サッリ監督は「DF ラインを高い位置に設定すること」を求める指揮官ですが、その必要性を感じさせる場面が 2019/20 UEFA チャンピオンズリーグ第6節レバークーゼン戦でありましたので紹介いたします。

■ DF と MF のライン間が “適切な距離” だった場合
まず、良い距離間が保たれていたのは前半32分過ぎの場面です。

この場面はデ・シリオ選手は前線に残っていた関係で、ルガーニ選手が左サイドバックのスペースも1人でケアしなけれならない状況にありました。
ただ、DF と MF のライン間は約 15m ほどの距離に留められていた上、ラビオ選手がボールホルダー(のベララビ選手)にプレッシャーをかけ、ルガーニ選手もアラリオ選手を前に置く動きで上手く封じることができました。
ボール奪取まではできなかったのですが、この場面では相手の最終ラインまでボールを戻させました。そのため、良い守備ができていたと言えるでしょう。
■ DF と MF のライン間が “間延び” していた場合
次に、(DF と MF の)距離間が良くなかったのは「上述の直後」です。センターバックにまでボールを戻させたのは良かったのですが、レバークーゼンの2列目を務めるハベルツ選手とディアビ選手が浮いていました。

ハベルツ選手は DF および MF の双方から約 10m ほど離れたポジションを取っており、これを許してしまったライン・コントロールは反省点です。
なぜなら、前線に取り残されていたデ・シリオ選手がハーフウェーラインまで戻れており、そこを “オフサイドライン” にする守り方をすべきだったからです。
それができていれば、(縦パスを受けた)ハベルツ選手に簡単に前を向かれることはなかったでしょう。

DF ラインの前でフリーでボールを持たれると、「迎撃」ではなく「(自陣ペナルティーエリア前まで)撤退」が原則です。ユベントスの DF 陣は速やかに戻りましたが、同じスピードで戻って来た MF がピアニッチ選手だけだったという現状は改善点と言えるでしょう。

レバークーゼン戦ではデミラル選手とルガーニ選手の “奮闘” でクリーンシートが達成されましたが、リスク管理という点は見直しおよび改善が必要な状況です。
最終ラインを 3〜4m 高く設定できていれば、ハベルツ選手のドリブルを防げた可能性はありました。また、ピアニッチ選手の両脇にあるスペースを相手に自由に使わせない守備意識を徹底する必要もあるでしょう。
こうした部分の意識付けとアクションをサッリ監督がチーム全体に根付かせることができるのかに注目です。