得点力不足に苦しむユベントスですが、ヨーロッパで流行りのポジショナルプレーを使用していないのではありません。使用しているものの「選手の配置と動きが不十分」なのです。直近のミラン戦でのプレーで指摘することにしましょう。
ミラン戦の67分すぎのプレー
該当するプレーは1月23日に開催された 2021/22 セリエA第23節ミラン対ユベントス戦の67分すぎに起きました。
ユベントスは途中出場のアルトゥール選手がミドルパスをマッケニー選手に展開。ミランの2列目よりも前の4選手を釣り出した状態でダブルボランチの脇にボールを付けます。
この瞬間にユベントスは「3-2-5 の状態」となっており、システム上の個々の選手の立ち位置は『ポジショナルプレー』における “オーソドックス” なものとなっています。
したがって、「ポジショナルプレーを導入して得点力の向上を図るべき」との主張は 100% 正解ではありません。「ポジショナルプレーは導入済だが機能していない」のです。これが得点力不足の原因と言えるでしょう。
「選手の配置」と「選手の動き」が悪くてチャンスを拡大できていない
まず、67分すぎのプレーでミランの守り方は理想的なものです。
- マッケニーを正面で見ているロマニョーリが迎撃に向かう
- ロマニョーリの開けたスペースはトナーリとカルルが即座に埋める
一方のユベントスは「ロマニョーリ選手が持ち場を離れたことで生じたスペースを使えるか」が鍵となるのですが、そうするための『選手配置』と『選手の動き』が不十分でした。
ディバラ選手が「マッケニー選手の位置でボールを受ける方が良い」ことは疑いの余地はありません。これが「ディバラ選手(やクルゼフスキ選手)を『偽9番』で使うべき」との主張の根幹になります。
マッケニー選手は「(中盤からディバラ選手を追い越して)スペースを狙うモラタ選手の役割を担う」方が効果的なことも明らかでしょう。
『選手の配置』は『監督の専権事項』ですから、「ゴール手前のシュートレンジでディバラ選手に時間と空間を託すための適切な『選手配置』はできているのか」との観点でアッレグリ監督に批判が向くのは当然のことです。
しかし、ミランの守備陣が「中央に収縮した上で撤退をしている状況」で歩いているA・サンドロ選手は『動き』の部分で問題です。これでは「左サイドの高い位置でボールを引き出してからクロスを供給」との選択肢を捨てているからです。
『動き』に関しては(基本的に)選手側の責任が大きくなるため、攻守の質を高める上でも改善すべき点だと言えるでしょう。
ヴラホビッチ選手が加入したことでフォーメーションおよび選手配置に変化があると予想されます。攻守のバランスが上手く確立させるのかに注目です。