2018/19 シーズンが終了ましたので、ユベントスの選手・監督等への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。
第3回目の評価対象は DF 陣です。
■ センターバック
ジョルジョ・キエッリーニ(34): A-
主将としてプレーしたキエッリーニ選手の出場成績は以下のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
後半戦 (出場時間率:51.5%) |
セリエA | 11 (9) | 0 | 818' |
UEFA CL | 2 (2) | 0 | 180' | |
イタリア杯 | 2 (2) | 0 | 117' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 16 (14) | 0 | 1205' | |
後半戦の全試合 | 26 | ー | 2340' | |
全体 (出場時間率:59.7%) |
セリエA | 25 (22) | 1 (1) | 1991' |
UEFA CL | 6 (6) | 0 | 540' | |
イタリア杯 | 2 (2) | 0 | 117' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 34 (31) | 1 (1) | 2738' | |
全試合 | 51 | ー | 4590' |
出場した試合では好パフォーマンスを見せた上、CB のパートナーを選ばない安定感を示しました。この部分は高く評価されるべきと言えるでしょう。
一方で後半戦は「筋肉系の負傷」が理由で戦列を離脱する時期がありました。20歳台と同じ頻度での起用は難しくなっていますが、「週1試合のペースでの出場を維持すること」が来季の目標となります。
コンディションを上手く維持することができるのかに注目です。
マルティン・カセレス(32): B
冬の移籍市場でラツィオから加入したカセレス選手が記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
後半戦 (出場時間率:26.8%) |
セリエA | 9 (7) | 0 | 627' |
合計 | 9 (7) | 0 | 627' | |
後半戦の全試合 | 26 | ー | 2340' | |
全体 (出場時間率:13.7%) |
セリエA | 9 (7) | 0 | 627' |
合計 | 9 (7) | 0 | 627' | |
全試合 | 51 | ー | 4590' |
「DF の便利屋」として期待された役割を十分に果たしたと言えるでしょう。フィジカルバトルを強いられる CB としての起用に “穴” があったことは事実ですが、CB の4番手という位置づけでは合格点に値します。
契約は今季で満了するため退団が有力と考えられます。ただ、補強状況によっては「延長オプション付きの1年契約」を提示する価値はあると思われます。フロント陣がどう判断を下すのかに注目です。
アンドレア・バルザーリ(38): C
今季限りでの現役引退を表明したバルザーリ選手の出場成績は以下です。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
後半戦 (出場時間率:7.1%) |
セリエA | 3 (3) | 0 | 167' |
合計 | 3 (3) | 0 | 167' | |
後半戦の全試合 | 26 | ー | 2340' | |
全体 (出場時間率:8.0%) |
セリエA | 7 (4) | 0 | 261' |
UEFA CL | 3 (1) | 0 | 106' | |
合計 | 10 (5) | 0 | 367' | |
全試合 | 51 | ー | 4590' |
選手としては厳しい内容で「引き際」が訪れていました。衰えが顕著になっていましたので、引退は止むを得ないと言えるでしょう。
バルザーリ選手が持つ守備のノウハウなどは若手選手に伝授してほしい項目です。これらをユベントスの選手に引き継がれる環境が来季以降に整っているのかが注目点です。
レオナルド・ボヌッチ(32): B-
ミランから1年で復帰したボヌッチ選手が今季に記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
後半戦 (出場時間率:67.1%) |
セリエA | 13 (11) | 2 | 1030' |
UEFA CL | 4 (4) | 0 | 360' | |
イタリア杯 | 1 (1) | 0 | 90' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 19 (17) | 2 | 1570' | |
後半戦の全試合 | 26 | ー | 2340' | |
全体 (出場時間率:77.3%) |
セリエA | 29 (27) | 3 | 2470' |
UEFA CL | 10 (10) | (3) | 900' | |
イタリア杯 | 1 (1) | 0 | 90' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 41 (39) | 3 (3) | 3550' | |
全試合 | 51 | ー | 4590' |
出場時間で見れば、立派な主力選手と言えるでしょう。しかし、チーム内で DF 最高年俸を得ていることを加味すると、コストパフォーマンスが悪すぎることがマイナス点です。
DF で最高給なのですから、「誰と CB を組んでも好パフォーマンス」であることが期待される存在です。しかし、現状は「パートナーを務める CB の能力に自身のパフォーマンス依存する」のですから、批判の対象になることは避けられません。
今季開幕前にモレノ・トリチェッリ氏が「温め直したスープ」と評したことが的を得ている状況です。この評価をボヌッチ選手がパフォーマンスで覆すことができるのかに注目です。
ダニエレ・ルガーニ(24): B
ルガーニ選手が今シーズンに残した出場成績は以下のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
後半戦 (出場時間率:53.8%) |
セリエA | 11 (11) | 2 | 990' |
UEFA CL | 2 (2) | 0 | 180' | |
イタリア杯 | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 14 (14) | 2 | 1260' | |
後半戦の全試合 | 26 | ー | 2340' | |
全体 (出場時間率:37.3%) |
セリエA | 15 (15) | 2 | 1350' |
UEFA CL | 4 (3) | 0 | 271' | |
イタリア杯 | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 20 (19) | 2 | 1711' | |
