セリエA第34節のサンプドリア戦でスクデットを決めたこともあり、ユベントスはチャンピオンズリーグに注力できる条件が整いました。実力的には、欧州4強の常連であるレアル・マドリードに挑む新生ユベントスという見方が一般的だと言えるでしょう。
両チームの直近での対戦は2013/14シーズンのグループステージです。対戦成績はレアルホームで 2-1、ユベントスホームでは 2-2 の1分1敗でした。ユベントススタジアムで行われた2戦目の先発メンバーとフォーメーションは下図のとおりでした。
コンテ監督時代は一貫して 3-5-2 を選択していたのですが、この対戦ではぶっつけ本番で 4-3-3 を起用しました。
GK: ブッフォン
DF: カセレス、バルザーリ、ボヌッチ、アサモア
MF: ビダル、ピルロ、ポグバ
FW: マルキージオ、ジョレンテ、テベス
試合はレアルがボールを支配する展開だったので、ユベントスはテベスとマルキージオがサイドを埋める形で 4-5 のブロックを形成して防戦に回るという状況でした。アッレグリが好む形は 4-3-1-2 ですから、コンテのやり方とは違う方法でアプローチする必要があるでしょう。
BBC or チチャリート
レアル・マドリードの攻撃で注目されるのはベンゼマ、ベイル、ロナウドの BBC トリオです。コンディション的に問題がなければ、(会長の意向もあるので)彼らが先発に名を連ねると思われます。
ですが、ベイルは直近のセビージャ戦で途中交代で出場しましたが、ベンゼマは3日に全体練習に復帰した段階です。そのため BBC の3人ではなく、ロナウドとチチャリートの2トップが現実的なのではないでしょうか。強硬出場してくる可能性はありますが、準決勝の第1戦目であることと主審がイングランドのマーティン・アトキンソンであることから、その可能性は低いでしょう。
チチャリートならピルロを追いかけ回す役割を十分にこなすことができるので、ユベントスとしてはありがたくないことかもしれません。
モドリッチは復帰できるのか
2014/15シーズン、レアル・マドリードの中盤の要は間違いなくルカ・モドリッチでしょう。アッレグリ監督も「ロナウド以外なら、彼を外したい」とメディアからの質問に答えるほどの貢献度を残しています。しかし、ひざを故障しているため戦列復帰できるかに暗雲が立ちこめています。
BBC とモドリッチが万全でないため、中盤ではセルヒオ・ラモスとトニ・クロースのダブルボランチが最近の試合では起用される傾向があるようです。セルヒオ・ラモスの本職はセンターバックですが、攻撃が好きな選手でもあるので適職とも言えるでしょう。プレーイメージとしてはサミ・ケディラと似ているという印象で間違いないと思われます。
モドリッチの不在は中盤からの中央突破するためのパスの出所が限定されることを意味しますが、相手のカウンターを受けた際にセルヒオ・ラモス、ペペ、ヴァランの3人で対応できるというメリットもあります。
レアル・マドリードの左サイドからの攻撃への対応
レアルの攻撃についてはロナウドがいるため、左サイドに比重が置かれています。そこに攻撃が好きな SB のマルセロやイスコが加わるのですから、数的不利な状況を作られることは避けなければなりません。
ユベントスとしては「リヒトシュタイナーの前のスペースを誰がケアするのか」ということを考慮する必要があります。逆にマルセロが高いポジションを好む傾向が強いので、トップ下で出場すると思われるペレイラがマルセロの裏のスペースにボールを持ち出し、CBのペペを釣り出せるかが攻撃の鍵となると思われます。右サイドについては手薄になるタイミングをハメス・ロドリゲスとカルバハルが狙っているという形でしょう。
攻撃の起点が左側に置いているチームとの対戦になるので、気持ちよく攻撃させないために簡単に起点を作らせない試合運びがユベントスには求められるのではないでしょうか。
財政力がある格上のチームが勝つとは限らないことはトリノ・ダービーでユベントスが体験済みのことです。このことを教訓にメディアやファンがどれだけ「マドリー、優位」の雰囲気を醸し出したとしても、ピッチ上で番狂わせを狙うために最後まで戦うことが大事になります。
そのためには試合に向けてよい準備をするとともに、自陣内で軽率な形でボールを失って相手に絶好機をプレゼントしないことが肝心となるでしょう。ですが、ミスはどの選手にもする可能性はあります。したがって、致命傷になる前にチームでそのミスをカバーしきれるかが2戦目に望みをつなぐポイントだとも言えるでしょう。