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戦術分析: ラインを下げすぎるボヌッチによって生み出されるラッキーゾーン

 セリエA第25節ローマ戦でリーグ戦の連勝が4でストップしたユベントスですが、交代出場したボヌッチ選手が失点に関係したことは否めません。その理由を具体的に言及したいと思います。

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ペナルティーエリアの手前で止まるブレメル

 まず、ボヌッチ選手がベンチスタートだったセリエA第25節ローマ戦で先発起用されたブラジル代表の3選手による3バックは「自陣ペナルティーエリアの手前」に最終ラインを設定しています。

 例えば、24分すぎの場面です。

 ローマはマティチ選手がドリブルで持ち上がったもののロカテッリ選手が前方に立ちはだかったので左サイドに展開。その際にユベントスの最終ラインの位置は「自陣ペナルティーエリアの手前」でした。

 この配置であれば、逆サイドに展開されたとしても “ペナルティーエリア寸前からのミドルシュート” を決めることは困難でしょう。ユベントスの左 CB がそのスペースを先に陣取っているからです。

 

ペナルティーエリア内まで下がってしまうボヌッチ

 失点を許した53分すぎの場面では「似ているようでバイタルエリアにラッキーゾーンができている状態」でした。

 ローマの左サイドをスピナッツォーラ選手がドリブルで持ち上がったためユベントスの最終ラインは撤退。ボヌッチ選手が “一目散に” 自陣ペナルティーエリア内にまで下がったことで最終ラインの位置が前半よりも 2m ほど低くなっています。

 これにより、ラビオ選手の背後には “前半には存在しなかった得点可能なシュートレンジ” が発生。そのスペースからマンチーニ選手に放たれた強烈なミドルシュートが決勝点となりました。

 最終ラインが前半での高さに設定されていれば、スピナッツォーラ選手がクリスタンテ選手にボールを預けた時点でディバラ選手はダニーロ選手に張り付かれて何も貢献できなかったでしょう。

 しかし、ボヌッチ選手が下がりすぎたこと(に加えて最終ラインを押し上げようとしなかったの)で「ボヌッチ選手の背中からの抜け出し」を狙えるようになり、「ユベントスの最終ラインをさらに下げさせる」という重要な貢献ができました。

 だから、失点を許した後の中継映像に “プレーに関与をしていないボヌッチ選手” の表情が何度も抜かれたのです。

 

チャンピオンズリーグに出場するチームはボヌッチが作るラッキーゾーンを見逃してくれない

 今後の注目点は「ボヌッチ選手を大一番で起用するのか」でしょう。チャンピオンズリーグに出場する力を持ったチームは “ボヌッチ選手が作ってしまうラッキーゾーン” を見逃してはくれないからです。

表: ボヌッチ出場時における失点数(2023年3月8日時点)
出場時 不出場
Serie A 638分・5失点
(0.71失点 / 90min)
1612分・15失点
(0.84失点 / 90min)
UEFA CL 443分・13失点
(2.64失点 / 90min)
97分・0失点
UEFA EL 8分・0失点 172分・1失点
Coppa 180分・1失点

 2022/23 シーズンのセリエAにおける90分あたりの失点数はボヌッチ選手の出場には関係のない数値のように思われます。

 ただ、今季のセリエAでボヌッチ選手が先発出場したビッグマッチはミラン戦のみ。ナポリやアタランタといった “攻撃力自慢のチーム” との大一番をボヌッチ選手は欠場しているのです。

 その一方で完成度の高いチームとの対戦が基本となるチャンピオンズリーグでの失点は散々な数値となっています。

 

 「ボヌッチ出場時は逆サイドのハーフスペースにフリーでミドルシュートを打てるラッキーゾーンがかなりの確率で出現する」と分析すれば、UEFA のコンペティションで勝ち上がれるチームは確実に突いてくるでしょう。

 ヨーロッパリーグで対戦するフライブルクだと左サイドでボールを持ち上がったグリフォ選手がユベントスの最終ラインを押し下げた状態で逆サイドに素早く展開し、堂安選手が強烈なミドルをお見舞いするという形です。

 相手に決定機をプレゼントするようだと実力のあるチームとの対戦では大きな代償を支払うことになります。この問題に対し、アッレグリ監督がどのような決断を下すのかに注目です。