先日、ユベントスが公式サイト上で 2016/17 シーズンの決算書(PDF)を発表いたしましたので、バランスシート(貸借対照表)の内容を確認しておくことにしましょう。
PR
項目 | 流動資産 | 固定資産 | 全体 | |
---|---|---|---|---|
金融資産 * | ー | 4.1 | 4.1 | |
現金および現金同等物 | 140.0 | ー | 140.0 | |
金融資産の部:合計 | 140.0 | 4.1 | 144.1 | |
金融債務 | スポーツ信用銀行 | (6.0) | (37.0) | (43.0) |
リース会社 | ー | ー | ー | |
銀行 | (67.6) | (76.9) | (144.5) | |
金融サービス会社 | (39.1) | (80.0) | (119.1) | |
金融負債の部:合計 | (112.7) | (193.9) | (306.6) | |
純金融負債 | 27.3 | (189.8) | (162.5) |
特筆すべき点は「現金および現金同等物」が飛躍的に伸びたことです。一方で「銀行からの借り入れ」に該当する金融債務は増えています。投資目的と読み取れますが、投資でリターンを得られるかが注目点と言えるでしょう。
項目 | 流動資産 | 固定資産 | 全体 | |
---|---|---|---|---|
金融資産 * | ー | 4.1 | 4.1 | |
現金および現金同等物 | 32.3 | ー | 32.3 | |
金融資産の部:合計 | 32.3 | 4.1 | 36.4 | |
金融債務 | スポーツ信用銀行 | (5.8) | (40.0) | (45.8) |
リース会社 | ー | ー | ー | |
銀行 | (9.8) | (27.4) | (37.2) | |
金融サービス会社 | (47.5) | (80.0) | (127.5) | |
金融負債の部:合計 | (63.1) | (147.4) | (210.5) | |
純金融負債 | (30.8) | (143.3) | (174.1) |
一方、2016/17 シーズン期間中の資金の流れを示すキャッシュフロー計算書は以下のようになります。
項目 | 2016/17 | 2015/16 | |
---|---|---|---|
税引き前損益 | 58,414,719 | 11,607,968 | |
非 現 金 項 目 |
償却・減価償却・評価損 | 92,883,920 | 76,331,271 |
引当金の放出 | 9,638 | - | |
退職給付引当金等 | 3,751,782 | 3,266,455 | |
長期奨励給制度引当金 | 6,134,680 | 4,540,034 | |
選手登録権の利得 | (140,309,387) | (36,716,055) | |
固定資産の処分利得 | - | (187,227) | |
選手登録権の損失 | 493,491 | 243,237 | |
固定資産の処分損失 | - | 2,288 | |
経常外収入と費用 | (350,000) | (10,638,769) | |
関連会社等に対する持分 | 1,266,633 | 661,133 | |
金融収益 | (4,273,061) | (2,408,661) | |
金融費用 | 11,969,140 | 10,353,937 | |
売掛金と非金融活動の変動 | (11,478,515) | (204,326) | |
支払債務と非金融負債の変動 | 70,522,989 | (3,102,928) | |
法人税等の支払額 | (8,908,028) | (9,398,277) | |
退職給付引当金の活用 | (4,085,823) | (1,366,455) | |
営業活動によるCF | 76,042,178 | 42,983,625 | |
選手登録権への投資 | (252,338,708) | (160,891,788) | |
選手登録権関係の支払い増減額 | 60,588,404 | 51,232,767 | |
選手登録権の売却 | 193,413,850 | 58,384,233 | |
選手登録権関係の債権増減額 | (20,196,782) | 11,036,094 | |
他の固定資産への投資 | (15,599,717) | (10,563,353) | |
Jビレッジプロジェクトの返済 | - | 2,633,570 | |
投資の購入 | 2,400,000 | (254,000) | |
他の固定資産の処分 | (1,690,040) | 170,295 | |
他の固定資産の処分に関する債権の増減額 | 721 | - | |
利息収入 | - | 86,930 | |
配当収入 | 114,672 | - | |
投資活動によるCF | (33,307,600) | (48,165,252) | |
新規中長期ローン | 4,500,000 | 50,000,000 | |
中長期信用供与枠の使用 | 50,000,000 | - | |
中長期ローンの返済 | (13,136,820) | (5,383,108) | |
短期ローンの返済 | - | (8,258,687) | |
金融リースの返済 | (7,681,129) | (2,445,292) | |
中長期ローンの利息 | (2,799,798) | (1,884,351) | |
短期ローンの利息 | - | (640,577) | |
金融リースの利息 | - | (195,962) | |
その他の金利負担 | (3,306,624) | (2,943,275) | |
金融活動に関するその他の活動 | 216,208 | (106,330) | |
財務活動によるCF | 27,791,837 | 28,142,418 | |
当期キャッシュフロー | 70,526,415 | 22,960,791 |
本業を示す営業 CF でプラスを示し、当期 CF もプラスで終えています。どちらも前年度を上回る数字を残しており、健全経営を維持することが経営陣の課題となるでしょう。
「選手の獲得=投資活動」として計上されるため、投資活動による CF がマイナスであることは問題ありません。これは選手の獲得に資金を費やすと、クラブから資金が支出されるため、決算書にはマイナスとして示されるからです。
財務活動は銀行などから資金を借り入れると、クラブの収益と(会計上は)見なされるため、プラスとして表記されます。ユベントスの場合はJビレッジプロジェクトのために借り入れを行った経緯がありますので、「返済のための支出が多いこと」を意味するマイナスに近い数値を記録することが理想的です。
ユベントスが順調な企業活動を継続することができるのかに注目です。