アメリカの通信社『ブルームバーグ』が「ロナウドを性的暴行容疑で訴えていた訴訟が取り下げられた」と報じ、原告側の弁護士が「訴えは取り下げていない。管轄が変わっただけ」と弁解しています。ただ、原告側の心証を悪化させたと言わざるを得ないでしょう。

■ 時系列
ロナウド選手に関する訴訟の時系列は次のとおりです。
2018年9月 | キャサリン・マヨルガ氏がクラーク郡地裁(= ネバダ州管轄)に提訴 … ① |
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2019年1月 | マヨルガ氏が①と同じ内容の訴訟を連邦地裁にも提訴 … ② |
2019年2月 | マヨルガ氏の代理人を務めるラリッサ・ドロホビッツァー弁護士が「ネバダの州法では外国人を召喚する権限が制限されているから」と連邦地裁への提訴理由に言及 |
2019年6月 | ブルームバーグが「① の訴訟が取り下げられた」と報道 |
ドロホビッツァー弁護士が「② に移行しただけ。取り下げてはいない」と弁解 |
訴訟が続いていることに変わりはありませんが、ブルームバーグの報じた記事で原告側の心証が悪化したことは否定できないでしょう。なぜなら、クラーク郡地裁に提訴した訴訟の現状を伏せておく必要はなかったからです。
■ 1ヶ月前に「訴訟取り下げ申請」を行ったが、ブルームバーグに報じられるまで黙っていた原告側
ブルームバーグが「マヨルガ側が訴訟を取り下げた」と報じましたが、取り下げの申請を行ったのは2019年5月8日付です。
The #KathrynMayorga case against #CristianoRonaldo has been voluntarily dismissed pic.twitter.com/N5Ou6dn5En
— M Price (@LasVegasCourts) June 5, 2019
つまり、原告は1ヶ月前に訴訟取り下げの申請を行っていたのですが、それを公表していませんでした。これは奇妙と言えるでしょう。
原告の主張に変化がないなら、「外国人事件の裁判権を持つ連邦裁判所に “1本化” する」と先月の時点でアナウンスしておくべきでした。しかし、実際には原告側は全く言及せず、メディアが「訴訟を取り下げた(≒ 主張を撤回した)」と報じてから、慌てて弁解に乗り出したのです。
「なぜ、1ヶ月前に取り下げ申請をしたことを黙っていたのか」という疑念は世間に広まる結果になったと言わざるを得ないでしょう。
また、ラリッサ・ドロホビッツァー弁護士の発言も奇妙なものです。ポルトガル人のロナウド選手を相手取った訴訟を “外国人事件の裁判権を持たない州地裁” に起こしているからです。
2月の時点で「州地裁の訴訟は八つ当たり」の認識を弁護士として持っていた訳ですから、訴訟戦術としても “クレバー” とは言えないでしょう。結論が出るまでにはまだまだ時間が必要になると思われます。