2023/24 セリエA第22節エンポリ戦からの失速が隠し切れないユベントスですが、現状では「シーズン前半戦に積み重ねた勝点の貯金を切り崩して4位以内での逃げ切りを目指す」しか道はない状況です。
これが監督交代論が散発的に留まっている理由でしょう。
ユベントスで直近リーグ戦での成績が1勝2分3敗であれば、メディアが監督解任論を騒ぎ立てるのが普通です。それが起きないのは「編成部門での重大な問題が発覚した場合」など現場以外に理由がある場合です。
- 編成部門が関与する問題
- “謹慎中の” ファジョーリに昇給+契約延長
→ 謹慎処分明けで良かったのでは? - 前年度とほぼ同額の人件費を計上
→ 退団したベテラン勢に支払っていた年俸分はどこへ?
- “謹慎中の” ファジョーリに昇給+契約延長
クラブに対する不信感が増大し、チームの一体感が欠けているのです。この状況で『監督解任』を敢行しても事態は好転しないでしょう。
監督交代に踏み切ったとしても『(選手との所属契約を管轄する)クラブの編成部門に対する不信感』は払拭できないからです。
そのため、編成部門に残された道は「 “アッレグリ監督のチーム” にシーズン前半戦に積み上げた勝点の貯金を切り崩してでも4位以内で逃げ切ってもらう」しか残されていないのです。
ただ、アッレグリ監督も第1期の最後となった 2018/19 シーズンから『序列の固定』が顕著になっており、チーム内競争は『重用組』の内部でのみ発生している状況となっています。
選手名 | |||
---|---|---|---|
重 用 ・ 外 様 |
起 用 可 |
GK | 1:シュチェスニー |
CB | 3: ブレメル、4: ガッティ、6: ダニーロ、12: A・サンドロ | ||
WB | 11: コスティッチ、22: T・ウェア、27: カンビアーゾ | ||
MF | 5: ロカテッリ、26: アルカラス | ||
FW | 7: キエーザ、9: ヴラホヴィッチ | ||
離 脱 中 |
CB | 2:デ・シリオ、33: T・ジャロ | |
MF | 10: ポグバ、16: マッケニー、21: ファジョーリ、25: ラビオ |
この問題点に関しては『監督交代』で解消されるものの、出場機会に恵まれなかった選手のパフォーマンスがシーズン残り数ヶ月で飛躍的に高まることは期待できません。
また、アッレグリ監督がピッチサイドで大声を張り上げても効果はほとんどないでしょう。「パフォーマンスでは序列や待遇は変わらない」と示してしまった弊害は簡単には払拭されないからです。
2024/25 シーズンを「新監督による再建初年度」と位置付けるのであれば、監督交代に踏み切ることは可能です。ただ、年俸予算のリミットを超過しているため、アッレグリ監督に匹敵する “イエスマン” を指名することが条件です。
「内部昇格組の若手選手が飼い殺しになっていること」に目をつぶっている現状が長続きすることはないしょう。“瓦解状態のチーム” が破綻してしまう前に是正策を講じることができるかが注目点になると思われます。