2022/23 シーズンが終了しましたので、ユベントスの選手・監督への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。 第4回目の評価対象は MF 陣です。
マヌエル・ロカテッリ(25):A
ロカテッリ選手が 2022/23 シーズンに記録した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:71.7%) |
セリエA | 32 (29) | (2) | 2456' |
UEFA CL | 5 (2) | 0 | 265' | |
UEFA EL | 8 (7) | 0 | 643' | |
イタリア杯 | 4 (3) | 0 | 273' | |
合計 | 49 (41) | (2) | 3637' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
レジスタとして公式戦の 71.7% に出場し、パフォーマンスで主力選手としての地位を確立しました。
「DF ラインの盾として機能する」という守備面での貢献は他の選手の追随を許さず、この部分がレギュラーの座を手にする決定打になりました。
来季は「攻守両面で前方にいる FW 陣や MF 陣を上手く操るための的確な指示出し」がテーマになるはずです。コーチングの部分で成果を残せばイタリア代表でも主力になれると思われるため、自らプレー以外での貢献度が問われることになるでしょう。
ポール・ポグバ(30):D
ポグバ選手が残した 2022/23 シーズンの出場成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:3.2%) |
セリエA | 6 (1) | 0 | 108' |
UEFA EL | 3 | (1) | 42' | |
イタリア杯 | 1 | 0 | 11' | |
合計 | 10 (1) | (1) | 161' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
“チーム最高給を得ている選手” の公式戦全体で見た出場時間率は 3.2% でした。厳しい評価になるのは止むを得ないでしょう。
半月板の負傷はアクシデントでノーカウントとしても、シーズン後半戦も筋肉系の負傷離脱を繰り返していればピッチ上でのパフォーマンスを評価したくてもできないからです。
カルヴォ CFO は「ユーヴェはファミリー」とポグバ選手との契約解除を否定していますが、2年連続で負傷離脱を繰り返すのであれば契約解除に踏み切らなければなりません。
その認識で 2023/24 シーズンに臨むことが選手だけでなく経営陣にも求められることになるはずです。
ファン・クアドラード(35):Bー
35歳を迎えるクアドラード選手は 2022/23 シーズンに全公式戦での出場時間率 65% を記録しました。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:64.9%) |
セリエA | 31 (24) | 1 (3) | 2083' |
UEFA CL | 6 (6) | (1) | 437' | |
UEFA EL | 8 (6) | 0 | 592' | |
イタリア杯 | 2 (2) | 1 | 178' | |
合計 | 47 (38) | 2 (4) | 3290' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
実力や勢いのある選手とのマッチアップでは「加齢による衰え」が隠し切れなくなっているものの、「コンスタントに出場し続けてシーズン全体ではチームに欠かせない戦力になっていた」との評価が妥当でしょう。
来季はチームがチャンピオンズリーグ出場権を喪失したことで費用対効果の基準が厳格になります。クアドラード選手の推定年俸水準だと予算超過であり、今夏で契約満了による退団が幸せな結末になるでしょう。
フィリップ・コスティッチ(30):A
フランクフルトから昨夏に加入したコスティッチ選手がユベントス初年度に記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:71.9%) |
セリエA | 37 (33) | 3 (8) | 2579' |
UEFA CL | 6 (5) | (1) | 430' | |
UEFA EL | 8 (5) | (1) | 412' | |
イタリア杯 | 3 (3) | (1) | 225' | |
合計 | 54 (46) | 3 (11) | 3646' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
出場時間率は 72% を記録し、公式戦全体で3得点11アシストの結果を残しました。加入初年度の成績として申し分のない数値です。
来季の課題は「コスティッチ選手の能力をさらに活かす形でのボールの預け方」と「シーズン最終盤のコンディション調整」になると思われます。
もう少しペナルティーエリアに近いゾーンからクロス(やシュート)の機会をチームとして増やすべきですし、コスティッチ選手にはその要望に応える能力があります。また、3月の代表戦でアキレス腱を痛めた後は調子を落としたままだったことは改善点でしょう。
