4-3-3 で結果を残すことに成功したユベントスですが、ディバラ選手のポジションが見当たらないという副作用が生じています。ここではアッレグリ監督が中盤の3選手にどういった要件を求めているかを確認することにしましょう。
アッレグリ監督は UEFA のコーチングライセンスを取得する際、「3MF における各 MF の特性」という論文を書いています。
レジスタの両脇をインサイド MF の2選手が固める「中盤が逆三角形型の 4-3-3」とダブルボランチとトップ下の「中盤が正三角形型の 4-3-3」が題材となっています。後者は今季の開幕時から採用されていた 4-2-3-1 と似たシステムと言えるでしょう。
それぞれのシステムで中盤の3選手に求められる特性は以下のとおりです。
1:4-3-3(中盤が逆三角形型)
レジスタ(アンカー)を中央に配置し、その両脇をインサイドハーフの2選手が固める 4-3-3 で中盤の選手に要求される特性は下表のとおりです。
4-3-3(逆三角形型) | |
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4番 |
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8番 |
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10番 |
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ピルロ(=『4番』)、マルキージオ(=『8番』)、ポグバ(=『10番』)の3選手が機能した 2014/15 シーズンが代表例と言えるでしょう。
2:4-3-3(中盤が正三角形型 ≒ 4-2-3-1)
中盤の底がダブルボランチで、その前に MF が配置される 4-3-3 で中盤の3選手に要求される特性は下表のとおりです。
4-3-3(正三角形型:4-2-3-1) | |
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4番 |
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8番 |
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10番 |
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『10番』に要求される特性が異なっていることが特筆事項です。4-2-3-1 のトップ下での仕事内容とほぼ同じことが要求されており、ディバラ選手が適任と言えるはずです。
ウィングの選手が献身的に上下動することで成立していたシステムであり、両翼を担当していた選手の疲弊と消耗で威力が落ちたと言うこともできるでしょう。
3:『10番』の適任者がおらず、中盤 MF の補強が絶えず報じられる
ユベントスが移籍市場で毎年のように MF の補強が報じられているのは、逆三角形型の 4-3-3 で中盤のインサイドハーフとして機能する『10番』の適任者がいないからでしょう。
逆三角形型 | 正三角形型 (≒ 4-2-3-1) |
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『4番』 | ピアニッチ、ベタンクール | |
『8番』 | ケディラ、マルキージオ、マテュイディ、ストゥラーロ | |
『10番』 | (不在) | ディバラ |
ピアニッチ選手はローマ時代は『10番』としてプレーしていましたが、ユベントスでは『4番』にコンバート。そのため、逆三角形型の 4-3-3 で『10番』として機能する選手が見当たらない事態となっているのです。
ユベントスの MF は『8番』タイプが多く、ポグバ選手のような『10番』は不在です。走力と守備力が要求されますのでディバラ選手が得意とする『10番』とは異なる MF の特性を有している選手が求められていると言えるでしょう。
4:4-3-3 (逆三角形型)での『10番』に該当する選手
アッレグリ監督が定義した「4-3-3 (逆三角形型)での『10番』に該当する選手」の条件に合致するのは以下の選手が代表格でしょう。
- イニエスタ(バルセロナ)
- モドリッチ(レアル・マドリード)
- イスコ(レアル・マドリード)
- ディ・マリア(PSG)
MF としての走力を有していますし、ドリブルとパスで攻撃にスイッチを入れ、チャンスを広げられるクオリティーを持った選手だからです。ただ、獲得は容易ではないため、有望株の選手を獲得し、成長させることが現実的な解決策になると思われます。
白羽の矢を立てるなら、サンプドリアのデニス・プラート選手でしょう。ユベントスのフロント陣が『10番』としてどの選手をアッレグリ監督にプレゼントするのかに注目です。