2025/26 シーズンのチャンピオンズリーグ出場権が危うくなっているユベントスですが、その大きな要因は「フットボール部門の(責任者の)人選が裏目に出ていること」でしょう。
クラブ首脳陣はフットボール部門の責任者を査定する立場にあるため、現状を “黙認し続ける” ことは問題が尾を引くことになると思われます。

ユベントスのクラブ首脳陣が描いた青写真
まず、ユベントスのクラブ首脳陣(≒スカナヴィーノ CEO)が 2024/25 シーズンに思い描いた青写真は「ナポリとジェノアの良いとこ取り」です。
| ナポリ | ジェノア | |
|---|---|---|
| 長 所 |
【トップチームの編成能力】 付加価値が生じる選手の発掘に長け、ジュントリやスカウト部門のポンピリオが有能と評されていた |
【育成能力】 スブラヴァティが責任者を務める下部組織からコンスタントに若手有望株を輩出 |
| 短 所 |
【育成能力】 イタリア南部で “唯一の強豪” だが、クラブ内育成選手が稀有な存在 |
【トップチームの編成能力】 飛躍した選手が残した移籍金を活用したチーム強化が極端に疎い |
そのため、ナポリとジェノアから “ジュントリ FD と縁故の人物” を獲得し要職に据えています。
- オーナー 【Proprietà】
- 親会社: Exor (エルカン CEO)
- クラブ 【Società】
- スカナヴィーノ CEO
- カルヴォ人材部門長
- ジョルジョ・キエッリーニ
- ジュントリ FD
- スカナヴィーノ CEO
- チーム 【Squadra】
- ジュントリ FD(チーム編成責任者)
- ポンピリオ(スカウト部門・前ナポリ)
- スブラヴァティ(育成部門・前ジェノア)
- チアゴ・モッタ監督
- ジュントリ FD(チーム編成責任者)
この人選で結果が伴っていれば、何の問題もありません。しかし、現状は “ナポリとジェノアの悪いとこ取り” となっているのです。
「ジュントリ FD」と「ジュントリ FD が招いたスタッフ」の責任が(クラブ上層部から)問われるのは避けられないでしょう。
思惑が裏目に出てしまったユベントス
ユベントスのクラブ首脳陣にとって誤算なのは思惑が裏目に出てしまっていることです。
- ユベントスのクラブ首脳陣の思惑:
- ジュントリ&ポンピリオによる「付加価値が生じる選手の獲得」
- スブラヴァティによる「若手有望株のコンスタントな輩出」
- 現実:
- 若手有望株を放出した対価で「費用対効果の見合わない中堅を獲得」
- 将来有望なクラブ内育成選手の枯渇
1年前の2024年春に親会社 Exor のエルカン CEO が株主宛の手紙で「Next Gen 輩出選手を活用した収益改善」に言及していますが、ジュントリ FD らは逆行する方針を採っています。

しかも、『成績面での結果』を残すことができていません。
そのため、クラブ首脳陣はジュントリ FD に最後通牒をしなければならないでしょう。それすらできない経営陣は不要です。
クラブ首脳陣にはジュントリ FD らが『成績面での結果を残せない場合』や『現在の運営方針を改めない場合』は解任に踏み切る決断力が求められているからです。
就任2年目のジュントリ FD は「中間評価」が避けられない
ユベントスは「2026/27 シーズンに収益とキャッシュフローの双方で黒字を達成する」が決算報告書に明記された経営目標であり、目標達成のためには「(コンスタントに勝ち続けて結果を残すための)組織が必要」です。
- ユベントスの使命は『勝利』
- 『試合に勝つための組織』は存在しているか
- 『組織を構成するためのリソース(≒選手)』が確保されているか
- 『リソースを産出するための事業』は機能しているか
- 『事業費を投じるに値する価値』が(利害関係者に)認められているか
“チーム(という組織)の編成責任者で就任2年目のジュントリ FD” が「中長期計画の残り期間も現場の責任者に相応しいのか?」との基準で『中間査定』をされるのは当然でしょう。
組織が機能していなくても、1つ勝つだけなら運次第で可能性はあります。
しかし、コンスタントに勝ち続けてクラブが定めた目標を達成するには「『組織』が機能していること」が絶対に欠かせません。だから、ジュントリ FD などへの査定は避けられないですし、シビアに評価しなければならないのです。
“自分達が叩き売ったクラブ内育成選手の条件を満たす若手有望株” が新天地で評価を大きく高め、その一方で “自分達が市場評価額以上で獲得した即戦力選手” が燻り続けていれば断罪は止むを得ないでしょう。
「1~2件の例外」ではなく「2024/25 シーズンにジュントリ FD などチーム首脳陣が行ったほとんどの取引が該当」しているからです。クラブ首脳陣がチーム首脳陣にどのような評価を下し、現状にどう対処するのかに注目です。