『カルチョ・エ・フィナンツァ』に「アッレグリ解任時の違約金は3600万ユーロ」との誤解を招く可能性のある記事が掲載されています。
この額は「アッレグリ監督が現行契約の残り期間で受け取る年俸分」であり、違約金とは別です。
『トゥット・スポルト』は「監督交代には8000万ユーロの費用がかかる」と報じていますが、これは「アッレグリ監督に支払う年俸の残額(=3600万ユーロ)」と「新監督の雇用費用」の合算値です。
したがって、「埋没費用として割り切れるか」が鍵でしょう。
まず、アッレグリ監督の年俸は推定700万ユーロです。税引き前では1295万ユーロに相当します。
アッレグリ監督との契約は2025年夏まであり、残り2年9ヶ月(= 2.75年)の契約期間で総額3561万ユーロの支払義務をユベントスは負っています。「成績不振で解任」しても「続投」してもユベントスの負担額は変わりません。
ただ、解任した場合は「新監督の年俸分」が “上乗せ” されるため、トゥット紙の報じた総額が必要になることも起こり得るでしょう。
この追加負担を現・経営陣は嫌っており、これが「アッレグリ続投」の姿勢を打ち出す最大の要因になっているのです。
しかし、アッレグリ監督の現体制が機能していないのですから、解任に踏み切って「若手の成長を信じて賭けることができる監督」を招聘すべきです。そうすべき事情はあります。
22/23 | 23/24 | 24/25 | ||
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監督 | Allegri | €7m | €7m | €7m |
合計 | €7m | €7m | €7m | |
WB | Cuadrado (34) | €5m | (Ake) | |
DF | A.Sandro (31) | €6m | Pellegrini / Cambiaso | |
MF | Rabiot (27) | €7m | ||
MF | Paredes (28) | €5m | Rovella | |
FW | Di Maria (34) | €7m | ||
FW | Milik (28) | €3.5m | (€3.5m) | |
合計 | €33.5m | |||
GK | Szczesny (32) | €6.5m | €6.5m | Perin |
CB | Bonucci (35) | €6.5m | €6.5m | |
DF | Danilo (30) | €5m | €5m | |
CB | Rugani (27) | €3.5m | €3.5m | |
MF | Rovella (20) | (Mon) | ? | |
合計 | €21.5m | €21.5m |
ユベントスは「今季で現行契約が満了する選手に総額3000万ユーロ超」、「来季で契約満了する選手に総額2000万ユーロ超」の推定年俸(手取り額)を支払っています。
アッレグリ監督の推定年俸は700万ユーロですから、一部のベテラン選手を “期待の若手選手” に置き換えることで「埋め合わせは可能」と言えるでしょう。
アッレグリ監督のような “実績豊富な指揮官” を新たに招聘するには「大金」が必要になりますが、ほとんどのセリエAの指揮官は「アッレグリ監督に支払っている年俸の半分以下」なのです。
『抜本的な見直し』を経営戦略として立案しなければならない事態に直面していることは事実です。ユベントスのフロント陣が講じた立て直し策が機能するのかにも注目です。