ユベントスが公式サイト上で 2019/20 シーズン前期の決算書を発表していましたので、バランスシートとキャッシュフローを確認することにしましょう。
■ 貸借対照表 (バランスシート)
2019年12月31日時点におけるユベントスの資産は下表のとおりです。
項目 | 流動資産 | 固定資産 | 全体 | |
---|---|---|---|---|
金融資産 | ー | ー | ー | |
現金および現金同等物 | 137.0 | ー | 137.0 | |
金融資産の部:合計 | 137.0 | ー | 137.0 | |
金融債務 | 債権保有者 | (5.1) | (173.3) | (178.4) |
スポーツ信用銀行 | (6.6) | (21.0) | (27.6) | |
銀行 | (29.6) | (82.7) | (112.3) | |
金融サービス会社 | (24.0) | (106.4) | (130.4) | |
IFRS第16号による債務 | (4.8) | (10.4) | (15.2) | |
金融負債の部:合計 | (70.1) | (393.8) | (463.9) | |
純金融負債 | 66.9 | (393.8) | (326.9) |
6月末の時点からは「現金および現金同等物」の項目が激増しました。この理由はクラブが「3億円の増資」を行ったからです。そのため、手持ちの現金が(一時的に)多くなったことがバランスシートに現れました。
金融負債は1000万ユーロの減少となりました。Jヴィレッジの投資分を計画どおりに返済できていれば、大きな問題になることはないでしょう。
項目 | 流動資産 | 固定資産 | 全体 | |
---|---|---|---|---|
金融資産 | ー | ー | ー | |
現金および現金同等物 | 9.7 | ー | 9.7 | |
金融資産の部:合計 | 9.7 | ー | 9.7 | |
金融債務 | 債権保有者 | (2.1) | (173.1) | (175.3) |
スポーツ信用銀行 | (6.5) | (24.4) | (30.8) | |
銀行 | (32.5) | (54.8) | (87.3) | |
金融サービス会社 | (0.7) | (179.1) | (179.8) | |
金融負債の部:合計 | (41.8) | (431.4) | (473.2) | |
純金融負債 | (32.1) | (431.4) | (463.5) |
■ キャッシュフロー計算書
ユベントスが 2019/20 シーズン前期に記録したキャッシュフローは以下のとおりです。
項目 | 2019/20 (前期) |
2018/19 (前期) |
|
---|---|---|---|
税引き前損益 | (46,006,299) | 11,759,659 | |
非 現 金 項 目 |
償却・減価償却・評価損 | 98,495,865 | 84,448,258 |
退職給付引当金等 | 2,243,873 | 1,468,196 | |
選手登録権の取得 | (61,599,555) | (43,775,814) | |
選手登録権の一時取得 | (325,676) | (13,408,885) | |
その他固定資産の取得 | (4,809) | - | |
選手登録権の喪失 | 53,400 | 74,919 | |
選手登録権の一時取得費用 | - | 570,388 | |
選手登録権獲得の補助費 | 14,355,662 | 6,095,553 | |
その他固定資産の喪失 | 2,444 | - | |
関連会社等に対する持分 | 386,550 | 420,279 | |
金融収益 | (2,262,909) | (1,715,500) | |
金融費用 | 9,778,051 | 6,574,118 | |
売掛金と非金融活動の変動 | (13,203,986) | (11,547,244) | |
支払債務と非金融負債の変動 | (10,723,217) | 12,128,224 | |
法人税等の支払額 | (6,612,657) | 18,980 | |
退職給付引当金の活用 | (9,454,490) | (1,215,420) | |
営業活動によるCF | (24,877,752) | 51,895,711 | |
選手登録権への投資 | (195,603,876) | (248,193,736) | |
選手登録権関係の支払い増減額 | (40,979,100) | 18,204,317 | |
選手登録権の売却 | 98,973,304 | 63,260,314 | |
選手登録権関係の債権増減額 | 29,744,682 | 13,814,129 | |
選手登録権の一時(獲得)喪失 | 325,676 | 12,838,497 | |
選手登録権獲得の補助費 | (14,355,662) | (6,095,553) | |
選手登録権関係の支払増減額 | 14,311,646 | 27,216,835 | |
他の固定資産への投資 | (2,919,165) | (3,322,395) | |
投資の購入 | (364,346) | (500,000) | |
他の固定資産の処分 | 15,218 | - | |
利息収入 | 33,631 | 4,674 | |
投資活動によるCF | (110,817,992) | (122,772,918) | |
増資 | 294,561,464 | - | |
新規ローン | 35,000,000 | 32,000,000 | |
中長期ローンの返済 | (28,193,288) | (25,618,177) | |
中長期信用供与枠の使用 | 15,000,000 | - | |
ファクタリング会社の使用 | (49,519,609) | 44,662,823 | |
ローンの利息 | (1,482,422) | (1,262,900) | |
その他の金利負担 | (2,455,905) | (2,218,343) | |
金融活動に関するその他の活動 | 16,637 | (172,409) | |
財務活動によるCF | 262,926,877 | 47,390,994 | |
当期キャッシュフロー | 127,231,133 | (23,486,213) |
営業活動によるキャッシュフローが『ー(マイナス)』だった 2018/19 シーズン通期に続き、2019/20 シーズン前期の営業活動によるキャッシュフローも『ー』でした。
“本業” の収益を示すキャッシュフローが『ー』であることは望ましいことではありません。理想は “営業活動によるキャッシュフロー” が『+』を計上し、“投資活動” と “財務活動” による『ー』を差し引いても『+』で終えることです。
現状は “財務活動によるキャッシュフロー” が『+』です。これは「外部から資金を集めて成長のための投資をしている場合」に限って容認されることであり、常態化するのは望ましくありません。
会計的に好調とは言えない前期の結果を受けたユベントスが 2019/20 シーズンの後期に挽回することができるのかに注目です。