2019/20 シーズンの開幕まで約1週間となりましたので、サッリ監督がユベントスで起用する可能性が高いと考えられるフォーメーションを確認することにしましょう。まずは前提条件です。
■ “コアメンバー” の選手を抑えることが重要
サッリ監督は前任のアッレグリ監督と比較すると、ターンオーバーに消極的な指揮官です。そのため、重点的に起用される “コアメンバー” に選出される選手で固定することになるでしょう。
予想されるコアメンバーは下表のとおりです。
選手名 | ||
---|---|---|
GK(1) | シュチェスニー | |
DF (6) |
CB | キエッリーニ、デ・リフト、ボヌッチ |
SB | デ・シリオ、A・サンドロ、ダニーロ | |
MF(4) | ピアニッチ、エムレ・ジャン(ケディラ)、ラビオ、ベンタンクール | |
FW(4) | ロナウド、D・コスタ、イグアイン(ディバラ)、ベルナルデスキ |
2019年夏のプレシーズン・マッチから、上述の15選手がコアメンバーになることが濃厚です。(ケディラ選手とディバラ選手には逆転でのコアメンバー入りの可能性はある)
チャンピオンズリーグに登録できる選手がクラブ内育成選手の関係で今季は22名が上限ですが、ターンオーバーに消極的なサッリ監督にとっては重要なのはコアメンバーの15選手です。
そのため、22選手しか登録できない状況は懸念事項ではないと考えられます。では、具体的なフォーメーションを見て行くことにしましょう。
■ 4-3-3
本命はサッリ監督がナポリやチェルシー時代に重宝していた 4-3-3 です。
GK: シュチェスニー
DF: ダニーロ、デ・リフト、キエッリーニ(ボヌッチ)、A・サンドロ
MF: エムレ・ジャン(ベンタンクール or ケディラ)、ピアニッチ、ラビオ
FW: D・コスタ、イグアイン、ロナウド
「新監督に時間が与えられる」と言っても、アンチ・ユーヴェの論客が手ぐすねを引いて待っているいるのです。
そのため、サッリ監督がビッグクラブで導入を行った経験がある『4-3-3』に『左サイドに攻撃の比重を置く形』を基本とする “保守的な決断” を行うことでしょう。
懸念は「当初の目論見が外れた場合に大鉈を振るいたくても、代わりの選手が手元にいない可能性が高い」という点です。テコ入れ要員は放出に踏み切っているはずであり、このリスクは軽視できないことは念頭に置いておく必要があります。
■ 4-2-3-1
次に、ラムジー選手が好パフォーマンスでポジションを掴んだ場合はシステムが 4-2-3-1 に近い布陣になるでしょう。
GK: シュチェスニー
DF: ダニーロ、デ・リフト、キエッリーニ(ボヌッチ)、A・サンドロ
DMF: ピアニッチ、ラビオ
OMF: D・コスタ、ラムジー、ロナウド
FW: イグアイン
これは選手の配置や動きは 4-3-3 とほぼ同じで、中盤のラムジー選手がトップ下に上がることで 4-2-3-1 にスライドするという形が採られると予想できます。
このシステムが使われるかの懸念点は「ラムジー選手がサッリ監督のスタイルに適応するかが未知数」という部分です。本来はプレシーズン・マッチで確認されているべき項目ですが、ラムジー選手の負傷で不可能でした。
シーズン中に試す機会がどれだけあるのかは未知数ですし、場合によっては “お蔵入り” もあり得ると言えるでしょう。
■ 4-3-1-2
ラムジー選手と中盤 MF が出色の活躍を見せていた場合、4-3-1-2 の起用も現実味を帯びます。
GK: シュチェスニー
DF: ダニーロ、デ・リフト、キエッリーニ(ボヌッチ)、A・サンドロ
MF: エムレ・ジャン(ベンタンクール)、ピアニッチ、ラビオ
OMF: ラムジー
FW: イグアイン、ロナウド
4-3-1-2 を使いたい理由は「フロント陣が獲得を熱望するイカルディ選手を活かせるシステムだから」です。ビルドアップは DF と MF 陣に任せ、前線に陣取る2人のストライカーでゴールを量産という青写真を描いているのでしょう。
ただ、このシステムを『ポゼッション型』で機能させることは難しく、「サイドが薄い」という守備の問題点を解決する必要があります。したがって、よほどの条件が揃わない限り、サッリ監督が使うことはないと思われます。
■ 4-4-2
4-3-1-2 よりも、4-4-2 の方が使用される可能性は高いと考えられます。その理由は「1点が必要なスクランブル時に有用だから」です。
GK: シュチェスニー
DF: ダニーロ、デ・リフト、キエッリーニ(ボヌッチ)、A・サンドロ
MF: D・コスタ(クアドラード)、エムレ・ジャン、ラビオ、ベルナルデスキ
FW: マンジュキッチ、ロナウド
守備を固める場合は「中央」が封鎖されるのですから、サイドからの持ち上がりは容易になります。
つまり、サイドからのクロスに中央で合わせるターゲットマンが必要であり、「中盤を1人外してマンジュキッチ選手を投入」が最も現実的で効果的な選択となるでしょう。
問題は「サッリ監督が “なりふり構わぬ采配” をどれだけ敢行できるか」です。前任のアッレグリ監督にはギャンブルに出る度胸がありましたが、サッリ監督にも備わっているかは未知数です。
また、マンジュキッチ選手がいなければ、効果が薄れる戦術であることは否定できません。これはマンジュキッチ選手以外の CF ではスペースを2トップが潰しあってしまうからです。そのため、実際に使用されるかは不明と言えるでしょう。
サッリ監督に求められるのは「(前任のアッレグリ監督と同様に)ロナウド選手にゴールを量産させること」です。これができなければ、自らの首を締める結果となるでしょう。
どのようなシステムを駆使してサッリ監督が 2019/20 シーズンを戦うことになるのかに注目です。