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ユベントスが「2022/23 から 2024/25 シーズンにかけての UEFA FFP 違反」で調査対象と通告された背景と今後の見通し

 ユベントスは11月に予定している株主総会に向けて先行公開した年次報告書(PDF)で UEFA から FFP 違反での調査通知を受けていたことを報告しました。

 その背景と今後の見通しを整理しておくことにしましょう。

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UEFA との『和解条項』に抵触した疑い

 まず、ユベントスは「パラメーター CFO 時代の拡大路線」と「新型コロナによる市場冷え込み」で大赤字を計上。UEFA と『2022/23 から 2024/25 シーズンまでの累計赤字を6000万ユーロにする和解条項』を締結しています。

 しかし、「2024/25 シーズンの単年度で6000万ユーロ弱の赤字計上」をしていることが実情です。

 UEFA が “過去に締結した和解条項を反故にしている疑いのあるクラブ” の財務状況に対する調査を行うことは自然な流れと言えるでしょう。

 

ユベントス側の言い分

 調査通知を受けたユベントスは年次報告書で「人件費の削減は順調に進行」しており、「売上高に占める人件費(≒選手への年俸費用)は規定された 80% を下回っている」と株主に説明しています。

表1: ユベントスの決算状況【単位:百万ユーロ】
  21/22 22/23 23/24 24/25
選手登録権益 40.8 70.2 34.2 109.7
売上高 … (A) 443.4 507.7 394.6 529.6
選手年俸 310.8 255.4 239 220.3
選手登録権
への費用
31.9 12 22.2 43.8
選手登録権
の償却
173.4 159.1 139.1 124.9
Squad Cost
… (B)
516.1 426.5 400.3 389
(B) / (A) 119.1% 84% 101.4% 73.5%

 ただ、『選手獲得に費やした移籍金の償却費』と『選手を借りる際に計上した費用』の合計は横ばい状態である現実があります。

 この点を UEFA に突かれると面倒なことになるため、“和解条項を締結する際の交渉に携わったフェレーロ会長” が老獪な交渉戦術を示せるかがポイントになるでしょう。

 

罰金で済めば御の字

 今回のユベントスは『2022/23 から 2024/25 シーズンまでの累計赤字を6000万ユーロにする UEFA との和解条項』に抵触した疑いを持たれているため、罰金で済めば御の字です。

 おそらく、UEFA 主催大会の登録メンバーの上限を25名から23名に制限されることになるでしょう。

 『制限項目のないリストA』の上限が17名から15名に減らされるため、「選手売却が促される」という制裁です。

 「登録メンバーの制限」よりも重い処分としては「該当期間中に得た選手売却益を上回る移籍金で獲得した選手の登録不可」があります。

 過去にインテルが科されており、この処分は避けなければならないでしょう。過密日程がデフォルトの現行フォーマットでは非常に難しい選手起用を強いられることになるからです。

 

 2026/27 シーズンは UEFA からの賞金収入が目減りすることを考えると、「現場(を預かる監督)からの強い要望」や「(チーム編成責任者である)自分が以前から評価していた選手」との理由 “だけ” で高額な移籍金を費やす選手獲得は好ましくありません。

 クラブの執行部が一貫性を持ったチーム作りを行うことができるのかに注目です。