アドリアン・ラビオ(28):A+
ラビオ選手が 2022/23 シーズンに残した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:83.2%) |
セリエA | 32 (31) | 8 (4) | 2751' |
UEFA CL | 5 (5) | 2 | 447' | |
UEFA EL | 8 (8) | 1 (2) | 750' | |
イタリア杯 | 3 (3) | 0 | 270' | |
合計 | 48 (47) | 11 (6) | 4218' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
4000分超の出場時間だけでなく、11得点6アシストとキャリアハイの成績を残しました。中盤で絶対に欠かすことができない主力選手であることは改めて言うまでもないでしょう。
重要度はダニーロ選手と同様に最上位ですし、今夏で契約満了であることが悔やまれます。引き留められなくても止むを得ないパフォーマンスだったことが物語っています。
レアンドロ・パレデス(28):D
PSG から期限付き移籍で加入したパレデス選手が記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:30.5%) |
セリエA | 25 (8) | 1 | 964' |
UEFA CL | 4 (4) | (1) | 311' | |
UEFA EL | 4 (1) | 0 | 154' | |
イタリア杯 | 2 (1) | 0 | 117' | |
合計 | 35 (14) | 1 (1) | 1546' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
出場時間率 30% は “控え選手” としては十分です。しかし、パレデス選手の(年俸面での)待遇は『主力選手』だった訳ですから、この出場時間では「不十分」と評さざるを得ません。
また、低調なパフォーマンスが加入直後から続いたこともマイナスです。期待されたパフォーマンスに近い内容だったのは2023年3月の国際Aマッチデーが終わった後の約2ヶ月でした。
この費用対効果は容認できない水準ですし、買取オプションの行使が見送りになるのは必然でしょう。年俸がロカテッリ選手よりも安価であれば異なる未来が待っていたと思われます。
ファビオ・ミレッティ(19):B
トップチームに本格帯同したミレッティ選手が 2022/23 シーズンに残した出場成績は以下のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:36.1%) |
セリエA | 27 (14) | (3) | 1232' |
UEFA CL | 5 (3) | 0 | 213' | |
UEFA EL | 4 (3) | 0 | 196' | |
イタリア杯 | 4 (2) | 0 | 191' | |
合計 | 40 (22) | (3) | 1832' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
1800分の出場時間を記録。出場時間率では 36.1% と「トップチームでも戦力として計算できる存在であること」を示した収穫のあるシーズンだったと言えるでしょう。
惜しかったのは「ユベントスで公式戦初得点を決めることができかったこと」。攻撃的なポジションを託される選手は「初ゴールが成長のブースターとして機能する傾向が強い」ため、ゴールを決められなかったことだけが悔やまれます。
来季の課題は「 “シーズンを通して活躍する体力” がまだ備わっていない現状をどうするか」でしょう。“シーズンを戦い抜く体力” は備わっているため、1つ上の要求にどう応えるのかが注目点になると思われます。
ニコロ・ファジョーリ(22):Aー
クレモネーゼでの武者修行から戻ってきたファジョーリ選手がユベントスのトップチームで記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2022/23 (出場時間率:43.1%) |
セリエA | 26 (17) | 3 (4) | 1519' |
UEFA CL | 2 (1) | 0 | 108' | |
UEFA EL | 6 (4) | (1) | 356' | |
イタリア杯 | 3 (3) | 0 | 202' | |
合計 | 37 (25) | 3 (5) | 2185' | |
全試合 | 56 | ー | 5070' |
昨季セリエBで残した成績が33試合出場で3得点7アシスト。今季はセリエAなど全公式戦で37試合3得点5アシストと「上のカテゴリーでも成長曲線を描き続けることに成功」したシーズンになりました。
ターニングポイントになったは2022年10月末のセリエA第12節レッチェ戦。自らの決勝ゴールでチームを勝利に導き、自らのミスが敗戦に直結するなど厳しい現実を突き付けられたりしたものの最優秀若手選手に選出される活躍を披露しました。
来季は「シーズン全体での貢献」が期待される中でのプレーとなるため、相手チームから対策が講じられた状況下でも存在感を示すことができるのかが鍵になると思われます。