2022/23 シーズンが終了しましたので、ユベントスの選手・監督への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。 第3回目の評価対象は DF 陣です。
マッティア・デ・シリオ(30):C
デ・シリオ選手が 2022/23 シーズンに記録した出場成績は以下のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:27%) |
セリエA | 17 (11) | 0 | 1042' |
UEFA CL | 3 (1) | 0 | 94' | |
UEFA EL | 3 (2) | 0 | 143' | |
イタリア杯 | 2 (1) | 0 | 92' | |
合計 | 25 (15) | 0 | 1371' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
出場時間率はシーズン全体で 27%。控え選手としての『稼働率』は十分な水準です。しかし、実際にベンチ入りしてプレー可能な状態であるかの『スタンバイ率』があまりに低すぎました。
「シーズン全体の 70% 以上でプレー可能かつ 30% 前後の出場時間率」が控え選手に求められている貢献でしょう。
前十字靭帯断裂よる離脱前でも要求水準に達していなかったことから評価は及第点が適切でしょう。来季は「シーズン後半戦の 70% 以上でベンチ入りし、出場した試合で堅実なプレーを見せ続けること」が求められることになると思われます。
ブレメル(26):A
2022年夏にトリノから新加入したブレメル選手が今季に記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:75.4%) |
セリエA | 30 (30) | 4 (1) | 2640' |
UEFA CL | 3 (3) | 0 | 270' | |
UEFA EL | 7 (7) | 0 | 643' | |
イタリア杯 | 3 (3) | 1 | 270' | |
合計 | 43 (43) | 5 (1) | 3823' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
加入初年度で 75% の出場時間率を記録。レギュラー CB としてチームに大きく貢献しました。
対人守備力の高さは UEFA のコンペティションでも発揮。シーズン後半戦は左ひざの痛みと戦いながらもシーズンを完走しており、ユベントスでも順調に成長したと評されるでしょう。
来季は「ブラジル代表でのスタメン争いをするためのさらなる成長」がテーマになるはずです。
第18節ナポリ戦でオシムヘン選手に完敗を喫した試合内容は改善点ですし、ボールを持たされた際に前方の味方に縦パスを入れる確実性と技術力の向上が課題になるでしょう。
ダニーロ(31):A+
ダニーロ選手が 2022/23 シーズンに残した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:91.6%) |
セリエA | 37 (35) | 3 (3) | 3182' |
UEFA CL | 5 (5) | 0 | 428' | |
UEFA EL | 8 (8) | 0 | 742' | |
イタリア杯 | 4 (3) | 0 | 292' | |
合計 | 54 (51) | 3 (3) | 4644' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
チームが消化した公式戦全56試合中54試合に出場。出場時間率は 91.6% に達しました。フォーメーションや左右に関係なく試合に出場し続けており、「ダニーロがピッチ上にいることが前提」だったと評さなければならないでしょう。
来季のテーマも「シーズンを通してチームに貢献するコンディションを維持すること」です。
ポジションに関係なくクオリティーを発揮してくれているため、ダニーロ選手にとって唯一の懸念事項がコンディション不良だからです。
来季も 90% 超の出場時間率を前提にしたチーム運用は良いとは言えませんし、ダニーロ選手の出場時間が4000分を下回る水準にまで頭角を現した若手選手が出場機会を得ることが期待されるシーズンになるでしょう。
アレックス・サンドロ(32):C
2022/23 シーズンでのA・サンドロ選手の出場成績は以下のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:51.4%) |
セリエA | 25 (21) | (1) | 1787' |
UEFA CL | 4 (2) | 0 | 238' | |
UEFA EL | 5 (5) | 0 | 383' | |
イタリア杯 | 3 (2) | (1) | 196' | |
合計 | 37 (30) | (2) | 2604' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
出場時間率はシーズン全体の 51.4%。2600分の出場時間でチームに貢献したことは確かですが、「パフォーマンスの内容が乏しかったことは大きなマイナス」と評さなければならないでしょう。
「前後どちらに動いてクリアを試みるのか最適解か」の判断が昨季に続いて思わしくなく、DF として計算できる戦力から漏れてしまった厳しい現実に直面しています。
フェデリコ・ガッティ(24):B
セリエAデビューとなったガッティ選手が 2022/23 シーズンに記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:42.4%) |
セリエA | 18 (16) | 0 | 1446' |
UEFA CL | 2 (2) | 0 | 180' | |
UEFA EL | 5 (3) | 2 | 346' | |
イタリア杯 | 2 (2) | 0 | 180' | |
合計 | 27 (23) | 2 | 2152' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
最終的な出場時間率は 42.4% でした。第7節モンツァ戦で「自身の背中に潜む CF を捕まえておくことが苦手」との弱点が露呈して苦境に立たされたものの、2023年3月以降はレギュラーとしてプレーするほどの成長を見せました。
脆弱点はある程度の改善ができたため、来季は「細かい課題を1つずつ潰して成長し続けること」が目標になるでしょう。
守備面では「ゾーンに留まっての迎撃と持ち場を離れてでも密着マークの的確な選択」が具体的な課題に設定されると思われます。来季はシーズン全体での主力選手として存在感を発揮できるのかにも注目です。
レオナルド・ボヌッチ(36):D
ボヌッチ選手が今季に記録した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:30%) |
セリエA | 16 (9) | 1 | 870' |
UEFA CL | 6 (5) | 1 | 443' | |
UEFA EL | 3 (1) | 0 | 136' | |
イタリア杯 | 1 (1) | 0 | 68' | |
合計 | 26 (16) | 2 | 1517' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
出場時間率は 30%。“DF のチーム内最高年俸を得ている選手” による貢献度としてはあまりに低すぎます。パフォーマンス自体が乏しいことから厳しい評価になるのは必然でしょう。
来季は「2024/25 シーズン以降を見据えた復権の初年度にしたいユベントス」と「現役ラストシーズンにしたいボヌッチ」になるため、両者の利害は一致しません。
ボヌッチ選手の費用対効果は今季よりも悪化するため、良い別れが待っている可能性はあまり期待できないでしょう。
ダニエレ・ルガーニ(28):C
ルガーニ選手が 2022/23 シーズンに記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:14.6%) |
セリエA | 9 (6) | 0 | 562' |
UEFA CL | 1 (1) | 0 | 90' | |
イタリア杯 | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 11 (8) | 0 | 742' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
シーズン全体での出場時間率は 14.6% とボヌッチ選手の半分に留まりました。費用対効果も同程度ですが、ピッチ上での貢献度はボヌッチ選手よりも明らかに秀逸でした。
後半戦ではオシムヘン選手やサパタ選手など “パワー系の CF” を封じ込めていたのです。そのパフォーマンス内容と出場時間が見合っていないため、起用方法次第で貢献度は変わってくると思われます。
契約に付随しているオプションを発動させたくない裏事情があるなら別ですが、「不思議な起用方法で翻弄されたシーズン」と評されるべきでしょう。