カルダーラ選手とのトレードという形でボヌッチ選手がユベントスに復帰しました。ただ、ボヌッチ選手と移籍を決めたユベントス首脳陣を待ち受けているのは “イバラの道” と言えるでしょう。
なぜなら、以下の項目に対する批判が既に出ているからです。
- 31歳の選手と(DF 陣の最高給で)5年契約
- 代償は「若手有望株選手(24歳)の放出」
- 自らの意志で退団し、わずか1年で出戻り
この条件で復帰を歓迎するティフォージは少数派でしょう。移籍決定に奔走したフロント陣が歓迎のコメントを出し、波風が立つことを好まないアッレグリ監督が穏便なコメントを口にしている状況です。
高齢化が問題視されていたユベントス守備陣はルガーニ選手とカルダーラ選手という若手有望株2名による “若返り” が始まる予定でした。これを “ご破算” にしたのですから、結果を残せなければ、選手・フロントともに厳しい批判にさらされることになるでしょう。
「セリエA最高の DF」としてボヌッチが躍動することが絶対条件
ボヌッチ選手に希望がない訳ではありません。ただ、条件が複数に及ぶ上、ハードルが高いだけです。
まずはボヌッチ選手が「セリエA最高の DF」と自他共に認められるパフォーマンスを披露することが大前提です。ミラン時代の年俸(推定750万ユーロ)よりは下がったとのことですが、それでも550万ユーロとトゥット紙は報じています。
この年俸水準なら、ユベントスのどの DF よりも好パフォーマンスを見せることがノルマです。
それができなかったり、ユベントス守備陣が失点を積み重ねるのであれば、“戦犯” として集中砲火を浴びることになるでしょう。
ミラン時代に見せた「軽い守備」は論外です。また、スピードで相手 FW に振り切られるなど以ての外です。セリエA最高の DF として契約期間の大半を過ごすことができなければ、失敗作との烙印が押される立場にあるのです。
ルガーニが残留した上で成長することも条件
次に、カルダーラ選手を手放してしまったことで、守備陣の高齢化が再び問題になってしまいました。
- バルザーリ(37, 2019年まで)
- キエッリーニ(33, 2020年まで)
- ベナティア(31, 2020年まで)
- ボヌッチ(31, 2023年まで)
- ルガーニ(24, 2021年まで)
ルガーニ選手以外の CB はすべて30歳台。「主将のキエッリーニ選手を軸に、ルガーニ選手やカルダーラ選手の飛躍を図る」という “若返りプラン” はボヌッチ選手の復帰で崩れました。
おそらく、アッレグリ監督は「過去の実績」を理由にボヌッチ選手を起用するでしょう。割を食うのはルガーニ選手やベナティア選手となる可能性が高く、チェルシーからの熱視線にルガーニ選手が応じることも否定できません。
DF 最高給の出戻り選手・新主将・若手有望株の中から誰かをベンチに置くことを強いられると思われます。3バックという選択肢も残されていますが、アッレグリ監督がどのような選手起用をするかでチームが瓦解するリスクもあると言えるでしょう。
「ティフォージが認める移籍」になる可能性はゼロではない
ボヌッチ選手とユベントスのフロント陣が “イバラの道” を歩み始めたことは間違いありませんが、道を歩んだ先に称賛が待っている可能性はゼロではないことが救いです。ただし、以下の条件をすべて満たすことが求められます。
- ボヌッチが出場したすべての試合で「イタリア最高の DF」に相応する内容を見せる
- チームがチャンピオンズリーグを勝ち取ること
→ 敗退で認められるのは「攻撃陣の差で敗けた場合」のみ - ルガーニがチームに残留した上、成長を遂げる
- ロマーニャがカリアリで飛躍する
→ バルザーリの後任として買い戻せるため
要するに、ピッチ上でティフォージが求める結果を残せば良いのです。
「ロマーニャ選手の成長」以外はすべてボヌッチ選手とユベントスのフロント陣が結果責任を負わなければならない項目ばかりです。その覚悟があるから、“出戻り選手” に最高の条件を用意したのでしょう。
当然、ティフォージはボヌッチ選手に容赦ないブーイングを浴びせると思われます。ボヌッチ選手がピッチ上で結果を残し、ブーイングから歓声へと自らのパフォーマンスでティフォージの反応を変えることができるのかに注目です。