今季のコッパ・イタリア5回戦を 4-0 で制したユベントスですが、最後に投入されたピアツァ選手が3トップの左ウィングとして戦術的な崩しを見せていましたので紹介いたします。
■ サイドライン際に張り、相手 DF を引き出した上で “ピン留め” する
現在のユベントスは 4-3-1-2 を使っているため、「攻撃時に横幅を確保しにくい」という問題があります。それを解決するには「ウィングが大外で待ち構えること」が有効策の1つと言えるでしょう。
82分のシーンでユベントスはベンタンクール選手からの横パスを受けたA・サンドロ選手が前方へのドリブルを開始します。
この状況でユベントスは「ピアツァ選手が大外で待機」しているため、相手の右 WB はピアツァ選手のマークを優先する傾向にあります。その結果、A・サンドロ選手が『左ハーフスペース』をドリブルで前進しやすくなるという恩恵が生じます。
(テア・アフェスト選手に)ドリブルのコースが消されたA・サンドロ選手はピアツァ選手に展開。
中央に人数をかける 4-3-1-2 では「左ウィング(= ピアツァ選手)へのパスコース」は存在しないため、戦術的な意味は大きいと言えるでしょう。
サイドライン際にいたピアツァ選手はテア・アフェスト選手とバラク選手を引きつけてベルナルデスキ選手にパスを通しています。シュートまでは持ち込めなかったのですが、「相手の守備ブロックを歪ませたこと」は良い崩しだったと言えるはずです。
■ 自ら仕掛けることで相手の守備ブロックを崩す
もう1つは86分の場面です。ラムジー選手がドリブルでボールを持ち上がり、左サイドでフリーになっていたピアツァ選手に展開されます。
パスを受けたピアツァ選手は対面するテア・アフェスト選手にデュエルを仕掛けます。
選択肢は「カットイン」と「縦に突破」の2つがあり、ピアツァ選手は逆足のウィンガーですから、前者を選択した場合は「シュート」も選択肢として生まれる可能性が残されています。このメリットは見落とすべきではないでしょう。
ピアツァ選手は「カットイン」を選択しましたが、「自らシュート」や「イグアイン選手へのパス」という『決定機な選択肢』は潰されています。
しかし、「ラムジー選手(またはクアドラード選手へのパス)」という『次善の選択肢』は残っており、そちらを選択しました。これは連携が合わずサイドラインを割ってしまいましたが、崩しの意図と狙いが見えた攻めと言えるでしょう。
左サイドでの逆足ウィングの仕事はロナウド選手も担うことができますが、お膳立て役に回ることを強いられます。
そのため、ピアツァ選手にチャンスを与える価値はあるはずです。サッリ監督(やフロント陣)がどのような判断を下すのかに注目です。