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スパレッティ監督のイタリア代表が採用する戦術システムをユベントスに移植する難易度

 スパレッティ監督が就任したイタリア代表が Euro 2024 のグループCを2位で終えることに成功し、本大会への出場権を獲得しました。

 マンチーニ監督時代よりも “ユベントス所属の若手選手” が代表チームに招集される傾向にあります。そのため、スパレッティ監督が採用する戦術システムがユベントスにどれだけ導入可能かを考察することにしましょう。

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スパレッティ監督のイタリア代表は『戦術ディマルコ』

 スパッレティ監督が率いるイタリア代表が採っているシステムは 4-3-3。ラスパドーリ選手が『偽9番』に起用してポゼッションを高める戦術を採っているため、4-1-5-0 になっている時間が多くなっています。

 最終ラインからのビルドアップはナポリ時代の形を踏襲。ディマルコ選手が『マリオ・ルイ選手の役割』を担う形で「左右どちらからでも組み立てが可能」という柔軟性を確保しています。

 ナポリ時代と大きく異なるのは「偽 SB(ディマルコ)・偽9番(ラスパドーリ)・左インサイドハーフの3選手で “反時計回りのポジションチェンジ” を実施できること」です。

 このポジションチェンジを守備側が捕まえることは至難ですし、導入しようにも『選手の適性』がハードルになるでしょう。

 

ユベントスの場合は「偽 SB のボランチとしての守備力」が1つ目の課題

 ユベントスのカンビアーゾ選手はディマルコ選手と同様に「攻撃参加でチームに貢献できる SB」ですが、『偽 SB としてメッザーラ(=インサイドハーフ)の役割を担った際の守備力』で遅れを取っています。

  • ディマルコ:
    • 身長は高くないが、中盤 MF としての守備力あり
  • カンビアーゾ:
    • 守備のデュエルで評価されている左 SB ではない
    • 左インサイドハーフのラビオが『(偽 SB として振る舞う)カンビアーゾよりも前方か斜め前』にポジショニング

 ポジション変更中に相手ボールになってしまうと、『偽 SB』は『中盤 MF としての守備対応』が否が応でも求められます。

 しかも、ユベントスではラビオ選手が “本来の持ち場” にいません。

 相手チームに「ラビオがいない今のうちにカウンターを完結させよう」とのインセンティブを与えてしまう現状を無視して戦術の本格的な導入に踏み切ってしまうと、問題の方が大きくなってしまうことでしょう。

 

『偽9番』はユルディズという適任がいるが、『純粋な9番』が余剰戦力になることが問題点

 もう1つの課題は「FW 陣の編成」です。『イタリア代表での偽9番』の役割は(ポジション変更にも柔軟に対応可能な)ユルディズ選手が適任ですが、その一方で『9番』が余剰戦力になってしまいます。

  1. 『偽9番』を採用
    • 適任: ユルディズ、ケーン、ミリク
    • ポゼッション不参加は「最大1名(≒ キエーザ)」まで
  2. 『9番』を採用
    • 適任: ケーン、ミリク
    • 『偽9番』が相手 CB にマークされて「奥行き」を確保できない際に採用
    • 『9番』のポストプレーで楔を打ち込み、「奥行き」を確保する狙い

 オブラートに包まずに言うと、ヴラホヴィッチ選手とキエーザ選手のどちらか1人がいなければ『スパレッティ監督がイタリア代表で採用している戦術』をユベントスで導入する上での障壁はありません。

 しかし、両選手は “現所属選手の中で人件費が最高ランクの選手” であるため、経営的に「両選手を起用せざるを得ない状況」なのです。

 スパレッティ監督は “ポゼッションでの貢献度が高いとは言えないキエーザ選手とザニオーロ選手が2人揃って先発” した2023年11月20日のウクライナ代表戦で「ラスパドーリ選手を前半で諦めた」のです。これが現実でしょう。

 

 “成長の余地が残されている若手選手” が「チーム戦術的に必要不可欠な部分での成長」を遂げてくれれば、『スパレッティ監督がイタリア代表で採用中の戦術システム』を取り入れることは可能でしょう。

 ただ、今季中に劇的な成長を遂げると皮算用をすることはリスキーであるため、「実現の可能性を漂わせる」までが現実的な目標になると思われます。