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「ガスペリーニ監督が実はセリエAで最高給を得ている指揮官」という根拠が興味深い

 セリエA中継の実況アナウンサーを務める北川義隆氏が 2023/24 セリエA第26節ミラン対アタランタ戦に「実はガスペリーニ監督がセリエAで最も高給取り」と言及していました。その根拠が興味深かったので紹介したいと思います。

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 ガスペリーニ監督がセリエAの現役監督で最高給を得ていると目されているのは「インセンティブ」にあります。

 アタランタでは “移籍金1000万ユーロで獲得した選手” を2000万ユーロで売却した場合、差額益1000万ユーロの 3% (=30万ユーロ)がガスペリーニ監督にインセンティブとして分配されているとのこと。

 アタランタは2023年夏の移籍市場でホイルンド選手をマンチェスター・ユナイテッドに売却するなど多額の売却益を手にしています。これが現役指揮官の総収入でガスペリーニ監督がトップに躍り出る理由でしょう。

 

 アタランタが経営的に “巧み” なのは「『獲得時に投じた移籍金』で足切りラインを設けていること」です。

 『帳簿上の差額益』が基準になっている場合は『獲得に費やした移籍金よりも低い売却額』であるにも関わらず、監督へのインセンティブが発生する可能性があります。

  • 3年前に移籍金1000万ユーロの5年契約で獲得した選手を売却する場合:
    • 残存簿価: 400万ユーロ
    • 売却時の移籍金: 900万ユーロ
      • 帳簿上の差額益: 500万ユーロ
    • 『帳簿上の差額益』が基準だと 3% (=15万ユーロ)のインセンティブが発生

 “クラブで評価を高めた訳ではない選手” を売却した場合に関しては「監督へのインセンティブはない」との『制限』を設けていることは強かと評されるべきでしょう。

 

 現在のユベントスは『育成路線』に舵を切っているため、アタランタが採用している『監督への報酬体系』を近い内に導入するメリットがあります。

  1. Bチーム(= Next Gen)から輩出された若手有望株をトップチームで起用する動機になる
    • 選手を使わなかったら伸びることはない
    • 使った若手が伸びれば、監督に差額益から報酬
  2. 監督交代が頻繁に起きるクラブだと難しい
    • ユベントスは伝統的に監督交代が少ないクラブ
    • 40代で就任する監督が多い

 アッレグリ監督との2025年夏までの現行契約を延長するのであれば、『年俸350万ユーロ+アタランタ型のインセンティブ』に報酬体系を “更新” して欲しいところです。

 結果を残せていない状況では『ベテラン偏重の起用』になるため、若手選手を起用できるチーム状況では『若手を積極的に起用した方が監督個人にも(報酬面での)見返りがある仕組み』を構築しておくだけの価値はあると考えられるからです。

 

 チーム成績と若手育成を両立させることに成功した指揮官への報酬が “インセンティブによって” 高額になることは問題ではありません。ユベントスの現フロント陣が賃金体系を上手く再構築することができるのかにも注目です。