『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が「ユベントスに所属する3人の CF が揃って得点感覚を喪失するのは奇怪だ」と記事で主張しています。
ただ、これは『3人の CF を封じる共通対策』が存在すれば “普通に” 起こり得ることです。トゥドール監督が『対策破り』を講じることができるかが鍵になるでしょう。

ヴラホヴィッチの得点パターン
“途中出場から得点を量産して評価(と序列)を高めたヴラホヴィッチ選手” の得点パターンは「相手 GK と DF ラインの間に自身とボールが侵入すること」です。
具体的には『(カウンターや速攻での)スルーパス』や『両サイドからのアーリー気味のクロス』に応える形です。
そして、これらの得点パターンが起こりやすいのは試合終盤。
先発選手に疲労の色が見え隠れする終盤戦は「全体が間延びしてスルーパスが通りやすい」ですし、追いかける側のチームは「クロスの回数で勝負」する共通認識を持っていることが多いからです。
「GK と DF ライン間のスペースを消す」か「密着マーク」でヴラホヴィッチの脅威は削減可能
ただ、ヴラホヴィッチ選手が先発出場した場合は「相手 GK と DF ラインの間に自身とボールが侵入する得点パターン」を作り出すことに苦労しています。
対戦相手は「ヴラホヴィッチ選手をマークし続けるスタミナ」を持っていますし、“ヴラホヴィッチ選手に裏のスペースを狙わせるパスの出し手” にもプレッシャーをかける体力もある状態です。
また、ヴラホヴィッチ選手は『(周囲の味方にボールを)落とすポストプレー』で貢献できても『(独力でボールを)収めるポストプレー』は不得意。
相手 CB に『密着マンツーマン・マーク』で “監視” されると試合から消えてしまいます。この点が先発出場したヴラホヴィッチ選手の評価が上がり切らない最大の理由でしょう。
デイヴィッドとオペンダの2人も「スペースを必要とするタイプの FW」
それならば、初期構想で CF の序列1番手と2番手だったデイヴィッド選手とオペンダ選手を起用すれば良いのですが、両選手とも「スペースが存在して持ち味を発揮するタイプの FW」であることが裏目に出ています。
- トゥドール監督のチームは『人数をかけた遅攻』がメインになりがち
- 相手チームは『低い位置での守備ブロック』を結果的に構築
- GK と DF ライン間のスペースが減少
- ゴール前は高さ勝負がメイン
- レジスタのロカテッリは『カバーされているレシーバーに強引な縦パス』を出してしまう悪癖あり
- 相手チームは『低い位置での守備ブロック』を結果的に構築
“ユベントスに所属する3人の CF” にとって厳しいのは「先発出場すると『得意としない局面』で得点に直結する貢献が成果として要求されること」でしょう。
相手 MF が DF ラインに吸収されてしまうほど相手の守備ブロックを圧縮できれば良いのですが、トゥドール監督が現在採用中の戦い方では『ガッティの CF 起用』が最も合理的だからです。
単に人数をかけた攻撃をしている現状では『FW 陣が使いたいスペース』が消失するだけですし、攻撃が行き詰まれば CF は得点から見放されることになるでしょう。
決定機を逸することは CF の責任が大きいことは事実ですが、決定機の絶対数が少ないのは CF の責任だけではありません。トゥドール監督がどのようにチームの攻撃を洗練させるのかに注目です。