現地9月2日に2019年夏の移籍市場が閉まりました。マロッタ GM を切った後に迎える初めての夏だったのですが、「現フロント陣の手腕に大きな疑問符が付く結果になった」と言わざるを得ないでしょう。選手層と会計の双方で問題を抱えているからです。
■ 冬の移籍市場での選手放出は至上命令
まず、2019/20 シーズンのチームには会計的に耐えられない人件費を抱えてスタートすることになりました。
2019/20 | 2018/19 | |
---|---|---|
選手人件費 … (A) | € 412m | € 345.3m |
経済収支 | € 50.7m | € 117.9m |
ローン費での回収 | € 0 | € 23.5m |
売上高予測 | € 500m | € 460m |
総売上予想 … (B) | € 550.7m | € 601.4m |
(A) / (B) | 74.8% | 57% |
補強に乗り出す一方で放出が全く進まなかったのですから、"che confusione" (= ひどい混沌)と『メディアセット』に批判されるのは当然です。
しかも、この数値は「売上高が5億ユーロ」という希望的観測に基づくものです。チャンピオンズリーグで早期敗退となれば、それだけ収益は下がります。しかし、選手人件費の推測値は変動しません。(選手へのインセンティブが除外されているから)
したがって、人件費を下げるために「冬の移籍市場で複数の選手を放出すること」は至上命令と言わざるを得ないでしょう。
■ トップチームに27選手を擁するという有様
また、トップチームに27選手を擁しており、「全員を登録することはできない」という問題も横たわっています。問題が顕著になるのはチャンピオンズリーグでしょう。
クラブ育成選手(残り3枠) 協会育成選手(残り0枠) |
||
---|---|---|
1 | 2 | 3 |
GK(4選手) | ||
1: シュチェスニー | 22: ペリン | 31: ピンソーリョ |
77: ブッフォン | ||
DF(8選手) | ||
2: デ・シリオ | 3: キエッリーニ | 4: デ・リフト |
12: A・サンドロ | 13: ダニーロ | 19: ボヌッチ |
24: ルガーニ | 28: デミラル | |
MF(7選手) | ||
5: ピアニッチ | 6: ケディラ | 8: ラムジー |
14: マテュイディ | 23: エムレ・ジャン | 25: ラビオ |
30: ベンタンクール | ||
FW(8選手) | ||
7: ロナウド | 10: ディバラ | 11: D・コスタ |
15: ピアツァ | 16: クアドラード | 17: マンジュキッチ |
21: イグアイン | 33: ベルナルデスキ |
- セリエA
- 登録の上限は25選手
- 21歳以下のデ・リフトは別枠での登録が可
- 前半戦の離脱が確定的なキエッリーニを外せる
- UEFA チャンピオンズリーグ
- 登録の上限は25選手
- ユベントスはクラブ内育成選手枠で22選手に制限
- ペリン、キエッリーニ、ピアツァの登録外は確定的
- 上記以外の2選手を登録外にする必要あり
「全員が必要」と監督・コーチ陣がメッセージを送ったところで、「登録ができない」という現実があるのです。
プレー時間が満足に与えられなかった選手が不満分子と化すことはベナティア選手の件で実証されています。ターンオーバーに消極的な選手起用をするサッリ監督が上手く “ガス抜き” をする術を持っているかがポイントと言えるでしょう。
ピッチ上で良いプレーを見せている選手の方が高値が付きます。しかし、クラブが売却したい選手は主力ではないため、サッリ監督がどう折り合いを付けるのかに注目です。