Yahoo! にも転載されている『サッカーキング』の「セリエA観客動員率、昇格組がトップ2に」との記事がありますが、事実とは異なるとの指摘をする必要があるでしょう。理由は根拠となる数字が間違っているからです。
1:『サッカーキング』が報じた記事の内容
記事では「今季(2017/18 シーズン)の平均観客動員数のランキング」を以下のように紹介しています。
- クラブ名:平均観客動員率(平均観客数 / スタジアム収容人数)
- ベネヴェント:97.3% (12253 / 12587名)
- SPAL:92.7%(11581 / 12500名)
- ユベントス:92.1%(38022 / 41507名)
ところが、この上位トップ3の数字すべてが間違っているのです。そのため、完全な誤報と言えるでしょう。
2:ベネベントと SPAL のスタジアム収容人数が間違っている
セリエAの観客動員数は公式サイト上で公開されています。
例えば、ベネベントの第7節(PDF)インテル戦での観客数は16274人。SPAL も第6節(PDF)ナポリ戦で12650人の観客数を記録しているのです。
これらの数字は「スタジアム収容人数」を上回っており、『サッカーキング』が報じた平均観客動員率には問題があると言えるでしょう。
なぜなら、ベネベントの本拠地スタディオ・チーロ・ヴィゴリートは16867人の収容人数。SPAL の本拠地スタディオ・パオロ・マッツァは13020人が正しい収容人数だからです。
サポーター間の衝突を避けるための緩衝地帯が設置されることを考慮すると、新しいスタジアムでない限り、平均観客動員率で 100% 近くの数値が記録されることは起こり得ないのです。
3:ユベントスは平均観客数が間違っている
次に、ユベントスの平均観客数として示した38022人という数字が間違っています。なぜなら、ユベントスが2017/18 シーズンの第21節終了時点で記録した平均観客数は38792人だからです。
チケット販売問題でクルヴァ・スッド(南スタンド)を第21節ジェノア戦で閉鎖されたユベントスですが、それでも平均観客数は 2015/16 シーズンを上回る数字を残しています。この点は朗報と言えるでしょう。
「平均観客数39000人超」がユベントスの現実的な目標になると思われます。
4:2017/18 第21節終了時点での平均観客動員率トップはユベントス
「昇格組が平均観客動員率でトップ2」と報じられましたが、実際の数字は次のとおりです。
- クラブ名:平均観客動員率(平均観客数 / スタジアム収容人数)
- ユベントス:93.46%(
3802238792 / 41507名) - SPAL:88.95%(11581 /
1250013020名) - カリアリ:88.6%(14386 / 16233名)
- ナポリ:75.5%(45498 / 60240名)
- インテル:73.5%(58172 / 79154名)
- ベネヴェント:72.64% (12253 /
1258716867名)
- ユベントス:93.46%(
平均観客数が低く出されていたユベントスは観客動員率がアップする一方、スタジアム収容人数を低く出していたベネベントと SPAL は観客動員率はダウンする結果となのです。
したがって、観客動員率でトップ3に入ったのは SPAL のみ。トップ3の顔ぶれはユベントス、SPAL、カリアリなのです。
提示されたデータは鵜呑みにするのではなく、裏付け確認をする必要があると思われます。