という形が現実的な妥協案になると思われます。この案でどれだけのクラブを納得させられるかが鍵と言えるでしょう。
欧州主要国のクラブは期限付き移籍中の選手を含めると30選手前後を保有しています。Bチームや U-23 は23選手ほどが登録枠です。Bチームが始動すれば、チェルシーが保有する選手数を多くのクラブが下回ることになるでしょう。
UEFA の『自国育成枠』では「15歳から21歳までの間に、〜」と定められています。19歳までのプリマベーラしか存在しない状況は要改善項目と言えるはずです。イタリアサッカー協会が育成という点で変更を決断するのかに注目です。