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まとめ:2017年夏の移籍市場におけるユベントスの収支状況

 2017年夏の移籍市場が8月31日で閉まり、多くのクラブで 2017/18 シーズンを戦う選手の顔ぶれが判明しました。

画像:HQ of Juventus

 では、今夏におけるユベントスの収支状況を確認することとしましょう。ここで紹介する数字はキャッシュフロー(金の流れ)に見るためのものであり、収支報告書で示される数字とは誤差が生まれるという点に留意が必要となります。

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1:新加入選手の獲得による支出額

 新加入選手を獲得したことで、2017年夏に必要となる支出額の一覧は下表のとおりです。

表1:2017年夏の移籍市場収支(新加入選手による支出額)
選手名 2017年 2018年 2019年 2020年
P.ディバラ € 8m € 10m € 2m € 2m
+ボーナス800万ユーロ
2018/19 から4年分割払い
M.マンジュキッチ € 6.3m
+ボーナス200万ユーロ
R.ペレイラ € 4.6m
+ボーナス150万ユーロ
S.ザザ € 6m
A.サンドロ € 8.6m
エルナネス € 3.6m
+ボーナス200万ユーロ
合計支出額 € 37.1m € 10m € 2m € 2m
R.マンドラゴラ € 2m € 2m
+ボーナス600万ユーロ
M.レミナ € 4.5m *
+ボーナス100万ユーロ
M.ピアツァ € 11.5m
G.イグアイン € 45m
合計支出額 € 63m € 2m
T.リンコン € 2.6m € 2.6m € 2.6m
+ボーナス100万ユーロ
M.カルダラ € 3.5m € 3.5m € 3.5m € 3.5m
+ボーナス1:400万ユーロ
+ボーナス2:600万ユーロ
R.オルソリーニ € 3m € 3m
+ボーナス:400万ユーロ
R.ベタンクール € 4.75m € 4.75m
M.ベナティア € 8.5m € 8.5m
J.クアドラード € 6.6m € 6.6m € 6.6m
+ボーナス400万ユーロ
D.コスタ * € 6m
買取オプション4000万ユーロ
+ボーナス100万ユーロ
W.シュチェスニー € 6.1m € 6.1m
+ボーナス310万ユーロ
M.デ・シリオ € 4m € 4m € 4m
+ボーナス50万ユーロ
F.ベルナルデスキ € 13.3m € 13.3m € 13.3m
+ボーナス500万ユーロ
B.マテュイディ € 6.66m € 6.66m € 6.66m
+ボーナス1050万ユーロ
B.ヘーベデス * € 3.5m
買取オプション1300万ユーロ
+ボーナス300万ユーロ
合計支出額 € 68.51m € 61.01m € 36.66m € 3.5m
総支出額 €168.6m € 71.01m € 38.66m € 5.5m

 2017年に入ってからユベントスは10選手以上の保有権を獲得したこともあり、大きな支出が必要となりました。インセンティブの支払額を除外しても、総額では約1億7000万ユーロとなっており、チームの入れ替えが大きく進んでいると言えるでしょう。

 移籍終盤で「ローンでの獲得を希望」との報道が多くなった背景は単年度で費やすことができる予算の限度額に近づいているからと見ることもできます。

 

2:選手の退団による収入額

 ユベントスから選手が退団したことで、クラブが2017年夏に手にした収入額の一覧は下表のとおりです。

表2:2017年夏の移籍市場収支(退団選手による収入額)
選手名 2017年 2018年 2019年 2020年
S. パドイン € 0.2m € 0.2m
P.ポグバ € 52.5m
+ボーナス500万ユーロ
M. イスラ € 1.3m € 1.3m
R.ペレイラ € 3.25m € 3.25m € 3.25m
+ボーナス200万ユーロ
合計収入額 €57.25m € 4.75m € 3.25m
P. エヴラ
A.エルナネス € 8m
+ボーナス200万ユーロ
S.ザザ € 8m € 8m
+ボーナス200万ユーロ
K.コマン € 10.5m € 10.5m
D.アウベス
N. ネト € 1.5m € 1.5m € 1.5m € 1.5m
+ボーナス100万ユーロ
L.ボヌッチ € 14m € 14m € 14m
M. レミナ € 5.66m € 5.66m € 5.66m
+ボーナス300万ユーロ
T. リンコン * € 3m
+買取オプション600万ユーロ
合計収入額 € 50.66m € 39.66m € 21.16m € 1.5m
総収入額 €107.9m € 44.4m € 24.4m € 1.5m

 チームを離れた選手は9選手で、今夏に5000万ユーロをクラブに残してくれました。総額では約1億1000万ユーロ(インセンティブは除く)。支出分との差額は6000万ユーロのマイナスですが、これは放映権収入やスポンサー収入でカバーできる範囲内と言えるでしょう。

 

3:収支報告書に示される数字と異なる理由

 クラブが収支報告書で発表する数字は会計上の算出方法であり、現実に行われる金銭の授受とは違いがあります。例えば、昨夏に移籍したポグバ選手の場合は以下のようなっていると考えられるからです。

  • ユベントスの帳簿:2016/17 シーズンに1億500万ユーロの売上が計上
  • 実際:「2016年の夏」と「2017年の夏」に5250万ユーロずつの支払い

 ユベントスは昨シーズンにポグバ選手の売却益を計上していることでしょう。そうすることで業績が良く見えるため、ほとんどのクラブが選手売却益は一括で計上しているはずです。

 逆に、選手を獲得した場合は選手との契約年数に応じて、減価償却を行うことが一般的です。これは「選手獲得=設備投資」と同じ認識で行われており、ポグバ選手と5年契約を締結したユナイテッドは「2100万ユーロを5年に渡って計上し、ポグバ選手の移籍に要した費用を減価償却する」ことで経費負担を均等しています。

 ただ、ユナイテッドはユベントスに対し、2年でポグバ選手の移籍金を支払う契約を結んでいるため、実際の金の動き(=キャッシュフロー)と帳簿上に示される売上や費用とはズレが生じることになるのです。

 

 もうじき、ユベントスの 2016/17 シーズンにおける収支報告書が発表されることでしょう。「売上高は伸びているのか」、「無謀な支出をしていないか」、「キャッシュフローに問題は生じていないか」といった点に注目する必要がありそうです。