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コラム: バイエルンの 3-1-4-2 でのビルドアップを導入中に思えるユベントス

 カタールW杯後にディ・マリア選手のコンディションが上がって来たことにより、ユベントスのポゼッション時の役割が変化している様子が伺えます。その取り組みが洗練されるかは注目に値するでしょう。

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バイエルンを彷彿させる 3-1-4-2 でのビルドアップ

 カタールW杯が行われる少し前からユベントスは 3-5-1-1 を採用し、ピッチ中央のミドルゾーンでは 3-4-2-1 でのビルドアップおよびポゼッションを試みていました。

 その形が2023年2月頃からは 3-1-4-2 に変更されており、配置と役割は以下のようになっています。

  • 3バックとレジスタの計4選手で前進を試みる
  • 相手が 4-2-3-1 などで嵌め込みに来た場合、両インサイドハーフ(または両 WB)の誰かがサポート
  • ディ・マリアは中盤での『10番』としてボールを引き出す役割

 3-4-2-1 では『レジスタ脇のスペース』に “パスの受け手が待機している状態” で DF ラインから縦パスが出ていました。この形だと相手チームは思い切ってプレスに行くことが可能です。

 ところが、3-1-4-2 だと『レジスタ脇のスペース』に下がって来たインサイドハーフや WB に縦パスが出せるのです。

 パスの受け手はノーマークと確認済みなら「ターン」、マーカーも付いて来ているのなら「リターンパス(でのやり直し)」を選択が可能になります。

 相手選手の現在の立ち位置を踏まえた “後出し” が可能なビルドアップは効果的であるため、洗練に時間を費やす価値は大いにあると言えるでしょう。

 

ディ・マリアの「技術」と「経験」に攻撃の全権を託した形

 この 3-1-4-2 でのビルドアップはディ・マリア選手の「技術と経験に裏打ちされた冷静さ」を前提にしたものと思われます。

  • ディ・マリアの役割:
    • スタートポジションは相手ボランチの背後
    • 後方からの縦パスを引き出す
      1. 相手 DF と MF のライン間
      2. レジスタ脇のスペースにまで下がる
    • チーム全体が前進すれば本業の右 WG としてプレー
    • カウンター守備は「味方が加勢するまでの時間稼ぎ」
  • (セカンドトップの位置にいる)味方の役割:
    • 相手の左 CB がディ・マリアに張り付いて行けないように(空けたスペースを狙う動きで)牽制
    • ディ・マリアが前進して来た際はスペースを譲(ってサポートに回)る
    • カウンター守備時はプレスバックしてディ・マリアと挟み撃ちにする

 ディ・マリア選手の状況判断にケチが付けられるケースは極めて稀でしょう。また、ディ・マリア選手が下した選択に対するピッチ上の選手からの不満は出にくいため、アッレグリ監督が『攻撃の全権』を託しやすい状況にあります。

 一方で問題となるのは「ディ・マリア選手の不在時」です。

 3-1-4-2 によるビルドアップがディ・マリア選手のクオリティーに依存していることは明らかですし、シーズンを戦い抜くことを考えると「ディ・マリア選手が不在時におけるクオリティーの確保」が課題になるでしょう。

 

 「ボールに触れる機会が少ないことに苛ついて中盤に下がる」と「チーム戦術として一時的に FW が中盤に下がる」は別物です。

 ディ・マリア選手はアシスト力でも評価されている選手であるため、悪い面である『前者』が顔を出すリスクは低いと考えられます。

 それだけに『バイエルンを彷彿させる 3-1-4-2 でのビルドアップ』を上手く昇華させることができるのかに注目です。