骨化筋炎を根治させるために外科手術を受けたことで出遅れることになったアルトゥール選手が休日返上でコンディション調整に励んでいます。
相手のハイプレスを苦にしない選手であり、チームに組み込みたい選手であることは事実です。現チームでの序列を上げるために求められるプレーを整理することにしましょう。
「ベンタンクールの役割を卒なく遂行すること」が前提
アッレグリ監督は 4-4-2 を基本にチーム作りをしており、その役割で及第点のパフォーマンスができることが前提となります。現状では「ベンタンクール選手の役割」となるでしょう。
守備では「ロカテッリ選手とのダブルボランチで中央のスペースを封鎖」することが求められます。
ボール奪取よりも守備ブロック構築時はスペースを消し、相手の DF ラインには状況に応じてプレスをかけられる持久力が必要です。これらの能力がどこまで計算できるかで序列は変わってくると考えられます。
ボール保有時はベンタンクールよりも戦術の幅が広がる
アルトゥール選手が出場時間を伸ばす要素となるのは「ポゼッション時での貢献」です。
狭いスペースをボールを受けられる上、相手のハイプレスを無効化できるテクニックがあります。これは「ロカテッリ選手とのコンビで中盤でボールが持てる」ことを意味します。
ダブルボランチで『ボールの動かし方』を上手く役割分担ができれば、ロカテッリ選手の役割をアルトゥール選手が担うことでロカテッリ選手に休養を与えることも可能になるのです。
シーズン中盤を過ぎると、戦術的に欠かせないロカテッリ選手(やラビオ選手)にも休養は必須です。その際に用いる『プランB』を準備する意味でも出場機会は訪れることでしょう。
ロカテッリ選手はベンタンクール選手と同等のフィジカル能力を有しているのですから、ゴールに近い位置でのプレーによる貢献も期待できます。そのため、中盤でアルトゥール選手が “攻守で” でどれだけ貢献できるのかが重要なのです。
安易なミスをしなければ評価は高まり、序列も上がる
(ピアニッチ選手との交換トレードとは言え)多額の移籍金がかかっているアルトゥール選手は評価に見合った活躍を見せる必要があります。その前提となるのは「安易なミスをしないこと」でしょう。
守備では「自動ドアと揶揄されるような軽い対応」をしたり、攻撃では「(無謀な仕掛けなどによる)軽率なボールロスト」が安易なミスに該当します。
ベンタンクール選手は攻撃面でのボールロストが散見される状況で確固たる地位を築くまでには至っていません。「選手個人としてのボール保持能力」はアルトゥール選手に一日の長があるでしょう。
一方で対人守備能力はベンタンクール選手の方が計算できることは明らかです。
しかし、『安易なミスをしない選手に欠けている能力』を周囲に起用する選手で不足分を補うことは難しくありません。それをすることが監督の仕事だからです。
アルトゥール選手の場合は気負いすぎて空回りとなり、中盤でスペースを空けてしまうことが現状での懸念点でしょう。テクニックがあるため、ゾーンディフェンスの原則を忠実に遂行すれば守備時に “穴” とはならないと思われます。
復調傾向にあるチームの中でアルトゥール選手が存在感を発揮することができるのかに注目です。