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コラム: 技術力で評価を高めている小柄なサイドバックにとって、ポジショニング・プレーは「受難の時代」の幕開け

 ユベントスがサイドバックを補強ポジションに定めた動きを見せていますが、ポジショニング・プレーが全盛期を迎えている現代は「テクニックに秀でた小兵 SB」にとって受難の時代となる可能性があります。

 評価基準を考え直す必要があるでしょう。

画像:ディバラをマークするペッレグリーニ
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技術で埋めることのできない “弱点” は相手に狙い撃ちにされる

 サッカー界で流行中の『ポジショニング・プレー』は概念的に他のスポーツに存在します。アメフトで言うところの「デザイン・プレー」であり、野球で言う「サイン・プレー」です。

 これらのスポーツでは「選手がチーム戦術を基にした動き」が事前に準備され、試合で使われます。

 サッカーでもありましたが、GPS 装置や映像解析が進んだことで野球やアメフトの選手が要求される水準にまで指示の内容が細かくなったことが大きな変更点と言えるでしょう。

 つまり、それだけ相手チームが抱えている弱点を狙い撃ちしやすくなったのです。「スプリント力がない」や「高さがない」という(身体的な)部分は技術で埋めることは極めて困難です。

 そのため、“小柄なサイドバック” にとっては受難の時代が訪れる可能性が現実味を帯びているのです。

 

「空中戦に弱いサイドバックと高さ勝負」をすることは定石

 実際に “高さのない SB” は相手チームから空中戦を仕掛けられます。ユベントスも 2019/20 セリエA第21節ナポリ戦でロナウド選手がマリオ・ルイ選手に高さ勝負を仕掛けています。

画像:2019/20 Serie A, Nap-Juv

 1点劣勢の後半アディショナルタイムに左サイドからのクロスをファーサイドで高さのあるロナウド選手が待ち構え、競り勝って中に折り返すことはできています。

画像:2019/20 Serie A, Nap-Juv

 この場面はロナウド選手が「プッシング」の反則を取られたことでナポリは難を逃れましたが、同様のプレーは多くの試合で見られます。

 つまり、『データ分析』と『チーム戦術への落とし込み』が以前よりも格段に容易になったため、空中戦の弱さを狙われるケースが増えることはあっても減ることはないのです。

 そのため、ポゼッション時に活きるテクニック最優先でサイドバックを集めてしまうと、アッレグリ前監督やシモーネ・インザーギ監督のようなタイプの指揮官が率いるチームに痛い目に合わされるリスクが高くなっていると言わざるを得ないでしょう。

 

高さに対する不安を抱えることになったユベントスのサイドバック陣

 ユベントスはサイドバックが泣き所になる可能性が高いでしょう。サイドバックの「高さ不足」を隠せるチームではないからです。

  • サイドバックの高さ不足を問題にしないためには?
    1. 長身の選手を起用する
    2. クロスを上げさせないようにハイプレスで即時奪還

 「小柄なサイドバックを外す」という決断をした代表例はローマ(のフォンセカ監督)です。右 SB の主力はフロレンツィ選手でしたが、高さがないためスピナッツォーラ選手やサントン選手に遅れを取り、冬にバレンシアへと旅立ちました。

 同じく下部組織出身のL・ペッレグリーニ選手(公称178cm)をユベントスに放出した理由も同様でしょう。

 絶対的な高さのない選手が DF 陣にいるなら、もう1つの対応策である「相手がクロスを上げる前にマイボールにする」が有力な選択肢となります。ただ、この場合は「FW 陣からのハイプレス」が必須であり、ユベントスの現 FW 陣には難題です。

 チームの現状を踏まえた上で現実的な選手補強をしなければ、生じた “歪み” を相手に突かれてチャンピオンズリーグ敗退へと追い込まれることでしょう。

 

 テクニックに秀でた小柄なサイドバック全員が「受難の時代」を迎える訳ではありません。

 守備時のポジショニングや身体の入れ方に秀でている場合は評価は変わらないでしょう。ただ、チームによっては「(前線のプレスが計算できない等の理由で)高さが優先」となるため、不利な要素が増えていることは否定できません。

 体格的な “ミスマッチ” を意図的に作り出して攻撃することは常套手段ですし、その対策を講じることができないならチャンピオンズリーグ制覇は夢のまた夢です。

 下部組織が「テクニック重視」となっているユベントスがどのような手を打つのかに注目です。