再建期を迎えたユベントスですが、来季(2023/24 シーズン)の監督が不透明な状況となっています。“評価を下げる選手の存在が大きく取り上げられているアッレグリ監督” を続投させるかは「クラブが定める方針次第」と言えるでしょう。

アッレグリ監督による選手評価の指標
まず、アッレグリ監督の選手への評価基準は以下のものです。
- 『それぞれの局面で “現実的な” 最適のプレー』を選択しているか
- 『選択したプレー』を遂行した結果がどうなったか
「監督としての自身の仕事ぶりへの評価基準は『結果』」と繰り返し公言しているアッレグリ監督ですが、選手への評価基準は『プレーの選択』です。
「決定機を逸した」や「クリアをし損ねた」との『結果』を(メディアの前で)批判することはありません。「点差・時間帯・選手とボールの位置関係を勘案した最適な選択肢を採っているか」で評価する指揮官です。
そのため、選手の選考は以下の傾向が強くなります。
- 攻守において『プレーの選択肢を数多く有する選手』を好む
- テクニックが同レベル → フィジカルの秀でた方をチョイス
- フィジカルが同レベル → テクニックの秀でた方をチョイス
ベテラン勢が重用されがちなのは「ピッチ上で体現できるプレーの選択肢が多いから」です。また、育成方法にも “癖” があるため、来季(2023/24 シーズン)を託すかは経営陣の判断次第でしょう。
「実戦でプレーの選択肢(=引き出しの数)を増やさせようとする」のがアッレグリ監督
アッレグリ監督の下で成長する選手がいることは事実です。ただ、成長を促すアプローチがポゼッション型の基本戦術を導入するタイプの指揮官とは根本的に異なります。
- アッレグリ監督の育成アプローチ
- 実戦経験を通して選手に引き出しの数を増やさせる
- 『選手の総合力』が上がることでクラブに還元
- コンテ監督などの育成アプローチ
- トレーニングでチーム戦術に沿った動きを反復練習
- 『チーム戦術』が機能することでクラブに還元
アッレグリ監督の第2期で成長して評価を高めた選手はダニーロ、ラビオ、ガッティ、ファジョーリ、イリングなど年齢やキャリアは様々です。
いずれの選手も「実戦での出場機会の中で計算できるプレーの種類を増やしていった」という特徴があります。『アッレグリ監督が採っている育成方法』でも選手は育つため、どの育成方法を採るかはクラブの裁量になります。
アッレグリ監督の下で評価を落とす選手の特徴
一方でアッレグリ監督の下で評価を下げる選手もいます。デ・リフト、キエーザ、ヴラホヴィッチの3選手が代表例でしょう。彼らには共通点があります。
- (特定のチーム戦術が根付いた)前所属チームで活躍
- 『実績+期待値』の高額な移籍金および年俸でユベントスに加入
“同ポジションの主力格選手と比較して約2倍の年俸を得ている上述の3選手” が伸び悩んでいるように映る理由は「アッレグリ監督の下だと課題が露呈しやすいから」でしょう。
アッレグリ監督は『特定のチーム戦術』を採用しないため、どの選手も「苦手な局面」に遭遇することは避けられません。苦手な局面を乗り切るための引き出しの数を増やすことができた選手はアッレグリ監督の下でも成長しています。
逆にそれができないと『実績+期待値』を評価のベースラインにしているメディアや一部のティフォージには「期待を裏切り続けている(=評価を下げている)」と判断されることになるのです。
アッレグリ監督が採っているアプローチは「個々の選手の総合力を伸ばす」というものです。試合の流れを読めると成長の速度は早まりますし、監督交代や移籍で選手が評価を落とさずに済むというメリットがあります。
したがって、「トップチームかBチームのどちらかで採用されているべきアプローチ」と言えるでしょう。
一方で「チーム戦術に基づくチーム全体の成熟度」が大きく向上することは期待できません。
こちらを優先する場合はアッレグリ監督と袂を分かつことがベストです。一長一短があるため、どちらを選択するかは経営陣の責任で決めるべきだと思います。