全試合 | 51 | ー | 4590' |
前半戦は起用される頻度が少ない状況でしたが、ボヌッチ選手とキエッリーニ選手が負傷離脱したことで後半戦に出場時間を伸ばす形となりました。
アッレグリ監督の下ではレギュラーの座を勝ち取れなかったため、「新監督の下でレギュラーの座を確保できるか」が来季の課題となります。噂どおりにサッリ監督が就任するのであれば、ルガーニ選手にとって良い足がかりとなるでしょう。
成長の度合いを示すことができるのかに注目です。
■ サイドバック
マッティア・デ・シリオ(26): B
デ・シリオ選手の出場成績は以下のものです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
後半戦 (出場時間率:54.1%) |
セリエA | 13 (10) | 0 | 932' |
UEFA CL | 2 (2) | 0 | 154' | |
イタリア杯 | 2 (2) | 0 | 180' | |
合計 | 17 (14) | 0 | 1266' | |
後半戦の全試合 | 26 | ー | 2340' | |
全体 (出場時間率:48.6%) |
セリエA | 22 (19) | (1) | 1742' |
UEFA CL | 4 (4) | 0 | 309' | |
イタリア杯 | 2 (2) | 0 | 180' | |
合計 | 28 (25) | (1) | 2231' | |
全試合 | 51 | ー | 4590' |
左右どちらの SB でもプレーできる柔軟性で今季公式戦の約半分に出場しました。ただ、「レギュラーとして君臨するために必要な突出した能力」が見当たらないため、消去法的に起用されていたことは否定できません。
したがって、来季も今季と同じ立ち位置になる可能性があります。これを覆すには「SB で最も優れた守備力」を示すことが近道になるでしょう。新監督の下でデ・シリオ選手がそれを示せるのかに注目です。
アレックス・サンドロ(28): A
A・サンドロ選手が 2018/19 シーズンに記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
後半戦 (出場時間率:63.6%) |
セリエA | 14 (13) | 1 | 1029' |
UEFA CL | 3 (3) | 0 | 270' | |
イタリア杯 | 2 (1) | 0 | 100' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 20 (18) | 1 | 1489' | |
後半戦の全試合 | 26 | ー | 2340' | |
全体 (出場時間率:72.4%) |
セリエA | 31 (28) | 1 (3) | 2390' |
UEFA CL | 9 (8) | 0 | 742' | |
イタリア杯 | 2 (1) | 0 | 100' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 43 (38) | 1 (3) | 3322' | |
全試合 | 51 | ー | 4590' |
左 SB のレギュラーとして、タフさを武器に攻守両面でチームに貢献しました。スピナッツォーラ選手の “突き上げ” はあったものの、レギュラーの座が揺らぐほどではありませんでした。
来シーズンは監督が変わるため、求められる仕事にも変化が生じることが予想されます。それでも、A・サンドロ選手が1番手であることには変わりないでしょう。
「コパ・アメリカでの疲労をどれだけリフレッシュすることができているか」が来季の課題になるはずです。
ジョアン・カンセロ(25): B+
カンセロ選手が残した出場成績は以下のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
後半戦 (出場時間率:56.5%) |
セリエA | 13 (11) | 1 (2) | 956' |
UEFA CL | 4 (2) | (2) | 212' | |
イタリア杯 | 1 | 0 | 63' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 19 (14) | 1 (4) | 1321' | |
後半戦の全試合 | 26 | ー | 2340' | |
全体 (出場時間率:56.6%) |
セリエA | 25 (22) | 1 (5) | 1967' |
UEFA CL | 7 (5) | (3) | 479' | |
イタリア杯 | 1 | 0 | 63' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 34 (28) | 1 (8) | 2599' | |
全試合 | 51 | ー | 4590' |
シーズン前半と後半で記録した出場時間率はほぼ同じなのですが、内容に大きな差が生じる形となりました。
前半戦での主な欠場理由は「右ひざの怪我」でしたが、後半戦は「守備」が理由でした。チャンピオンズリーグなどの大一番でカンセロ選手のミスが起因する形で失点を喫したという印象が尾を引いていると言えるでしょう。
新監督を迎える来季は「SB の評価基準」もアッレグリ監督の時とは異なるはずです。ポゼッション能力はチーム屈指ですから、これを活かせるかがポイントになります。プレミア方面からの関心が報じられており、去就にも注目です。
レオナルド・スピナッツォーラ(26): B
スピナッツォーラ選手が記録した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
後半戦 (出場時間率:31.8%) |
セリエA | 10 (6) | (1) | 598' |
UEFA CL | 1 (1) | 0 | 67' | |
イタリア杯 | 1 (1) | 0 | 80' | |
合計 | 12 (8) | (1) | 745' | |
後半戦の全試合 | 26 | ー | 2340' | |
全体 (出場時間率:16.2%) |
セリエA | 10 (6) | (1) | 598' |
UEFA CL | 1 (1) | 0 | 67' | |
イタリア杯 | 1 (1) | 0 | 80' | |
合計 | 12 (8) | (1) | 745' | |
全試合 | 51 | ー | 4590' |
右ひざ前十字靭帯を負傷していたことで今季前半戦を棒に振ったスピナッツォーラ選手ですが、シーズン後半戦に限っての出場時間率は 30% に達しました。
周囲の選手との連携や相互理解ではA・サンドロ選手に遅れを取っているものの、上下動と突破力という点で持ち味を発揮していたため、ポジティブに評価できるでしょう。「右利きの左 SB/WB ですから、これを新監督がどう評価するか」が来季の大きなポイントです。
どちらのサイドでレギュラー争いをするのかに注目です。