イタリアサッカー選手協会(AIC)の公式サイト上でウンベルト・カルカーニョ会長が ANSA からのインタビューでボヌッチ選手を全面擁護した際の主張が掲載されています。
ユベントスはカルカーニョ会長の主張に対してクラブ声明文で反論。歩み寄る姿勢は全く見せていません。ユベントス側から見るとメディアが騒ぐほど “泥沼” ではないことが要因でしょう。
「クラブの決定に不満があるなら仲裁委員会で決着を付けよう」がユベントスの姿勢
AIC のカルカーニョ会長は「トップチームの監督から技術的な指示を受けることができずに別スタッフとの個人練習をチーム練習とは異なる時間帯に行うことはあり得ない」との理由で以下の主張を展開しています。
- ボヌッチは労働協定で禁じられている行為を受けて尊厳を踏みにじられている
- ユーヴェをボヌッチを直ちに復帰させなければならない
“案件を仲裁委員会に持ち込まれたくないクラブ” との交渉なら、選手協会からの圧力は相応の効果が期待できるでしょう。
しかし、ユベントスの姿勢は当初から「クラブの決定に不満があるなら仲裁委員会で決着を付ければ良い」です。このケースだと選手協会(AIC)の出る幕はありません。
だから、ユベントスからのクラブ声明文で「公式の場から逃げるなよ」と逆に釘を刺されることになったのです。
「AIC の本分は新労使協定交渉ではないのか?」との先制パンチをお見舞い
ユベントスが発表した声明文は「ボヌッチ案件への見解および対応方針」と「AIC への指摘」の2部構成になっています。
- ボヌッチ案件への見解および対応方針
- 当カテゴリーにおける労働協約に規定されたすべての権利を完全に保証
- 全登録選手に対する行動の正しさを再確認
- 必要である場合は管轄機関で自らの正当性を弁護する用意がある
- イタリアサッカー選手協会(AIC)への指摘
- AIC とレガ・セリエAの新労働協定交渉で『選手の権利』と『クラブのニーズ』における最適なバランスを定義する問題が 2024/25 シーズンに先立って根本的に解決されることを望む
要するに「ボヌッチ案件は “現行の” 労働協約に則って仲裁委員会での対応のみを行う」と宣言し、選手協会へは「リーグ機構との交渉の場で本件が再発しないような仕組み作りを話し合おう」と呼びかけているのです。
“ボヌッチ案件では部外者” の AIC は「選手の権利を守れ」と紙面上で好き勝手に主張できても、新労働協約交渉では “交渉の場に出席する当事者” です。
AIC は新労働協約交渉の結果責任から逃れることはできませんし、選手協会側の主張が全面的に認められる形での交渉妥結になるとは期待できません。(ユーヴェは反対派に陣取ると予想されるからです)
だから、「身の程を知れ」との嫌味を言われることになるのです。
まずはボヌッチ選手の出方次第です。「残留してチームへの復帰を求めて仲裁委員会への提訴」から「今夏の移籍市場で新天地への移籍」まで選択肢は多数存在するからです。
どのような結末となるのかに注目です。