日本時間5月6日に行われたチャンピオンズリーグ準決勝(1st Leg)、ユベントス対レアル・マドリード戦はアルバロ・モラタ選手とカルロス・テベス選手のゴールでユベントスが 2-1 で競り勝ちました。
試合は無失点で終えることを最優先とするユベントスが守備を固めてカウンターを狙うだろうと予想されていましたが、前線からプレスをかけるという戦術を採用しました。また、メンバーについても先発が予想されたペレイラはベンチスタートで、代わりに出場したストゥラーロが持ち味を存分に発揮する展開が繰り広げられることになるとは誰も予想できなかったでしょう。
両チームのフォーメーションは下図のとおりでした。
レアル・マドリードは予想通りのメンバーと配置でしたが、ユベントスはストゥラーロが先発し、ビダルがトップ下として起用されました。
ユベントスの2得点はレアルの守備が“ふわっと”していた試合序盤の良い流れからのゴールと、それが修正されてからのDFラインの裏を突いて獲得した PK からのものでした。逆に失点シーンはレアルにボールを自陣内か長い時間保持され、守備のバランスが崩れた所をサイドから崩されてしまいました。
システム的にサイドに攻撃人数をかけられると数的不利に陥ることになるので、ベルナベウでの2戦目ではこの点を微調整をする必要があるでしょう。
この試合に出場したユベントスの選手達への個人的な採点は次のとおりです。
GK: ブッフォン 6.0
失点シーンでの動きはぎこちなさが見えたが、全体としてのパフォーマンスは素晴らしい。クロースのミドルを弾き出したり、ロングボール戦術をカバー範囲の広さで封じることに成功していた。
DF: リヒトシュタイナー 6.5
右SBとしてロナウドに満足な仕事をさせなかった。ポゼッション時ではイスコにムダなスプリントをさせたことも高評価。
DF: ボヌッチ 6.0
ロナウドを見失なってしまい失点を喫することとなった。だが、それが発奮材料となり、後半のパフォーマンスは見違えるように向上した。ラインを下がりすぎないようにコントロールできるかが勝ち抜けの鍵になるだろう。
DF: キエッリーニ 6.5
血染めのユニフォームがどれだけ戦っていたかの証拠である。戦い続けている DF が釣り出されないようにする MF 陣の奮闘が2戦目でも必要となることを示したと言える。
DF: エヴラ 6.0
左SBとして攻守に渡って柔軟に対応できていたが、失点の基になったカルバハルとハメスのコンビネーションにどう対応するべきだったかは反省材料にする必要があるだろう。
MF: マルキージオ 6.5
先制点につながるテベスへのスルーパスは見事。だが、ミドルシュートの精度は向上させる点はあった。守備面ではイスコをスローダウンさせ、マドリーの左サイドからの攻撃を威力を弱めることができていた。
MF: ピルロ 5.5
ジョレンテへのCKなど“らしさ”は存分に発揮していたが、ボヌッチがイエローカードを出されたシーンも元は言えばピルロが奪われた所からのカウンターであった。守備に関してはアトレティコのティアゴを参考にすればさらに良くなるだろう。
MF: ストゥラーロ 6.5
ポグバが歩んだ道と同じ道を歩みつつあることを大舞台で証明した。セルヒオ・ラモスとカルバハルに圧力をかけ、ボール奪取を何度も成功した功績は大きい。交代時に観客からの反応がそれを示している。
MF: ビダル 6.5
ゴールに直結したプレーがなかったと見られるかもしれない。だが、ロナウドの得点をアシストしたエリア内にいたハメスをブロックしたのは彼であるし、カウンター時の一員となることも忘れなかった。ピッチ上で存在感を十分に示すことができていた。
FW: テベス 7.5
1ゴール、1アシスト。文句なしでマン・オブ・ザ・マッチ。イエローカードをもらってしまっているので、12年前のネドベドの再現だけはなってほしくないということがユヴェンティーノの願いだろう。
FW: モラタ 6.5
こぼれ球が来ると予想してきちっと詰めていたことが先制点につながった。また、1トップとしてマドリーのCBと十分に渡り合えていたことも評価に値する。
【交代選手】
DF: バルザーリ 6.0
64分にストゥラーロとの交代でピッチに。求められたタスクを実行し、ユベントスに勝利をもたらした。
FW: ジョレンテ ー
モラタと交代で78分から出場。前線でのボールをキープし時計を進める役割を担っていたが、2度のチャンスを得点に結びつけれず。ヴァランのミスで得た機会はまだしも、ヘディングに関しては彼らしくなかったと言わざるを得ない。
MF: ペレイラ ー
86分からテベスに代わり出場。守備の意識が高かったために、ジョレンテのサポートまでは手が回らなかった。
アッレグリ監督 7.0
トップ下にペレイラではなくビダルを起用した上、先発起用したストゥラーロはアッレグリの期待以上の働きを見せた。レアルに虚を作り出すことに成功し、得点を決めるまでに到ったのはアッレグリの手腕と言える。泥臭さがあった12年前とは異なり、ワンタッチでのビルドアップもできるという『新生ユーヴェ』をヨーロッパに見せつけることに成功したと言えるだろう。
アトキンソン主審 5.5
ボヌッチへのカードはピッチ上の選手への参考基準にもならなかった。ずいぶんマドリードの選手達へのカードの基準が甘すぎると言えるだろう。カルバハルが最後までピッチに立っていたということが何よりの証拠だ。