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コラム: ユベントスのピルロ監督が 2020/21 シーズン序盤戦で使用しているフォーメーション

 戦術が謎に包まれていたピルロ監督の方針がセリエAが開幕したことで大枠が見えて来ました。シーズン中に微調整が加えられるものの、劇的な変化が起きる可能性はわずかです。

 序盤の2試合で見えた基本システムと課題を整理することにしましょう。

画像:ガゼッタ・デッロ・スポルトの一面
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■ 基本のフォーメーションは 3-4-1-2

 まず、基本となるフォーメーションは 3-4-1-2 です。

画像:ユベントスの基本フォーメーション予想(2020/21シーズン)
  • GK: シュチェスニー
  • DF: ダニーロ(デ・リフト)、ボヌッチ、キエッリーニ
  • WB: キエーザ(クアドラード)、A・サンドロ(フラボッタ)
  • DMF: ラビオ(ベンタンクール)、マッケニー(アルトゥール)
  • OMF: ラムジー
  • FW: ディバラ(クルゼフスキ)、ロナウド(モラタ)

 システム的な特筆点としては「中盤がダブルボランチ」だったことです。現役時代にレジスタだったピルロ監督は「レジスタを中盤の軸にしたチーム作り」をすると思われたのですが、それをプレシーズンの段階で不採用としています。

 会見で「チームにはダブルボランチに適した選手がいる」と言及しているため、この部分は中盤 MF 陣に負傷者が続出するなどの緊急事態に見舞われない限り、変更が加えられることはないと言えるでしょう。

 では、攻守それぞれの分野で求められる内容について言及していきたいと思います。

 

■ 攻撃担当は「前線の3人(≒ 2トップ+トップ下)」と「両 WB」

 攻撃時に積極的な動きを見せるのは「前線の3人(= FW とトップ下)」および「両 WB」の計5人です。

 ポジションは両 WB が「大外サイドライン際のレーン」に陣取り、前線の3人が「左右のハーフスペース」と「中央のレーン」で重複および横並びを回避することが基本となっています。

 攻撃を担当する選手たちは「前任者の要求と大きな違いはない」ため、この点がプラスとなります。「仕掛けて突破すること」や「ハイプレス」はサッリ監督も求めていたことです。

 したがって、大きな戸惑いが攻撃陣に生じる可能性は少ないと言えるでしょう。

 

■ 守備は「3バックとダブルボランチでリスク対応」をしつつ「可変式でスペースを埋める」

 一方の守備は3バックが最終ラインを形成し、「前線が仕掛けたハイプレスを活かしてダブルボランチを含めた5選手でボールの即時奪還を狙うこと」が最優先です。

 これができなかった場合は「(現状では)左 WB が3バックの位置まで下がって4バックに変化」する可変式で対処する形になっています。そのため、左右で守備のタスクが微妙に異なるため、選手の起用もこのことを踏まえる必要があると言えるでしょう。

 なお、ピルロ監督は前任者とは異なる守備方法を採用しているため、以下の点がシステム的な課題となります。

  1. WB の背後(= 左右の CB の脇)にあるスペースのケア
    • 3バックの泣き所
    • システム的にサイドライン際は手薄になる
  2. ダブルボランチに対する制約
    • 中央のゾーンを常時占有すること
    • ビルドアップで貢献するのもボランチの仕事

 喫緊の課題は第2節ローマ戦で示されていますから、事細かに言及する必要はありません。「3バックを使う際の問題点」と「ダブルボランチの沈黙」という “オーソドックスな課題” が浮き彫りになったため、どう対処するかが監督の手腕となるからです。

 

■ 『2016/17 シーズンのユベントス』にまでチームを昇華させられるかが注目点

 『ピルロ監督のユベントス』を比較対象にするなら、『2016/17 シーズンのユベントス』でしょう。細かな差異はあるものの、類似点が多いチームだからです。

画像:2016/17シーズンのユベントスとの比較

 現チームは『 “チンクエ・ステッレ” と称された 2016/17 シーズンのチーム』と基本的な部分は同じですから、「チームの成熟度」を見る上でも良い指標となるはずです。

 また、当時のチームよりも人件費は格段に上がっていますから、無様なプレーをするようものなら批判の対象になるでしょう。ピルロ監督がどのような形でチームを成熟させて行くのかに注目です。