NO JUVE, NO LIFE!!

- FINO ALLA FINE - ユベントス関係のニュース記事を扱うサイト

コラム: ビッグクラブとのマネーゲームに苦戦する最中にコロナ禍が発生して身動きが取れなくなったユベントス

 ロナウド選手放出の話題がメディアで取り上げられるなどユベントスの経営状況が芳しくないと目されています。これは決算が示している事実で驚きはないのですが、経営が好ましくない原因は指摘・認識しておく必要があるでしょう。

画像:練習を見守るアニェッリ会長とピルロ監督
PR

 

■ ユベントスを取り巻く『経営環境』と『欧州の最新ドレンド』

 経営戦略を立案するために必要となるのは「現状分析」でしょう。これは経営判断を下すための前提であり、立ち位置を確認することは重要だからです。

  • ユベントスの売上高
    • イタリアではトップ
    • 欧州では10位前後
      → 欧州のトップはユベントスの倍近い売上高
  • 欧州の最新ドレンド
    • “チキタカ” からの “ポゼッション”
    • 『ハイプレス』を活用した戦術

 誰が分析を行ったとしても、上述の結果が導き出されるはずです。

 ユベントスは「資金力のあるクラブ」ですが、「最も売上高のあるクラブからは遅れを取っている」ことは否定できません。また、どのクラブも『攻撃的なサッカー』に主体を置いたチーム作りをしているトレンドがあります。

 そのため、経営陣が問われるべきなのは「この状況下でクラブの運営をどうするか」という点に対する責任となるのです。

 

■ トレンドを追従すればマネーゲームは不可避

 健全経営だった頃のユベントスは「マロッタ GM による経営」と「現実主義者のアッレグリ監督」による両輪が機能し、サッカー界が放映権バブルによる恩恵を受ける中で着実な成長を見せていました。

 ただ、ユベントスの成長速度と変わらぬ成長率をレアル・マドリードなどのトップクラブも見せており、ユベントス(のアニェッリ会長)は『拡大路線』への変更を決断。先述の2名はクラブから追われる形で去っています。

 ここで問題となったのは「最新の戦術トレンドを追従することにもなったこと」でしょう。

 最新の戦術トレンドを採り入れると、ユベントスよりも資金力に秀でたチームと移籍市場で獲得が競合することになります。『同じトレンド』に基づくチーム作りをするのですから、『獲得候補』が重複するのは当然です。

 そうなると、獲得候補の値段は上がりますし、欧州でのタイトルから遠ざかっているユベントスは「高額な移籍金と年俸」を提示せざるを得なくなります。デ・リフト選手の獲得はその典型例ですし、資金繰りが急速に悪化するのは予想されたことと言えるでしょう。

 

■ 就任会見で「ハイライン・即時奪還」を宣言したピルロ監督は “ハーメルンの笛吹き男”

 ユベントスの『拡大路線』が間違いだった訳ではありません。「アッレグリ監督が求める能力を持った選手を獲得するための予算をマロッタ GM に与える」という形であれば、機能している可能性が高かったからです。

 ところが、ユベントスが選んだ『拡大路線』の中身は「(資金面や実績でユーヴェを上回る) “リーディング・クラブ” との真っ向勝負」でした。

 ピルロ監督は就任会見でヨーロッパのトレンドである『ハイライン・即時奪還』を志向すると表明しています。その方向性を強めるほどユベントスの財務状況は厳しくなるのは目に見えており、「経営陣がどこまで許容するのか」が鍵になるのは言うまでもありません。

 現状はチームが “ハーメルンの笛吹き男” に惑わされて地獄に向けて歩みを進めている状況ですから、立ち止まることができなければ悲惨なことになってしまうでしょう。

 

 『強固な守備ブロック』や『ロングカウンター』に1番の強みを持つチームの方が現時点では選手を獲得する際に「ビッグクラブとのマネーゲーム」を回避することは可能です。

 ただし、これはアッレグリ監督が取り組んでいたスタイルであり、ユベントスの現経営陣が採用することは非現実的です。そのため、世界を取り巻く経営状況が劇的に好転しない限り、クラブ経営は「緊縮」を余儀なくされる運命にあるでしょう。

 事業費を増やす決断を下した現経営陣が不況下で経営をどのように帳尻を合わせて立て直しを図るのかに注目です。