『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が「ユベントスでのイタリア人選手の重用」を期待する記事を掲載しています。
トップカテゴリーで上位を争うチームでイタリア人の主力選手が多くなるほど代表チームにとってもメリットが生まれることは事実です。ただ、「戦力を整えた結果のイタリア化」と「イタリア人ありきのチーム編成」は別物なのです。
目的を見失ってしまうと、本末転倒の事態に陥ってしまうことでしょう。
クラブとして「明確な目的と優先順位」が重要
具体的には「スペイン・バスク州の名門であるアスレティック・ビルバオとレアル・ソシエダのどちらの路線を採るのか」が問われます。
- 『ビルバオ型』の編成プラン
- イタリア人選手でチームを編成
- チーム力の向上に取り組む
- 『ソシエダ型』の編成プラン
- 現場に必要な戦力を補強してチーム編成
- 要件を満たす選手が複数いる場合は「イタリア人」の獲得が優先
ビルバオは「バスク人選手によるチーム編成」を最上位に据えたクラブです。獲得できる戦力に大きな制限が設けられているものの、他クラブには存在しない “強烈なアイデンティティー” を有する特色があります。
一方のソシエダは「バスク人選手が主力」であるものの「チームが必要とする戦力は外国人選手でも獲得可」という方針で運営されています。
両チームの “いいとこ取り” は机上の空論に終わることは明らかです。イタリア人の比率を高めたいのであれば「『ビルバオ型』と『ソシエダ型』のどちらを採るのか」を経営陣が明確にしておかなければなりません。
“ユベントスのイタリア化” はメディアの願望で終わる
イタリアのメディアは「ビッグクラブに所属するイタリア人選手の数が増えること」を歓迎するでしょう。だから、その期待を込めた記事を掲載しているのです。
しかし、メディアの期待は失望に変わると思われます。
- ユベントスの経営にとっての理想:
- 下部組織出身の選手がチームの屋台骨を支える
- 他の主力選手は外部から補強する
- 補強する選手がイタリア人だと望ましい
どのクラブも理想は「 “自チームの下部組織出身選手” たちがトップチームの中心選手を占めること」です。費用対効果が最も高いことが理由です。ところが、ユベントスはミレッティ選手の次に来るであろう有望株がイタリア人ではないのです。
- ユベントスの次なる有望株
- FW: マティアス・スーレ(19, アルゼンチン)
- DF: ディーン・ハイセン(17, オランダ / スペイン)
- FW: ケナン・ユルディズ(17, トルコ / ドイツ)
イタリア化を進める計画を持っているのなら、プリマヴェーラに外国人の有望株を集める意味はありません。「プリマヴェーラが多国籍軍になっている現状が全てを物語っている」と言えるでしょう。
勝利を重要視する価値観を有するユベントスが擁するべきなのは「実力のある選手」です。「イタリア人だから(実力はあるはず)」と色眼鏡をかけた状態で選手補強をすると痛い目を見ることになるでしょう。
この線引きができるプロフェッショナルがクラブ上層部にいるかが大きなポイントになると思われます。