ユベントスは公式サイト上で 2019/20 シーズン前期の決算書を発表いたしました。売上高は3億2230万ユーロで微減だったものの、5030万ユーロの当期損失を計上する大赤字となっています。
決算書の数値は以下のとおりです。
前期 | 変化量 | |||
---|---|---|---|---|
項目 | 2019/20 | 2018/19 | 数値 | % |
売上高 | 322.3 | 330.2 | (7.9) | -2.4 |
事業費 | 260.9 | 226.8 | 34.1 | 15% |
償却費 | 99.5 | 86.3 | 13.2 | 15.3% |
事業収支 | (38.1) | 17.0 | (55.1) | n/a |
税引き前損益 | (46.0) | 11.8 | (57.8) | n/a |
当期損益 | (50.3) | 7.5 | (57.8) | n/a |
売上高は前年度からは微減したものの、3億2230万ユーロ。チケット収入と放映権収入で約700万ユーロの減収となりました。
決算が赤字に転落する理由になったのは「事業費と償却費の大幅な増加」です。
具体的には「選手年俸とスタッフ費用が3000万ユーロの増加」を記録。「選手登録権の費用で1000万ユーロ」、「選手登録権の減価償却で1100万ユーロ」がコストを増大させたことで大幅な赤字となりました。
こうした状況に陥ることは余剰戦力を抱えていた昨夏の時点で指摘できることでしたから、(このサイトの読者にとっては)驚きは少ないでしょう。なぜなら、パラティーチ CFO の強気発言が会計データで覆されただけに過ぎないからです。
ただ、第1四半期の数値は前年度よりも良かったため、第2四半期で差を付く形になったのは悔やまれる部分があることも事実です。
とは言え、2期連続で「通期赤字」を計上するリスクが高まっていることは大きな懸念材料です。
例年の通期人件費は「前期の2倍強(= 2.2倍ほど)」となっており、これを「2倍」に抑えたとしても5億ユーロを超えてしまいます。減価償却は削ることが困難なため、人件費を抑えられなければ、2期連続赤字は既定路線と言えるでしょう。
もちろん、チャンピオンズリーグで優勝するなど大幅な収益増を記録すれば、赤字は回避できるはずです。決算書でも「チャンピオンズリーグ次第」との言及はありますが、現実には難しいと思われます。
悪循環に陥りつつある状況から脱する術を用意しているのかに注目です。