現地時間5月13日にスペイン、マドリードのエスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウで行われたレアル・マドリード対ユベントスの一戦は 1-1 で終え、その結果トータルスコアを 2-3 としたユベントスがバルセロナの待つファイナルへと駒を進めました。
両チームの先発メンバーは下図の通りでした。
ホームでの逆転突破を狙うレアルは BBC がそろって名を連ねる 4-3-3 を選択。体調不良でバレンシア戦を欠場したラファエル・バラーヌも回復し、先発としてプレーしました。
GK: カシージャス
DF: カルバハル、バラーヌ、セルヒオ・ラモス、マルセロ
MF: ハメス・ロドリゲス、クロース、イスコ
FW: ベイル、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウド
欧州王者に挑む形のユベントスは予想通り 4-3-1-2 をチョイス。ポグバがセカンドレグに間に合ったことで、チーム力が向上しました。
GK: ブッフォン
DF: リヒトシュタイナー、ボヌッチ、キエッリーニ、エヴラ
MF: マルキージオ、ピルロ、ポグバ、ビダル
FW: モラタ、テベス
気温が30度を越える中で始まった試合はホームチームのものでした。開始わずか30秒でのベイルのヘディングを皮切りにユベントスゴールへと迫り続けます。5分のベンゼマ、10分のロナウドのFKと得点が決まるのは時間の問題という空気がスタジアムに蔓延していました。
ユベントスが前半に相手ゴールに迫れたのは13分にエリア外から放たれたビダルのシュートだけ。この直後からレアルの時間となり、23分にエリアに侵入したハメス・ロドリゲスをキエッリーニが倒したとしてレアルにPKが与えられてしまいます。
ロナウドのPKで先制されたユベントスでしたが、30m レンジのロングパスが相手守備網にことごとく引っかかり、攻撃を組み立てることができません。その後もレアルの攻撃を受け続けることになりましたが、前半を何とか 1-0 で終えたことで決勝への望みを絶たれずに済みました。
後半に入ると、試合の様相が徐々に変わり始めます。レアルの前線からのプレスが弱まり始め、中盤にユベントスの選手がボールを持ち運びできるスペースが生まれたのです。
そして、57分にユベントスの選手達を奮い立たせるゴールが決まります。右サイドで獲得したFKをピルロがゴール前に入れると、キエッリーニが競り合ったボールをビダルが回収し、最前線のポグバへ素早く展開。ポグバが頭で中へ折り返すと、モラタが胸トラップから左足で同点ゴールを叩き出しました。
このゴールで、ユベントスにとってはどこか“夢物語”だった決勝進出がにわかに現実味を帯び始め、ピッチ上の選手達の集中力が増す事になりました。逆にそれと反比例するようにレアルのロングパスの精度が落ち始め、狂った攻撃の歯車を立て直せなくなります。
元祖・銀河系軍団も左右からクロスを放り込みシュートを打ち続けましたが、極限のプレッシャーの中で最後まで集中力を切らさず、最後まで泥臭く守り切ったユベントスがベルリン行きの切符を手中に収めることとなりました。
この試合に出場したユベントスの選手たちに対する個人的な採点は次のとおりです。
GK: ブッフォン 7.0
驚異的な安定感を見せつけ、12年前の忘れ物を取り戻す機会を得ることに成功した。前半をロナウドのPKによる失点だけで切り抜けられたのは彼の力による部分が大きい。
DF: リヒトシュタイナー 6.0
対面するマルセロに自身の前にあるスペースで攻撃の起点を作られることもあったが、全体として上手く抑えこむことに成功した。後半はロナウドに仕事をさせなかったことも大きい。
DF: ボヌッチ 6.0
BBC に抜け出されたとしても、シュートコースを消すという最低限の役割を果たせていた。ピルロにマークが張り付いた際に球出しの起点としての役目も十分なものだった。
DF: キエッリーニ 6.0
ハメスへのチャージは確かに雑だったかもしれない。だが、そのプレーを引きずらず、レアルの攻撃を弾き返し続けた貢献度は高い。
DF: エヴラ 6.5
影のMVP。ベイルとのミスマッチを狙う目的を持ったマドリーの攻撃に対応することを強要されたが、ベイルがこの試合のワーストプレイヤーと叩かれていることがエヴラの貢献度を証明している。
MF: マルキージオ 6.0
ロナウドとイスコを試合から消した功績は大きい。70分に放ったシュートを決め切れていれば、彼個人にとっても素晴らしい夜になっていただろう。
MF: ピルロ 5.0
ベンゼマにチェックされていたこともより、攻撃面で肝となるはずのパスの精度が今ひとつだった。
MF: ポグバ 5.5
才能の片鱗は随所で見ることができた。復帰直後の試合で89分までプレーできたことは大きい。復帰直後のガス欠が解決されれば、プレー精度の向上が見込めると期待できる。
MF: ビダル 6.0
1戦目と同じく攻守に渡って貢献。守備では献身的にタスクをこなし、攻撃面では効果的なボールの動かし方を実践していた。
FW: テベス 6.0
守勢に立たされていた際でもストレスを溜め込まず、ボールをキープし、チームのために働き続けた。シュートを打つ機会には恵まれなかったが、劣勢の中で最大限の働きをしていたと言えるだろう。
FW: モラタ 7.5
ポグバからの浮き球を冷静にゴールに結びつけた才能は本物。セリエAのディフェンスには手を焼くこともあるが、スペインの守備陣がやり方を熟知していたことがボールキープなどに役立ったと思われる。
【交代選手】
バルザーリ ー
79分にピルロとの交代で出場し、中央の守備をより強固なものにした。空中戦での制空権を抑え、ベルリン行きのチケットを確固たるもとした。
ジョレンテ ー
モラタと交代で84分から出場。ボールを保持し、時計を進めるという役割を忠実に遂行した。88分に絶好機をお膳立てするも、ポグバが決め切れず。切り札としての存在感は日に日に増している。
ペレイラ ー
ポグバと交代で89分に出場機会を得る。ジョレンテと2人で相手陣内でボールを保持するという最も安全な時計の針を進めるやり方を実践できていた。
アッレグリ監督 6.5
前半の失点後からの悪い流れをハーフタイムで上手く修正した。レアルの攻撃をファーサイドへのアーリークロスとエリア外からのロングシュートに限定した守備網の構築は評価できる。
ヨナス・エリクソン主審 5.0
32分にイスコがテベスを倒したとしてカードを出したあたりから、体を入れてボールを守るプレーに対して“ファールを取らないという基準”に変更した。この基準ならハメスへのファールはそもそも存在せず、44分の時点でハメスは2枚目のカードで退場だった。