2020/21 UEFA チャンピオンズリーグ・ラウンド16のポルト戦は延長戦の末に 3-2 で勝利したユベントスが2戦合計 4-4 としたものの、アウェイゴールの差でポルトが準々決勝に駒を進めました。
試合に先発した両チームの選手とフォーメーションは以下のとおりです。
Juventus [4-4-2] |
FC Porto [4-4-2] |
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GK | 1: シュチェスニー | 1: マルチェシン |
DF | 16: クアドラード 28: デミラル 19: ボヌッチ 12: A・サンドロ |
18: マナファ 19: ムベンバ 3: ぺぺ 12: ザイドゥ |
MF | 8: ラムジー 5: アルトゥール 25: ラビオ 22: キエーザ |
17: J・コロナ 27: セルジオ・オリベイラ 8: ウリベ 25: オタビオ |
FW | 9: モラタ 7: ロナウド |
11: マレガ 9: タレミ |
ユベントスのピルロ監督は 4-4-2 を選択。モラタ選手とロナウド選手が2トップを組み、守備陣の中央にはボヌッチ選手とアルトゥール選手を起用する布陣で試合に臨みます。
対するポルトのコンセイソン監督は 4-4-2 を選択。先勝したファーストレグと同じスタメンを選択して試合を迎えます。
試合は立ち上がりから両チームが積極的な姿勢を見せる。ユベントスは3分にクアドラードからのクロスに中央でフリーになっていたモラタが頭で合わせるも、シュートは GK マルチェシンが右手でストップ。
対するポルトは7分に応戦。左サイドを突破したザイドゥの折り返しにタレミが合わせるも、ボヌッチのブロックと2度目のシュートはポストに阻まれてしまう。
試合が動いたのは17分。ポルトはマレガの折り返しに先に身体を入れたタレミがデミラルに倒されて PK を獲得。これをセルジオ・オリベイラがゴール左下に決めてポルトが1点を先制する。
0-1 で折り返した後半で先にスコアを動かしたのはユベントス。48分にボヌッチのフィードをロナウドが落とし、キエーザがサイドネットに突き刺してユベントスが 1-1 の同点に追い付く。
するとポルトにアクシデント。53分に直前のプレーでイエローを受けていたタレミがマレガのファールで笛が吹かれた後にボールを大きく蹴り出して2枚目のイエローで退場。ポルトは残り時間を10人で戦うことを強いられる。
攻勢を強めたユベントスは65分に右サイドのクアドラードからのクロスにキエーザがヘディングで合わせて逆転に成功。2戦合計でも 3-3 のイーブンとし、試合を振り出しに戻す。
ユベントスはキエーザが82分に抜け出してシュートを放つが、これは GK マルチェシンが身体に当ててブロック。対するポルトはザガドゥのミドルとマレガの個人技でシュートを打つがこちらもノーゴール。
93分にはクアドラードが右サイドからカットインして左足で巻いた強烈なシュートを放ったもののクロスバーに嫌われて決勝弾とはならず。試合は2戦合計 3-3 で終了し、勝敗の行方は延長戦に委ねられる。
延長前半は双方が慎重な試合運びを見せたものの、延長後半は PK 戦を避けるために勝ち越しを狙う姿勢が鮮明となる。
ユベントスは途中出場のクルゼフスキが両サイドから仕掛けてチャンスまでは作るがゴールを奪えずに時間が経過。するとポルトは115分に距離のある位置で得た FK をセルジオ・オリベイラが飛んだ壁の下を通すシュートを決めて勝ち越しに成功し、勝利を手繰り寄せる。
残り5分で2点が必要となったユベントスは117分にベルナルデスキが入れた左 CK からラビオを頭で合わせて 3-2 と勝ち越しに成功。奇跡まで1点と迫る。
しかし、延長後半アディショナルタイムにクアドラードの FK をマッケニーがニアで合わせたヘディングシュートは GK マルチェシンの横っ飛びセーブに阻まれて奇跡は起きず。セカンドレグはユベントスが 3-2 で制したものの、アウェイゴールの差でポルトが準々決勝に駒を進めた。
