スパレッティ監督の下で『ボール保持率を高めて積極的に仕掛けるスタイル』に取り組んでいるユベントスですが、現地1月21日に行われた 2025/26 UEFA チャンピオンズリーグ第7節ベンフィカ戦では “象徴的な問題” に直面していました。
『重要度の高い課題』であるため、「期限をいつに設定するか」が重要になるでしょう。

問題はスダコフに決定機が訪れた前半23分
スパレッティ監督のユベントスが抱えている問題が集約されていたのはスダコフ選手のプレッシングを機にボールロストが発生した前半23分の場面です。

この場面でユベントス「合理性の乏しい(味方を追い越す形になる前後の)ポジションチェンジ」と「パスの受け手の身体の向き」という2つの問題を抱えていました。
「勝率を高めること」を目的にポゼッション率を高めたスタイルを導入したのです。目的達成の妨げになっている要素は『是正』か『除外』を選択せざるを得ないでしょう。
問題点1: ボールロストのリスクを高めるポジションチェンジ
ベンフィカ戦の前半23分の場面での根本的な問題は「ボールロストのリスクを高めるだけのポジションチェンジが行われていたこと」です。
- “偽 SB のカンビアーゾ” がバックパスを選択
- ロカテッリの身体の向きを確認できるスダコフがプレスを開始
- “DF ラインに下がっていたロカテッリ” は縦パスを選択
- ケリーへのバックパスはパヴリディスが警戒中
- シェルデルップがブレメルへのプレスを開始
- “偽 CB のブレメル” が背後から急襲したシェルデルップのプレスの餌食になる
味方を追い越す形でのポジションチェンジが有効なのは「相手チームが『マーク対象が明確なマンツーマン・ディフェンス』を採用している場合」。
「ガスペリーニ監督のチームとの対戦時」や「相手陣内に押し込んだ時」が代表例です。
その一方で「ミラーゲームの状況」では効果は限定的。自陣内で味方を追い越す形でのポジションチェンジを行っても、対戦相手は特に混乱しません。
“レジスタとしてのビルドアップ能力が不足しているロカテッリ選手” と “パス能力が改善点とスパレッティ監督から公言されているブレメル選手” のポジションチェンジは不必要と言わざるを得ないでしょう。
問題点2: パスを受ける選手の身体の向き
また、ベンフィカ戦の前半23分の場面では “パスを受ける選手の身体の向き” が相手チームからのプレスの餌食になる確率を高めてしまう結果を招く形となりました。

この局面では「右サイドに素早く展開」し、1人余っていたカルル選手に『運ぶドリブル』を選択してもらい、チームは「全体の押し上げ」と「ポジショニングの調整」を図ることが定石。
しかし、ロカテッリ選手は「身体がバックスタンド側の副審を向いた状態」でパスを待っていたため、右サイドへの展開はほぼ不可能でした。
DF なら「欧州のトップレベルではパスを受ける時の身体の向きにも注意を払っている」と成長の余地を指摘されるに留まりますが、レジスタは「パスを受ける際の身体の向きが的確なのは当然」と評価基準が DF よりも高く設定されています。
そのことを都合よく無視するとウルティモ・ウオモやガゼッタ紙のような「すべての攻撃はロカテッリを経由する」や「ロカテッリはイタリアで最も過小評価されている選手」との論調になるのでしょう。
ポゼッションを重要視するスパレッティ監督のユベントスが抱えている問題は「ゲームメイク能力の乏しいエース QB を抱える NFL 球団」と同じです。
シーズン途中での QB 獲得は現実的ではありませんし、獲得できたとしても角が立つことは避けられません。だから、その場しのぎで「パスのターゲットとなる長身 WR の獲得」などに走らざるを得ないのです。
野球(MLB)のデータ手法を用いた経営をバックボーンに持つコモリ CEO がアメフトのデータ活用も取り入れることでユベントスのチーム強化を図れるかが注目点になると思われます。