2019/20 シーズンの前半戦が終了しましたので、ユベントスの選手・監督への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。 最終回となる第5回目の評価対象は FW 陣です。
クリスティアーノ・ロナウド(34): A-
ロナウド選手が 2019/20 シーズン前半戦に記録した出場成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:85.5%) |
セリエA | 14 (14) | 10 (1) | 1225' |
UEFA CL | 6 (6) | 2 (1) | 532' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 21 (21) | 12 (2) | 1847' | |
前半戦の全試合 | 24 | ー | 2160' |
昨シーズンの前半戦では15得点8アシストでしたから、12得点2アシストは「成績を落とした」と言わざるを得ないでしょう。
ただ、今季はポルトガル代表にも参加していることに加え、ひざに不安を抱えたままでプレーを強行しました。また、監督交代によってプレーコンセプトそのものも変わったため、ある程度は差し引く必要があるはずです。
したがって、後半戦は「(昨季前半戦で記録した)15得点8アシストを超えること」が期待されます。達成できる試合数と実力が備わった選手ですから、ゴールマシーンと化すことができるのかに注目です。
パウロ・ディバラ(26): A
ディバラ選手が今季前半戦に残した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:58.6%) |
セリエA | 15 (11) | 5 (3) | 968' |
UEFA CL | 6 (2) | 3 (2) | 207' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 1 | 90' | |
合計 | 22 (14) | 9 (5) | 1265' | |
前半戦の全試合 | 24 | ー | 2160' |
出場時間率は60% 弱と「完全な主力選手」とは断言できない水準に留まりました。しかし、9得点5アシストと限られた時間帯の中で決定的な仕事を多数しており、「結果を残した前半戦だった」と評価されるべきでしょう。
後半戦は「出場時間率をどれだけ伸ばせるか」が課題となります。攻撃面で決定的な仕事をしてくれることは結果が物語っています。そのため、起用面が最大の注目点になるでしょう。
チャンピオンズリーグではベンチスタートとなる試合が多い傾向にありましたから、この部分で変化が生じるのかに注目です。
ドウグラス・コスタ(29): C
D・コスタ選手が記録した前半戦の出場成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:13.8%) |
セリエA | 8 (3) | (2) | 264' |
UEFA CL | 1 | 1 | 20' | |
SuperCoppa | 1 | 0 | 14' | |
合計 | 10 (3) | 1 (2) | 298' | |
前半戦の全試合 | 24 | ー | 2160' |
監督が変わったことで心機一転して非常に高いモチベーションで今シーズンを迎えたものの、昨シーズンと同様に筋肉系のトラブルで大部分を棒に振りました。
サッリ監督からの評価は「(ラムジー選手と同様に)戦術的に有用な選手」というものでしょう。ベンチ入りした試合ではほぼ起用されているからです。ただ、負傷で戦力になり切れなかったことが足を引っ張る形となりました。
そのため、後半戦の課題は「負傷離脱せずに過ごすこと」になるでしょう。突破力を兼ね備えた爆発的なドリブルは魅力的ですが、負傷離脱していれば、宝の持ち腐れとなるからです。
もし、後半戦も負傷離脱に苦しむようであれば、換金の対象としなければなりません。それだけ瀬戸際にある選手と言えるでしょう。本領を発揮することができるのかに注目です。
ファン・クアドラード(31): A-
右サイドバックとして本格的に起用されたクアドラード選手が今シーズンの前半戦に記録した成績は以下のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:65.9%) |
セリエA | 14 (10) | (2) | 1029' |
UEFA CL | 4 (4) | 1 (1) | 360' | |
SuperCoppa | 1 | 0 | 35' | |
合計 | 19 (14) | 1 (3) | 1424' | |
前半戦の全試合 | 24 | ー | 2160' |
