ボローニャ時代にもチアゴ・モッタ監督からの陶酔を受けていたカンビアーゾ選手が特長を存分に発揮し、2024/25 シーズンのユベントスでも欠かせない最重要選手の1人となっています。
それだけに “短所” が露呈する局面をどう制限するかが重要になるでしょう。
GK, CB, CF 以外でなら変幻自在なところがカンビアーゾの強み
カンビアーゾ選手の最大の長所は「GK, CB, CF 以外のポジションでのボールを保持したプレーでチームに貢献できること」です。
サイドバックの選手が攻撃に参加する場合は『守備が重要ではないエリア』で “守備が得意ではない選手” が対応に当たるのが一般的。
しかし、カンビアーゾ選手はポジションを変えてもボール保持時のクオリティーが低下しないため、『守備が重要なエリア』で “守備が得意ではない選手” とのマッチアップを意図的に作り出すことが可能です。
この “ミスマッチ” がチアゴ・モッタ監督の 2-7-2 の肝ですし、自陣からボールを繋ぐ上では欠かせない能力です。
そのような事情がカンビアーゾ選手の出場時間率が 90.2% に達している理由と考えられます。
※ 2024/25 シーズンの公式戦9試合を消化してカンビアーゾは731分の出場
相手ペナルティーエリア付近で “ブロッカー” に化してしまうことが懸念点
その一方で、カンビアーゾ選手の変幻自在で神出鬼没な特長が仇になる場面もあります。それは『ユベントスがファイナルサードに攻め込んだ場面』です。
- カンビアーゾの攻撃能力が本職 WG よりも劣る
- ファイナルサードでの『得点貢献力の高い選手との役割交換』は自重すべき
- ユルディズやコープマイネルスを “カンビアーゾのリードブロッカー” として使うのは本末転倒
- SB は “WG のリードブロッカー” の役割があるのでサヴォナの序列がダニーロよりも上
- カンビアーゾの攻撃能力が本職 WG と同等
- SB ではなく WG で先発起用すべき
- ロールモデルはサディオ・マネ
「WG が左外に陣取っているからカンビアーゾが左中に入る」ことと「カンビアーゾが左中に陣取ったので WG が左外に押し出される」は形が同じでも『優先順位』は別物です。
チームの得点力という観点では『前者』の方が望ましいですし、『後者』だと左ハーフスペースに陣取っているカンビアーゾ選手が味方 WG の侵入コースを邪魔している場合もあります。
ユベントスは「セリエAで引いて守る相手から得点することに苦労し続けている」ため、カンビアーゾ選手が攻撃参加をした際の “状況別のプライオリティー” が重要になるでしょう。
それ以外では「ボール保持を前提にしたチーム作り」に舵を切ったため、「ボール非保持時に発生する粗をどうするか」がカンビアーゾ選手以外にも問われることになります。
イタリア代表のスパレッティ監督は(アッレグリ前監督と同様に)3-5-2 の右 WB でカンビアーゾ選手を起用中です。
「カンビアーゾ選手の変幻自在さ」と「ユベントスの現有戦力」を勘案した上でチアゴ・モッタ監督が結果を残すためにどのような決断を下すのかに注目です。