株式会社では株主総会に合わせ、トップが株主に対し、レターを公開することが一般的になっています。ユベントスもアニェッリ会長がレターを発表しましたので、概要を紹介いたします。
- ビジネスのコアはフットボール
- 過去6年で見せた飛躍は数字の上でも示されている
- ユベントス・スタジアムが力の源泉となった
- 新プロジェクトが進行中であり、今後も成長する必要がある
- グローバルパートナーだけでなく、地域パートナーも重要
- ユベントス・ストアを発展させるプランを構築
レターで言及されている主な部分は上記6項目と言えるでしょう。ユベントスのビジネスモデルで中核に位置するのは「フットボールの成績」です。
ピッチ上で残す成績が好印象であるほど、選手たちにも魅力的なクラブとして映り、スポンサーも同じ印象を持つことになるためです。
結果を残すには、環境を整備することが不可欠です。才能を持つ選手がどれだけ努力をし続けても、それを披露する場を提供することがクラブには求められているのです。ユベントスは「優先順位を付け、クラブの予算に合わせて順調に歩みを続けてきた」と言えるでしょう。
アニェッリ会長もレターでそのことを訴えたいのだと思われます。
今後はスポンサーを獲得するクラブ戦略で、独自色を出すことが必要になるでしょう。
アディダスやジープのような『グローバルパートナー』を獲得できれば、スポンサー料も大きく魅力的です。しかし、高額な資金を捻出できる企業はサッカーだけが広告の対象ではないため、契約を得ることが難しいというハードルもあります。
そこで重要となるのは『リージョナル(=地域)パートナー』となるでしょう。グローバルに展開はしていないが、特定の地域では圧倒的な地位を確立している企業をどれだけ獲得できるかが経営に影響を及ぼすようになるでしょう。
例えば、ビールは現地生産・現地消費が業界標準であるため、世界中どこでも簡単に入手できるブランドはありません。つまり、『リージョナルパートナー』を得やすい業界であると言えるでしょう。また、アライアンスを形成する航空・船舶業界からも新規スポンサーの獲得を探る価値はあるはずです。
クラブの収益は2倍にまで伸びましたが、売上高という点ではレアル・マドリードやマンチェスター・ユナイテッドという世界トップの半分程度です。健全経営のバランスを保ったまま、順調にクラブの規模を拡大させることが今後の経営課題となるでしょう。
イグアイン選手を獲得し、バランスを変えた今シーズンがどのような決算で終えることになるのかに注目です。