アッズーリの正GKを務めることが時間の問題となっているミランに所属するジャンルイジ・ドンナルンマ選手が2月25日に18歳の誕生日を迎えたことで長期契約が可能となりました。「ミランと最初の長期契約を締結するのか」が1番の注目点ですが、現状を整理しておくことにしましょう。
1)ミランに残留するかはチーム次第
ドンナルンマ選手は “引く手数多” の状態です。20年前後は正GKの心配をする必要がなくなる訳であり、絶対的守護神を抱えているチーム以外は獲得に乗り出す可能性がある選手と言えるでしょう。
ミランでデビューし、ミラニスタであると言われていることから残留が最初に考えられることです。
そのためには、世界最高峰のGKに成長することが見込まれるドンナルンマ選手にふさわしい待遇を提示し、チームも欧州のトップクラブに返り咲くことが大前提です。
- 中国系コンソーシアムへの株式売却が完了する
- 新オーナーが2017年夏の移籍市場で、CL出場権獲得が狙える補強を完遂する
この2点が明確にならない限り、代理人を務めるミノ・ライオラ氏はミランと長期契約を締結することに難色を示すことでしょう。去就問題がクローズアップされる事態が夏まで継続することは確実です。
2)移籍先の本命はマンチェスター・ユナイテッド
ドンナルンマ選手がミランを離れる場合、移籍先の本命チームはマンチェスター・ユナイテッドになるでしょう。これは次のような理由が存在するからです。
- 正GKデ・ヘア選手にレアル行きの噂が絶えない
- ユナイテッドにはライオラ氏の顧客選手が多く在籍している
- 選手側が要求する年俸を支払う能力が備わっている
まずは、ユナイテッドで正GKとして活躍するデ・ヘア選手にレアル・マドリードが関心を示しています。「スペイン代表の正GKはレアルでプレーすべき」とペレス会長が考え、行動を起こせば移籍は現実味を帯びることは十分にあります。
また、デ・ヘア選手はマンチェスターでの生活に対する不満を述べたことはありませんが、「デ・ヘア選手の恋人がマドリードでの生活を希望している」との報道は出ており、スペイン行きの可能性はゼロとは言えません。
次に、ライオラ氏は良好な関係にある特定のクラブに顧客選手を送り込む傾向があります。かつてのミランやPSGがそうでしたが、ユナイテッドが現在はその1番手でしょう。イブラヒモビッチ、ポグバ、ムヒタリアンの3選手が在籍しており、4人目が加入しても不思議ではないからです。
その上、豊富な資金力を持つユナイテッドなら、ドンナルンマ選手側が要求する年俸額を支払うことは十分に可能です。クラブの “格” も高く、移籍先の本命であることは間違いないと言えるでしょう。
3)ユベントスはシティより獲得の可能性はあるが、本命ではない
正GKに不安を抱え、資金力のあるマンチェスター・シティはドンナルンマ選手の移籍先としてメディアが書くことになるでしょう。しかし、移籍する可能性は限りなくゼロです。
その理由はシティを率いるグアルディオラ監督とライオラ氏がイブラヒモビッチ選手の件で犬猿の仲だからです。「代理人が批判をした」という理由でヤヤ・トゥレ選手を干すような監督が率いるクラブに大事なクライアントを移籍させることはないでしょう。
ペップがライオラ氏に謝罪をすれば、ドンナルンマ選手がシティ行きの可能性も生まれます。しかし、そうした事態が起きることは皆無と考えられるため、シティに加入することはまずありえません。
その点、ユベントスはシティよりドンナルンマ選手を獲得できる可能性はあります。ただ、ブッフォン選手の去就次第であり、クラブが積極的に動く動機はありません。
- ブッフォン選手が 2017/18 シーズン終了後に引退する
- ドンナルンマ選手がブッフォン選手がユベントスで得ている給与水準未満で満足する
上記2点が満たされた場合に限り、ドンナルンマ選手のユベントス入りが実現することでしょう。交渉となった場合、ユベントスは「実績面で劣る “ブッフォンの後継者” にブッフォンと同額の給与水準は提示できない」と正論を突きつけることが予想されるからです。
ブッフォン選手という “交渉カード” はライオラ氏にとって厄介な存在です。ユベントス側がカードを切らなくても、メディアが言及した時点でカードが使われたことと同じ効果が生まれるからです。
そのため、選手自身がユベントス行きを考慮しない限り、ユベントスに加入する可能性は上昇しないということが現実だと言えるでしょう。