2021/22 シーズン前半戦は得点力不足に苦しんだユベントスですが、現有戦力を活用することで事態打開は可能でしょう。その1人がキエーザ選手です。キエーザ選手の突破力を活かすシステムを確立できるかがポイントになると思われます。

■ キエーザをウィングで起用
キエーザ選手の能力を最大限活用する方法の1つは「ウィンガーとして起用すること」でしょう。

その際の代表的な攻撃パターンが「逆サイドに余っているキエーザ選手に展開して仕掛けさせる」というものです。ただ、問題がない訳ではありません。
- 『密集ゾーン』でのポジショナルプレーができるのか?
- アッレグリ監督は「キエーザは右 WG がベスト」との認識
まず、『密集ゾーン』でのポジショナルプレーが要求されます。「どうせキエーザに展開するんでしょ?」と相手に手の内を読まれてしまうと攻撃が行き詰まることになるからです。
もう1つは「キエーザ選手は右 WG での起用がベスト」とアッレグリ監督が語っていることです。この場合、左サイドでキエーザ選手を待ち構えさせることができなくなります。
仮に左サイドを『密集ゾーン』にしてしまうと、ディバラ選手のポジションがなくなってしまいます。そのため、現実的には「キエーザ選手が左サイドから仕掛ける」が選択肢になると考えられます。
■ CF に起用し、DF ラインの背後を狙わせる
もう1つは「キエーザ選手を CF として起用し、DF ラインの背後にあるスペースを狙わせること」です。

キエーザ選手は『4-2-3-1 を用いているナポリでオシムヘン選手が担っている役割』の大部分を遂行できるでしょう。「ポストプレーでボールを収めること」以外は高い再現度で実行できると思われます。
ただ、このシステムを採用しようにも致命的な問題があります。
- キエーザが CF での起用に乗り気ではない
- ディバラ(やモラタ)のポジションが消える
キエーザ選手が「ウィンガーでプレーしたい」との希望をインタビューで述べていますし、キエーザ選手を中央に配置すると(ウィンガーに求められる運動量が備わっていない)ディバラ選手のポジションがなくなってしまいます。
そのため、キエーザ選手を CF で起用することは「限定的」となるでしょう。
■ 『ハイブリッド』が現実的なテコ入れ策
したがって、現実的には上述の項目を両立させる『ハイブリッド』が解決策になるはずです。
- アタッキングサード(= ファイナルサード)
- キエーザはサイドに流れて待機
- チームは片方のサイドで『密集』を形成
- ポジショナルプレーを採用するためフォーメーションは二の次
- ディフェンシブサード(= 1st サード)
- 4-4-2(か 4-4-1-1)でブロックが構築
- キエーザは FW に配置
- ボール奪取時は「DF ラインの裏抜け」を狙う
現状の「ディバラ選手とモラタ選手の2トップ」では得点力不足に見舞われたのですから、見切りを付けなければならない時は刻々と迫っています。
打開策としては「『キエーザ選手が持つ個の能力』が最大限発揮される場面の再現率を高めること」が有効と言えるため、そのための攻撃の型を整備することは理に叶っていると言えるでしょう。
アッレグリ監督がどのような判断を下すのかに注目です。