セリエA第24節ブレッシア戦でキエッリーニ選手が約半年ぶりに復帰しましたが、サッリ監督の守備戦術とは異なる動きをキエッリーニ選手とルガーニ選手が見せていましたので紹介いたします。
■ 該当のシーンは87分にブレッシアがカウンターを発動させた場面
1人少ないブレッシアは87分にボール奪取からンドイ選手がドリブルで持ち上がり、ロングカウンターを発動させます。
ユベントスの最終ラインは定石どおりに「撤退」を選択。シュートレンジの手前まで下がった後に(機動力のある)ルガーニ選手が “迎撃” に向かいます。
ンドイ選手は左右に展開できる選択肢があったのですが、『右』を選択。『左』のズムルハル選手へのパスを選択していたとしても通っていたでしょうが、その場合はラビオ選手が対処に向かうため、『右』のサベッリ選手への展開は合理的です。
パスを受けたサベッリ選手は中で待ち構えるバロテッリ選手を狙ったクロスを供給。
しかし、これはキエッリーニ選手のクリアで防がれてしまいました。
「一般的なクロス攻撃への対応」なのですが、『完全ゾーンディフェンス』を対応するサッリ監督の下でのプレーとしては「異例」と言えるでしょう。なぜなら、ルガーニ選手とキエッリーニ選手の立ち位置が “このプレーの時だけ” 入れ替わっているからです。
■ 「サッリ監督の指示」か「キエッリーニの判断」かで意味が大きく異なる
ブレッシアが87分に発動したカウンターでユベントスの最終ラインが見せた守り方ですが、ルガーニ選手が “迎撃” に向かい、ンドイ選手がサベッリ選手に展開するまでの対応は「従来どおり」です。
違いが生じたのは「ここから」です。
ルガーニ選手が左手でキエッリーニ選手に “何らかの合図” を送ると、両選手は「サッリ監督のやり方では任されている役割」を交換しているのです。本来の役割は以下の形だったことでしょう。
ペナルティースポット付近にいるキエッリーニ選手は「A・サンドロ選手との間のスペースを埋めること」が仕事です。一方のルガーニ選手は「(バロテッリ選手が狙っている)ハーフスペースを埋めること」が役割です。
しかし、両選手は役割を交換しており、実際にバロテッリ選手と競り合ったのはキエッリーニ選手でした。
サッリ監督は「ポジショニング優先」の守備を要求するため、従来と同じ守備方法が指示されていたのであれば、バロテッリ選手と競り合っているのは右 CB のルガーニ選手であるはずです。これが違ったのですから、この変化は注視する価値があるでしょう。
■ 第21節ナポリ戦での守備と異なっているのは偶然なのか、それとも必然なのか
守備のポジションチェンジが柔軟にできなかった事例は第21節ナポリ戦で2失点目を失った場面でしょう。
ボヌッチ選手は「直前までミリク選手の対応をしていたため持ち場に不在」で、デ・リフト選手だけが「適切なポジションにいる」という状況でした。
この場合はデ・リフト選手が「A・サンドロ選手とのスペースを埋めること」を担い、ボヌッチ選手が「ミリク選手をマンツーマン」とすべきだったでしょう。その上でクアドラード選手が「インシーニェ選手をマーク」していれば、失点は防げた可能性が大です。
ブレッシア戦でキエッリーニ選手とルガーニ選手が見せた守備方法は「サッリ監督の原則」とは異なります。「偶然」なら守備の脆弱性は残ったままですが、「必然」なら守備の穴は防がれる方向へと向かうでしょう。
次戦以降でユベントスの守備陣がクロスに対してどのような守り方を見せるのかに注目です。