なお、試合に出場したユベントスの選手・監督などへの採点は次のとおりです。
GK: シュチェスニー 5.5
セルジオ・オリベイラの FK で壁が飛んだことがすべてだった。飛ばせないように意識付けをさせるか、選手を信用せずに 安全マージンを取るべきだっただろう。
DF: クアドラード 7.0
突破を許す局面もあったが、試合全体を通して右サイドからのクロスが脅威となっていた。素晴らしいパフォーマンス。
DF: デミラル 5.5
先に身体を入れたタレミを倒してしまい PK を献上。このプレーが(一時的ではあるが)試合を重くしてしまった。ただ、責任はそれほど重くはない。
DF: ボヌッチ 6.0
パフォーマンスは低調だったものの露呈せずに交代。マレガのポストプレーに制限をかけれなかったことが物語っている。
DF: アレックス・サンドロ 6.0
逆サイドの攻防が中心だったため試合からは消えていた。要所要所で顔を出せる能力が備わっていることを考えると物足りなさは否めない。
MF: ラムジー 5.5
クアドラードを輝かせるための潤滑油として機能。アルトゥールのサポートも務めるなど中盤のサポート役としては申し分がなかった。しかし、攻撃陣とサポート役としては躍動できなかった。
MF: アルトゥール 6.5
中盤でボールを動かし、チームのパスワークを機能させる。守備面に関しても大きなトラブルに見舞われることもなく状態が上向いていることを示した。
MF: ラビオ 6.0
ジキルとハイド。レジスタも担当しつつ中盤で汗をかき、チーム3点目のゴールを決めたのは大きなプラス要素。一方でセルジオ・オリベイラの FK 時に壁の一員で飛んだ張本人でもある。
MF: キエーザ 8.0
抜群の突破力と決定力を見せ付けて2得点。トリプレッタの可能性も十分に漂わせており、チームのためにすべてを出し尽くしていた。
FW: モラタ 5.5
オープニングシュートが GK 正面を突いたことを皮切りに最後まで波に乗り切れなかった。サポート役に回ったものの中央の選手が今日は決定力がなかったことが裏目に出てしまった。
FW: クリスティアーノ・ロナウド 5.0
78分のクアドラードからのクロスをシュートではなく、モラタへのパスを選択する消極的な姿勢だったことがすべてだろう。エースが弱気なプレーを見せればチームに伝染してしまうからだ。
【交代選手など】
DF: デ・リフト 6.0
ボヌッチとの交代で75分から出場。CB として手堅いプレーを見せ、最後は最前線でポストプレーをするために奮闘した。
MF: マッケニー 6.0
75分にラムジーに代わって出場する。中盤から最前線に顔を出し、期待される役割を全うする。試合終了間際のヘディングシュートが決まっていればヒーローになっていただろう。
MF: クルゼフスキ 6.5
102分にアルトゥールとの交代で出場。両サイドから仕掛けて決定機を作り、攻撃を活性化させる。調子を戻すきっかけとなるに値するパフォーマンスだった。
MF: ベルナルデスキ ー
102分にキエーザとの交代で出場する。ラビオのゴールをアシストしたが、流れの中では存在感を発揮することはできず。消化不調の内容だった。
ピルロ監督 5.0
現実的に2点が必要だったので先制を許したのは問題ではない。ただ、前半の出来は思わしくなく、試合への入り方を間違えたのは否定できないだろう。また、ポルトが1人少なくなり、65分にキエーザのゴールで振り出しに戻してからの試合運びは監督采配の責任でもある。経験のなさが代償となったことは否めない。
カイペルス主審 6.0
試合終盤にデ・リフトが倒れた場面は PK だったかもしれない。だが、ボールキープができていなかったので PK にはならないだろう。ロナウドが GK と絡まった場面も同様だ。不満は出るだろうが誤審と呼べるレベルではなかった。