ユベントスが 2015/16 シーズンの決算書を公表したことで、当期収支も明確になりました。2015/16 シーズンに記録した収支を確認することにしましょう。
項目 | 2015/16 | 2014/15 |
---|---|---|
チケット販売 | 43,667,912 | 51,368,524 |
テレビ・ラジオ放映権 およびメディア収益 |
194,897,031 | 197,247,930 |
スポンサー/広告収益 | 70,008,038 | 53,224,218 |
製品・ライセンス販売 | 13,509,887 | ー |
選手登録権益 | 46,403,703 | 6,983,894 |
他の収益 | 9,878,744 | 23,527,518 |
総収益 | 387,900,773 | 348,193,885 |
用具/サプリ等購買費 | (3,380,235) | (3,103,221) |
販売用製品購買費 | (4,344,289) | ー |
外部サービス | (51,503,546) | (45,888,195) |
選手年俸/スタッフ費用 | (197,742,952) | (178,839,411) |
他の人件費 | (23,740,893) | (19,590,646) |
選手登録権への費用 | (10,940,840) | (7,090,063) |
他の支出費用 | (8,441,139) | (9,343,474) |
総事業費用 | (300,093,894) | (263,855,010) |
選手登録権の償却/評価損 | (67,046,721) | (57,874,089) |
有形/無形資産の償却 | (9,284,550) | (8,476,726) |
引当金 | (1,900,000) | (434,553) |
経常外収支 | 10,638,769 | 1,750,000 |
営業利益 | 20,214,377 | 19,303,507 |
金融利益 | 2,408,661 | 2,365,061 |
金融費用 | (10,353,937) | (10,860,663) |
JV費用 | (661,133) | ー |
税引き前利益(損失) | 11,607,968 | 10,807,905 |
当期税金 | (8,431,039) | (7,992,976) |
繰越税金 | 885,383 | (516,666) |
当期利益(損失) | 4,062,312 | 2,298,263 |
基本的には前期に記録した数値が2倍になっている項目がほとんどです。総収入から総事業費を引いた「営業利益」は昨年と同水準を保てていることはポジティブな内容と言えるでしょう。
逆にマイナスだったのは「チケット販売」の項目が前年同期比より下がったことです。
2015/16 シーズン前半はチームが不調でリーグ戦での動員数が伸び悩んだ状況でしたが、それでも 2014/15 シーズンの前半より「チケット販売」は上回っていました。しかし、前期と後期を合わせた通年で見ると、2014/15 シーズンの方が700万ユーロほど高くなっていたのです。
差が生じる原因となったのはチャンピオンズリーグでの試合数の違いでしょう。2014/15 シーズンは準々決勝モナコ戦、準決勝レアル・マドリード戦という集客が見込める試合が2試合多く開催できたからです。
おそらく、ユベントスの経営陣は「チケット販売」の数値が思ったほど伸びていないことを知っていたのでしょう。そのような背景から、今季チャンピオンズリーグのチケット価格がかなり高く設定されていたのだと推測されます。
ユベントスがクラブとして取り組むべき課題は「チケット販売」と同時に「チケット購入客をスタジアムに来場させる」ことです。チケットは完売ということが公式サイトで紹介されていますが、中継映像では空席エリアが存在していることが一目瞭然だからです。
もちろん、年間チケット保有者が来場していないための空き席になっているというケースもありますが、その場合はクラブが関与する再販売プロセスを作ることで “満員のユベントス・スタジアム” を多くの試合で見れることになるでしょう。
“満員のスタジアム” はスポンサーを獲得する上でも好印象を持たれる要素になるはずです。クラブの売上高でも欧州の強豪クラブと渡り合うために、ユベントスがどういった経営戦略で挑むのかに注目です。