サイドバックの序列は3番手からスタートしましたが、本職選手の負傷離脱によって得たチャンスを活かし、レギュラーの座を自分のものにすることに成功しました。
前線の FW 陣にボールを預けて自らはオーバーラップしたり、アーリークロスを供給したりとドリブル突破以外にも効果的な攻撃を見せました。したがって、攻撃力に秀でたサイドバックとして高く評価されるべきでしょう。
後半戦の課題は「守備面でのデュエルの精度を上げること」になります。無理なタックルを仕掛けなくても良い場面で我慢をすることを覚えたり、身体の向きなどが改善点と言えるでしょう。対応が増える守備面での精度がどれだけ高まるかに注目です。
マリオ・マンジュキッチ(33): C
マンジュキッチ選手はシーズン開幕前にサッリ監督の構想外となり、前半戦での出場時間はありませんでした。
監督が志向するスタイルに合致しないのですから、序列が下がることは止むを得ません。しかし、チームの功労者に対する扱いとしては疑問符を付けずにはいられないことが正直なところです。
マンジュキッチ選手の強みである「空中戦」や「前線 FW の献身性」を失ったことと引き換えに得た強さがあれば良いのですが、それが見えていないことが現状です。
マンジュキッチ選手は1月からカタールのアル・ドゥハイルに移籍することが発表されていますから、新天地でこの半年間を鬱憤を晴らす活躍を見せて欲しいと思います。
マルコ・ピアツァ(24): C
ピアツァ選手はフィオレンティーナに期限付き移籍していた昨季後半戦に左ひざ前十字靭帯を断裂。今年10月頃までに戦線復帰することは難しい状況でした。そのため、チームに残ることになったのはクラブも選手も想定していたことだったでしょう。
注目点は「負傷から回復した後の起用方法」だったのですが、サッリ監督はプリマベーラでプレーさせずにトップチームの招集メンバーに含めました。
おそらく、ピアツァ選手は出場機会を確保するために1月の移籍市場で期限付き移籍をすることになるでしょう。「回復状況が未知数」という現状ですから、去就は現行契約が残り1年になる今季終了後に動くことになるはずです。
今季後半戦でピアツァ選手がどのようなパフォーマンスを見せるのかに注目です。
ゴンサロ・イグアイン(32): C
ユベントスに復帰したイグアインが 2019/20 シーズン前半戦に記録した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:68.1%) |
セリエA | 15 (11) | 4 (4) | 1006' |
UEFA CL | 6 (4) | 2 (2) | 399' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 66' | |
合計 | 22 (16) | 6 (6) | 1471' | |
前半戦の全試合 | 24 | ー | 2160' |
6得点6アシストは悪いパフォーマンスではありませんが、選手に用意された環境を踏まえると不十分です。「70% 弱の出場時間」に「守備は免除」の状況で『ディバラ選手の残した成績』を下回るのは問題です。
また、イグアイン選手の年間人件費は3000万ユーロ超とチーム内で2番手です。したがって、「サッリ監督が就任して復活した」と持て囃すのは明らかに時期尚早と言えるでしょう。
後半戦で求められるのは「コストパフォーマンスに見合った貢献をすること」です。守備で走れないなら、後半戦だけで10ゴール10アシストがノルマと言えるでしょう。
イグアイン選手が寵愛を受け続けるに値するパフォーマンスを見せられるかに注目です。
フェデリコ・ベルナルデスキ(25): B-
ベルナルデスキ選手が前半戦で残した出場成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:43.0%) |
セリエA | 14 (9) | 0 | 749' |
UEFA CL | 4 (2) | 1 | 179' | |
合計 | 18 (11) | 1 | 928' | |
前半戦の全試合 | 24 | ー | 2160' |
2トップのサポートをする “3人目の FW” として高い序列でシーズンをスタートしたD・コスタ選手やラムジー選手の負傷離脱で得たチャンスにトップ下として起用され、出場時間を伸ばしました。
ただ、攻撃で決定的な仕事が期待されるトップ下の選手としてゴールに関係する成績を残せていないことがマイナスです。持ち前の走力で攻守に汗をかき続けましたが、それだけで満足されるポジションではないからです。
したがって、後半戦では「攻撃面で目に見せる成績を残せるか」が課題となります。ゴールに直結する仕事がしにくいポジションではありませんし、中盤のレジスタやインサイドハーフよりも少ないゴール数やアシスト数ではポジションを奪われてしまうでしょう。
ベルナルデスキ選手が攻撃面でも持ち味を発揮することができるのかに注目です。