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コラム:アッレグリ監督がベナティアの序列を下げた理由として考えられること

 BBC の3選手(バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニ)が揃って負傷離脱しているため、ユベントスの CB 陣は火の車と化しています。その中でベナティア選手が出場機会を求めて退団に踏み切ったのですが、序列が下がった理由を考察することにしましょう。

画像:ユベントスを退団したベナティア
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CB 陣の 2018/19 シーズン前半戦の出場状況

 センターバックを本職とする選手は5名で、2018/19 シーズン前半戦の出場状況は以下のとおりです。

画像:2018/19 セリエA前半戦でのCBの起用状況

 ベナティア選手は「出場機会の不満」を SNS 上でぶち撒けるのですが、起用方法に不満があったことは間違いありません。11月の代表戦ウィーク直前に行われたセリエA第12節ミラン戦までの出場時間率は 37.5%。これは控え選手の数字です。

 しかも、「キエッリーニ選手を休ませるため」という目的が明確で、ボヌッチ選手の代わりに起用されたのは「大ブーイングの可能性があるアウェイのミラン戦」という “特殊な” 1試合だけ。

 DF としての守備力の差はほとんどない状況で、87.5% もの出場時間率を記録する選手がいるのですから、「不満を溜め込むな」という方が無茶だと言えるでしょう。

 

序列が下がった要因は「最終ラインの統率力」と「DF としての攻撃貢献度」

 アッレグリ監督が 2018/19 シーズン前半戦で見せた起用方法で興味深いのは「ベナティア選手とルガーニ選手の組み合わせが1度もないこと」です。昨シーズンに起用したことがある組み合わせがないのですから、不安要素があったのでしょう。

 その不安要素して真っ先に考えられるのが「最終ラインの統率力」です。

 ボヌッチ選手やキエッリーニ選手は DF ラインの統率に長けていますし、攻撃時に貢献できる武器を持っています。(ボヌッチ選手はフィード能力、キエッリーニ選手はドリブル)

 一方で、ベナティア選手の統率力はアッレグリ監督に評価されていないのでしょう。DF ラインの統率が取れていないと何が起きるのかは先日のパルマ戦で証明されています。

 「周囲の選手に的確なポジショニングを指示すること」ができても、それだけでは不十分です。「指示された側の選手が聞く耳を持つか」も必要になるのですから、DF 個人の守備力以外の部分がベナティア選手とボヌッチ選手の差になったと言えるでしょう。

 

DF として最優先事項である「個人の守備力」に差がない状況で特定の選手を “庇護” したことが問題

 ただ、DF として評価の比重が最も高いのは「個人としての守備力」でしょう。これが大部分を占め、残りの「最終ラインの統率力」や「攻撃貢献能力」などは 25% にも満たないはずです。

 ボヌッチ選手とベナティア選手の「個人としての守備力」に明確な差はありません。2016/17 シーズンは明らかな差がありましたが、ミランから出戻ったボヌッチ選手の守備力はベナティア選手やルガーニ選手と同等のレベルです。

 もちろん、周囲の DF へのポジショニングを指示する能力など “錆び付いていない部分” があるにせよ、87.5% の出場時間率は「過剰なまでに庇護されていた」と言えるでしょう。

 ベナティア選手はモロッコ代表で主将を務めるなど、自らの統率力にプライドを持っていたはずです。それすらを全否定する起用方法を監督がしたのですから、袂を別つ決断をすることは必然でした。

 

 開幕前に「昨シーズンの実績によって作られた序列」を一旦リセットすることは問題ではありません。これ自体は良くあることであり、監督交代などでも序列はリセットされます。

 ユベントスの場合は「今季開幕前にリセットされた序列が固定されたままだった」から、不満分子が生じる原因となったのでしょう。

 今回、問題が発生したのは CB 陣でしたが、同様の “火薬庫” は FW 陣にもあるのです。2020年夏に現行契約が満了するマンジュキッチ選手とケーン選手の去就は戦力面・編成面の上で大きな影響を与えます。

 どの選手にもチャンスは平等に与える必要がありますし、結果についてはシビアに判断しなければなりません。ベナティア選手退団の二の舞を避けることができるのかに注目です。