NO JUVE, NO LIFE!!

- FINO ALLA FINE - ユベントス関係のニュース記事を扱うサイト

戦術分析: マンツーマン対策での3トップ起用が機能したベローナ戦(2021/22 セリエA第24節ベローナ戦)

 「冬の移籍市場で獲得したヴラホビッチ選手をディバラ選手やモラタ選手などと共存するか」が注目点でしたが、アッレグリ監督は『3トップによる同時起用』を初戦となるベローナ戦で選択しました。

画像:ベローナ戦に臨んだユベントス

 この選択はベローナがチームとして持つ特徴を踏まえての決断でしょう。

 ベローナと同じ「マンツーマンをチームの守備戦術として使えるチーム」との対戦が続くため、3トップが継続される可能性はあると考えられます。

PR

 

アッレグリ監督の狙い

 アッレグリ監督がディバラ、ヴラホビッチ、モラタの3トップでベローナ戦に臨んだ狙いは「前半18分すぎのプレー」に現れています。

画像:3トップで3バックにプレスをかけるユベントス
  1. ユベントスの3トップがベローナの3バックを監視
  2. 相手 GK モンティポに(味方の WB を目掛けて)蹴り出させる
  3. GK からのパントをインサイドハーフが相手 WB と競り合って回収

 前半18分の場面では「ラビオ選手がデパオリ選手の迎撃」に向かうのが『準備された戦術』なのですが、ベローナはバラク選手がラビオ選手を妨害。そのため、ユベントスはデ・シリオ選手がデパオリ選手の対応をしています。

 このサイドでの攻防は(左右に関係なく)ユベントス優位だったことでベローナの攻撃は停滞。「ビルドアップの修正」に迫られることになりました。

 

「4バックの相手にディバラがどれだけプレッシングで貢献できるか」が課題

 守備時で浮き彫りになった課題は「相手が4バックだった場合のディバラ選手のプレッシングによる貢献」です。

 GK から3バックへのパスコースが制限されていたベローナはM・ベローゾ選手が DF ラインに下がることで4バックを形成。ディバラ選手に「チェッケリーニ選手とM・ベローゾ選手の2人による数的有利」を作ってプレスを回避して前進してます。

 ディバラ選手は「プレッシング能力に秀でた選手ではない」ため、今後の試合においても “弱点” が狙い撃ちに遭うことでしょう。したがって、その状況に備えた準備は必要です。

 一方で「マンツーマンで付いている相手」は釣り出すことが容易であり、それをチームとして活用することで決定機を手にすることができます。現状は “諸刃の剣” ですから、リスクを軽減することが課題となるでしょう。

 

マンツーマンを逆手に取って追加点を奪取

 ヴラホビッチ、ディバラ、モラタの3選手を3トップで同時起用したメリットが現れたのが「追加点が決まった60分のプレーです。

画像:追加点の場面1

 まず、ラビオ選手からのパスを受けたモラタ選手がチェッケリーニ選手を背負った状態でターンを試みます。ヴラホビッチ選手が加入したことで「対人守備に最も秀でた DF」がモラタ選手のマーク担当ではなくなったことが地味に効いています。

 ピッチに中央にスペースがあったことでターンに成功したモラタ選手はドリブルで持ち上がります。

画像:追加点の場面2

 CB のチェッケリーニ選手が振り切られたため、ベローナのダブルボランチは「撤退」を選択。モラタ選手はバラク選手に並走されるもドリブルで「前進」を続けます。

画像:追加点の場面3

 モラタ選手のドリブルに合わせて最前線ではヴラホビッチ選手が「裏のスペースへの抜け出し」を狙っているのですが、ディバラ選手は静観。この動きでマーカーのカゼーレ選手の「撤退」が “妨害” されました。

 しかし、ディバラ選手の奥側でザカリア選手がフルスプリントで前線に駆け上がっています。

画像:追加点の場面4

 モラタ選手はタメゼ選手が立ち塞がったタイミングで「裏のスペースにスルーパス」を選択。ヴラホビッチ選手が最終ラインを押し下げ、ディバラ選手が静観してカゼーレ選手を釣り出したことで生じたスペースにザカリア選手が侵入して追加点を奪取しました。

 このような「動きの質」をどれだけ高めることができるかが重要になることは必然と言えるでしょう。

 

 ユベントスはカンピオナートで次に対戦するのはアタランタとトリノです。どちらもチームも「3バックでマンツーマン・ディフェンスを基本にするチーム」であり、ベローナ戦での3トップを継続する理由はあります。

 アッレグリ監督がどのようにチームのクオリティーを向上させて行くのかに注目です。