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戦術分析: ピッチ幅を活用した攻撃の成功例と失敗例(2019/20 セリエA第15節ラツィオ戦)

 サッリ監督が 4-3-1-2 を採用しているユベントスですが、攻撃面の課題は「ピッチ幅を効果的に活用すること」と言えるでしょう。この記事ではセリエA第15節ラツィオ戦での成功例と失敗例にスポットを当てたいと思います。

画像:ラツィオ戦で指示を出すサッリ監督
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■ 成功例(前半9分過ぎ)

 ピッチ幅を上手く活用した成功例として紹介したいのは前半9分過ぎの場面です。

 右サイドでロナウド選手がボールに触れたロナウド選手がピアニッチ選手に横パス。これを左サイドのタッチライン際にいたA・サンドロ選手が受けてドリブルを始め、以下の場面が作り出されました。

画像:ラツィオ戦の前半9分すぎ(その1)

 ユベントスが左サイドにサイドチェンジをしたことでラツィオの守備陣がスライドを強いられ、ユベントスの右サイドに大きなスペースが生まれたのです。

 「ロナウド選手へのアーリークロス」という選択肢もありましたが、A・サンドロ選手はマテュイディ選手へのパスを選択。ただ、ボールタッチが乱れたマテュイディ選手は『B』の選択肢を採り、ピアニッチ選手に後を託しました。

画像:ラツィオ戦の前半9分すぎ(その2)

 ピアニッチ選手は「ロナウド選手への縦パス」を選択。ロナウド選手は「自らシュート」などの選択肢ではなく、「後方に落とす」方を選び、最終的にボールを得たディバラ選手のシュートが枠を捉えています。(シュートはストラコシャ選手が横っ飛びセーブで防ぐ)

 この場面では「ロナウド選手を使わずにピアニッチ選手からベンタンクール選手を経由してディバラ選手に渡す」という選択肢もありました。しかし、この場合はルリッチ選手がディバラ選手のマークに戻りやすくなるため、縦に入れたピアニッチ選手の判断は的確と言えるでしょう。

 こうしたピッチ幅を上手く活用し、的確なポジションに選手を配置した攻撃ができれば得点力はさらに強化されるものと考えられます。

 

■ 失敗例(後半31分過ぎ)

 ピッチ幅の活用に失敗してしまった例として挙げられるのは後半31分の場面でしょう。

 こちらもボールを引き出したロナウド選手がピアニッチ選手に預けたまでは同じでしたが、パスが少し雑だったためにJ・コレア選手に(反則に近いプレーで)ボール奪取を許してしまいました。

画像:ラツィオ戦の後半31分すぎ(その1)

 狙いは「サイドバックの持ち上がりで相手の守備陣を乱し、その瞬間にパスを入れてシュートにまで持ち込む」というものです。この部分は上述の『成功例』と同じですから、問題とは言えないでしょう。

 しかし、その後が最悪でした。

画像:ラツィオ戦の後半31分すぎ(その2)

 ラツィオは PK を獲得するのですが、“抜け出したJ・コレア選手” を倒して PK を与えたのは GK のシュチェスニー選手です。「追いかけて来た DF が倒してしまった」のではないですから、CB の2人のスピード不足は危険な状況にあると言わざるを得ないでしょう。

 

■ サッリ監督が不満を覚えたと伝えられているディバラのポジションとは

 ラツィオ戦では「外にいるよう指示したディバラが中に入り、ベルナルデスキがその逆の動きをした」とサッリ監督が不満を持ったことが一部で報じられています。その場面と思われるのは後半31分にも見られることです。

画像:ディバラのポジショニング

 この位置関係なら、ディバラ選手は『中央』ではなく『右中(= 右のハーフスペース』にいるべきです。『右中』で同じ高さにいたエムレ・ジャン選手と立ち位置が入れ替えられているべきだったと言えるでしょう。

 ダニーロ選手のオーバーラップを活かせますし、ディバラ選手が途中でボールを引き取ってカットインからシュートも狙えます。

 ダニーロ選手がクロスを入れた際は「エムレ・ジャン選手がニアで潰れ、ファーでロナウド選手が勝負」という形もできますし、クロスがダメでも「ディバラ選手に戻す」という “保険” もあるからです。

 ただ、ディバラ選手が最初から『中央』にいますと、攻撃の選択肢が限定されてしまいます。ですから、サッリ監督が選手のポジションに不満を覚える事態になっているのでしょう。

 

 意としないプレーを要求されれば、不平不満が募り、サボタージュや謀反が起きやすくなります。そうした状況を上手くマネジメントするのが監督の仕事です。サッリ監督がどのようにチームを修正していくのかに注目です。