2022/23 UEFA ヨーロッパリーグ準決勝のファーストレグが行われ、ホームにセビージャを迎えたユベントスは後半アディショナルタイムにガッティ選手のゴールで追い付き、1-1 の同点で終えました。
先発した両チームの選手とフォーメーションは以下のとおりです。
Juventus FC [3-5-1-1] |
Sevilla CF [4-2-3-1] |
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GK | 1: シュチェスニー | 13: ボノ |
DF | 6: ダニーロ 19: ボヌッチ (C) 12: A・サンドロ |
16: ヘスス・ナバス (C) 44: バデ 6: グデリ 19: アクーニャ |
MF | 11: クアドラード 20: ミレッティ 5: ロカテッリ 25: ラビオ 17: コスティッチ |
10: ラキティッチ 20: フェルナンド 5: オカンポス 21: オリベル・トーレス 25: B・ヒル |
FW | 22: ディ・マリア 9: ヴラホヴィッチ |
15: エン=ネシリ |
ユベントスのアッレグリ監督は 3-5-1-1 を選択。3バックの中央にはボヌッチ選手を起用し、前線はヴラホヴィッチ選手とディ・マリア選手の縦の2トップで試合に臨みます。
対するセビージャのメンディリバル監督は 4-2-3-1 を選択。エン=ネシリ選手が CF に入り、2列目からオカンポス選手やオリベル・トレース選手が前線に顔を出す布陣で試合を迎えます。
最初に惜しい場面を作ったのはセビージャ。14分に左サイドの仕掛けから最後は逆サイドのオカンポスが狙うも GK シュチェスニーがブロック。
対するユベントスは18分にディ・マリアの浮き球フィードにヴラホヴィッチが反応するも GK ボノが身体でブロック。直後の19分にはコスティッチから絶妙なクロスが届くもシュートは枠を捉えず。
試合が動いたのは26分。セビージャはA・サンドロが攻撃参加で空けたスペースを使ったロングカウンターを発動。右サイドを抜け出したオカンポスからのクロスを最後はフリーのエン=ネシリが難なく合わせて先制に成功する。
セビージャは直後の27分にユベントスのミスからオカンポスに決定機が訪れたが、GK シュチェスニーが辛くもゴールを死守。ただ、そのオカンポスは34分にプレー続行が不可能となり、モンティエルとの交代を強いられてしまう。
0-1 と1点ビハインドを折り返すことになったユベントスは後半開始と同時に2枚代えを実施。コスティッチとミレッティを下げてキエーザとイリングを投入して攻撃のテコ入れを図る。
交代出場後からセビージャの守備陣を悩ませていたイリングは63分に低い弾道の鋭いミドルシュートを枠内に飛ばすも GK ボノがストップ。個の優位性が存在していることを示す。
この後は “1点のリードを守り切りたいセビージャ” と “追加点は絶対に許したくないユベントス” の間でカード覚悟の激しいプレーの応酬が発生。両チームが計5枚カードを受ける展開となるも試合はアディショナルタイムに突入。セビージャの狙いどおりに試合が進む。
だが、試合終了間際の96分にユベントスはキエーザが入れた左 CK をダニーロが合わせるとファーサイドでポグバがフィジカル能力を活かして折り返し、これをガッティが頭で押し込んで 1-1 の同点に追い付くことに成功する。
試合はこのまま 1-1 で終了。土壇場の同点ゴールで踏み留まったユベントスがセカンドレグに希望を残す結果となった。
なお、試合に出場したユベントスの選手・監督などへの採点は以下のとおりです。
GK: シュチェスニー 6.5
エン=ネシリのゴールに為す術はなかったが、それ以外の局面では守護神として君臨。良い働きを見せていた。
DF: ダニーロ 6.5
難しい試合になることを理解した上でチームのために歯を食いしばって守備に奔走。最後まで戦っていた。
DF: ボヌッチ 5.5
気持ちだけで身体が付いて来なかった。カバーリング可能な範囲が少ないことを踏まえると先発起用が適切だったのかは見直さなければならない。
DF: アレックス・サンドロ 5.0
オカンポスとのマッチアップに苦戦。縦パスが相手に引っかかってカウンターを浴びる機会も多くセカンドレグに不安を残すパフォーマンスだった。
WB: クアドラード 5.5
セビージャの左サイドとのマッチアップに苦労する。守備に追われる時間が長く、攻撃面で局面を打開するなどの違いを見せることはできなかった。
MF: ミレッティ 5.0
プレーを狙うゾーンをセビージャの中盤 MF 陣に読まれていたことで沈黙。逆に背後のハーフスペースに絶妙なタイミングで侵入されるなど反省点が多い試合となっていた。
MF: ロカテッリ 6.0
スペースをケアしたり、局面を打開する効果的なパスを出そうとしたりと最善を尽くしていたことは見て取れる。だが、満足な成果は得られずに不完全燃焼だった。
MF: ラビオ 5.5
86分すぎのプレーで PK 獲得どころか VAR の確認すら行われなかったのは驚きでしかない。フラストレーションが溜まる夜だった。
WB: コスティッチ 5.5
序盤は良い入りを見せていたが、時間の経過とともに存在感が消失。セビージャの修正力の前に沈黙する結果となってしまった。
FW: ディ・マリア 5.5
前半に見せた一瞬の輝きだけだった。個々の能力は秀でているが、連携のスムーズさに再現性が乏しいことが苦戦の理由だろう。1週間後に修正力を示せるかが鍵だ。
FW: ヴラホヴィッチ 5.0
アタランタ戦でのゴールによる良い流れで決定機が立て続けに訪れたものの絶好機を逸してしまったことがすべてだった。厳しい評価になることは本人が最も自覚していることだろう。
【交代選手など】
FW: キエーザ 5.5
46分にミレッティとの交代で出場。両サイドから縦への突破力で揺さぶりをかけたが、セビージャの守備陣が慌てるほどではなかった。
FW: イリング 6.5
コスティッチとの交代で46分から出場。トップチームでの初ゴールの勢いそのままにセビージャに襲いかかり、突破力とシュート能力で相手守備陣を脅かし続けていた。
DF: ガッティ 7.0
ボヌッチに代わって61分から出場機会を得る。Fino Alla Fine の精神を体現し、セカンドレグに望みを繋ぐ値千金の同点ゴールを奪取した。
FW: ミリク 5.5
61分にヴラホヴィッチとの交代で出場。3トップの CF としてプレーしたが、ゴール前を固めるセビージャの守備陣の前に沈黙する結果となった。
MF: ポグバ 6.5
70分にディ・マリアとの交代で出場する。持ち前のフィジカルとテクニックを存分に発揮するメンタル的な強さを見せて存在感を発揮。土壇場でファーに流れたクロスを頭で折り返し、ガッティのゴールをアシストする仕事をやってのけた。
アッレグリ監督 6.0
先発メンバーの人選とカウンター対策の緩さからの失点は反省しなければならないだろう。だが、交代采配と途中出場の選手たちの奮闘で引き分けに持ち込むことには成功した。土壇場で追い付いた流れをセカンドレグに活かせるかがすべてだ。
ジーベルト主審 5.5
カードを出すに値するプレーが多かったことは事実であり、この判定基準は問題にはならないはずだ。だが、ラビオがバデに足裏を見せた形で蹴られた場面で VAR を用いたチェックを行わなかった判断はセカンドレグに影響を及ぼすだろう。